山賊な騎士団長は子にゃんこを溺愛する

紅子

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子にゃんこ、魔女に戻る

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私はいつものように王宮を散策する。騎士団による魔獣の間引きも終え、一段とと寒くなってきた。もう秋も終わり。私の散歩ももう少ししたらお休みだ。だって、寒いんだもん。

「にゃ、にゃおーん」
王様、来たよー。

「お!フィーではないか。久しぶりだな」

「なーお。にゃごーん。にゃにゃ。ふみゃーん」
うん。ザムの遠征に着いてったの。魔女のお仕事だよ。 

「そうかそうか。ガルザムから聞いているぞ。騎士たちを助けてくれたそうだな。ありがとう」

「ふみゃーん」
どういたしまして。 

しかし、王様。周りの人達、王様のこと憐れんだ目で見てるけどいいの?
ああ、気にしないと。
慣れてるのね。
それもどうかと思うけどね。

「ところでフィーよ。相談がある。第1王子のことだ。なかなか次の婚約者が見つからなくてな。どうしたらいい?あやつをせっついても、夜会以外で会おうとせんのだよ。ファビアーノもここを去ってしまったしなぁ」

はは。そりゃ、仕方ないよね。女怖いとか思ってそうだもん。アーノは、片翼が帰ってきたから王宮からお引っ越しした。今は、片翼のリクエストで草原の広がる湖の近くでバカンスよろしくキャッキャウフフと楽しそうだ。暫くはあの状態が続くはずだから、アーノのご飯はお預けだ。つくづく、ザムが料理上手でよかったと思う。

「にゃにゃ。ふにゃあにゃん。にゃんにゃあ」
どうしようもないよ。気長に待ってあげたら?拗らせてるだけだよ。

「そうだな。それしかないか。ハァ」

やっぱり今日も愚痴と悩みが出てきた。お菓子もらってるから、ちょっとくらいなら聞いてあげるけど、今日はもうおしまい。

さて、次はパパのところかなぁ。それとも散歩の続きにしようか?

今日も平和だ。












あれから10年。

私の修行はまだ続いている。つまり、子ネコ・・・のままだ。それでもここに来た6年前から私はザムの魔力を貰えば、半日は魔女に戻れるようになっていた。それまでは、精々15分だったから、ここに来てから劇的に長くなった。貰い方を変えたのが原因だろう。フフ。私の外見はザムに合わせて、年を経るようにした。今の私はおばさんに見えるはず。

ザムは6年前に騎士団長を辞めて、例の婚約破棄された姪の治める領地で私設騎士団の顧問を務めている。私たちが住んでいるのは、領主屋敷から程近い街の外れ。森との境にある一軒屋だ。

ザムは、まあ、出逢った頃からおっさんだったけど、更に立派な中年のおっさんになった。顔は昔よりも迫力を増して、厳つさ満点。女子供は誰も近づいてこない。姪ちゃんも怖がりはしないけど、顔がひきつっているのを私は知っている。

私はというと、毎日、午後から半日、街の人相手にポーションの販売をしたり、ザムの勤める騎士団で治癒を施したりしている。人は本当に脆弱だ。魔力の変換量を少し間違えただけで、骨折した足がつぶれてしまい、肝を冷やしたこともあった。そのショックで本人が気絶しているうちに再生した。ふう~。



そんなある日の夕方。魔女から子ネコに戻り寛いでいると・・・・。

「!!!ザム~!」

「フィー、どうした?」

ひょっこりと顔を出したザムに全力で飛び付いた。それでも危なげなく私を抱き止めてくれる。

「修行が終わった!」

「本当か?」

「うん!ザムの魔力がなくても魔女だもん♪」

「そうか。長かった、のか?」

「長かったよ!本当なら、10年前の覚醒で終わってもよかったんだから!」

「そうか。なら今日はお祝いだな。ご馳走を作ろう」

「やったー!」

私の修行がやっと終わった。子ネコから魔女に戻った。今は、子ネコになれる・・・・・・・魔女だ。

長かったなぁ。



「フィリア!」

ザムの作った豪華な夕食を食べていると、師匠が飛び込んできた。その後を追うようにグレッグも姿を現した。魔女の突然の訪問はいつものことだから、ザムも慣れたものだ。二人のために席を用意している。

「やっと終わったのね?!」

「師匠ぉ。漸く、漸く、終わったぁ」

私はヒシッと師匠に抱きついた。

「こんなに長いなんて想定外よ!やっと独り立ちね」

師匠としみじみしていると後ろから羽交い締めにされた。

グフゥ。

「フィリア~!!!」

カイザー、潰れるぅ。

「こらー!フィリアが潰れるでしょ!」

どうやら、私が魔女に戻ったのを感知して来たみたいだ。アリーに叱られてもカイザーは私を羽交い締めから解放してくれない。

「グホッ」

アリーの肘鉄で漸く離してくれた。ザムもいつものことだからか、アリーに任せて手は出してこない。

「フィリア」

今度はアーノが片翼のサラとやって来た。アーノたちはつい最近、近寄ってはいけない蜜月を終え、魔女仲間に片翼のお披露目も終えた。

「アーノ!サラ!」

その後、ゲオルグとミーシャ、レーネとアランも来て、結局その日は夜遅くまでみんなで宴会になった。こんなにお祝いされるとは思わなかった。というか、みんなして「かかりすぎだ!」と呆れられた。「一番長かったカイザーでも3年だ」と。私は3倍以上かかったことになる。そんなこと、知らなくてよかったよ!ぷくうと膨れてザムに抱きついた。黙って頭を撫でてくれるザムに機嫌がちょっとだけ直った。

「ガルザムは相変わらずフィリアには甘いですね」

アーノ、ザムはいい人なんだよ!

「フィリアは、ぽやぽやのボケボケだからな。しっかり見ててくれよ」

ゲオルグ、酷い。言いたい放題だね。私だってちゃんと考えてるよ!

「まあ、大丈夫だろ?しっかり餌付けされてる」

カイザー!それは否定しないし、出来ない・・・・。



こうして、私の修行は終わりを告げたけど、ザムとの人生はまだまだ続く。私がザムを看取るまで、2・30年はあるだろう。それから、ザムが魔女の片翼としてこちらに来るまで300年くらい。

魔女の生を考えると長いのか短いのかよくわからないけど、美味しくて楽しくて幸せだから、まあ、いいか。





~END~













最後までお読みいただき、ありがとうございました\(^o^)/
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