亡国の王弟は女好きの騎士に溺愛される

コムギ

文字の大きさ
24 / 32

24【食事の時間】※R18

しおりを挟む
 暗闇にいるせいで、どれほどの時間が経ったのか、定かではない。靴音と明かりが迫ってきて、壁掛けに松明の火が灯されると、ゾルターンの姿が浮かび上がった。

 食事の時間だ。野菜を煮込んだ汁の匂いがする。

 暗闇にいると、音や匂いに敏感になる。肌への感触も。

 霞がかった視界から少しずつ明かりに慣れてくると、頭巾の下のゾルターンの顔がはっきりした。手を伸ばして、ルカーシュの身体に触れてくる。払おうとするも枷が邪魔をする。

「無駄なことをしますね」

 苦笑混じりに言うと、無理矢理に身体を起こされた。

「さあ、食べてください」

 寝台に置かれた木製の皿。

 最初の頃は木の匙を使って口元まで持ってきていた。ルカーシュが激しく抵抗して、飲ませられないと気づいたのか、今では顎を掴まれて、強引に流し込もうとする。

「熱くはないはずです。わざわざ冷ましてあげましたからね」

 皿を斜めにすると、自分の意思とは関係なく、汁が口に入ってくる。恐ろしいのは口が満杯になった時だ。

「飲み込んで」

 耳障りな優しい声で囁くと、ゾルターンはルカーシュの唇を塞いだ。こうやって酸欠になる前に、汁を飲ませるのだ。目尻から涙が流れる。なめくじが唇を這う感触がし、強く押し当てられた。ゾルターンの匂いが鼻を通っていく。

 ルカーシュは汁を飲み込んだ。抗えない自分を殴りたくなる。地獄は終わらなかった。

 口の中にゾルターンの分厚い舌が入り込んでくる。ルカーシュは目の前の胸板を両拳で叩くが、びくともしない。むしろ、抵抗を奪うように背中に腕を回されて、身体が密着した。胸の前に突き出した両手分しか距離がない。

「はっ、ルカーシュ」

 合間に名前を呼ばれて、背中に悪寒が走った。もはや、ゾルターンはルカーシュにとって、かつての仲間ではなく、嫌悪の対象になっていた。肌に触れる指も、腰を抱き寄せる腕も、ルカーシュの顔中に押し当ててくる唇も、すべてが気持ち悪い。

 今日に限っては、ルカーシュの腿に硬い雄が擦り付けられた。悲鳴を上げたくなるが、唇はまた強引に塞がれる。目尻から涙が溢れた。何度もとめどなく流れて、ルカーシュの視界を滲ませた。

「可愛い、ルカーシュ。あなたを明るい中で抱きたい。早く私の手の中に墜ちてください」

 この地下室から出る時には、ゾルターンに抱かれる。それは想像するにもおぞましく、ただの恐怖でしかなかった。



 ゾルターンが来るまで、壁がある方に身体を向けて、とにかく目を閉じる。眠ることはなかったし、いつでもシモンがルカーシュの頭の中を占めていた。見えない分、明かりがない方がいいのではと思うようになっていた。

 明かりは希望ではない。ゾルターンの来訪を告げる。靴音が近づいてくるのは、時間制限を表しているかのようだ。

 毎回、やってきては、汁を飲ませる。口づけをする。飲み下したのを確かめてから、奥にまで舌を入れる。その流れは変わらない。

 それでも少しずつ変わってきていることもある。口づけの時間がどんどん長くなっていることだ。それに、股間を擦り付けられて、寝台に押し倒される。

 今日も顔中に唇を押し当てられるが、ルカーシュは反応しなかった。生温い息が耳にかかる。

「我慢がきかなくなりそうだ」

 不吉な囁きに鳥肌が立ってくる。

 ルカーシュが身体に身につけているのは、薄い生地でできた頼りない衣服である。女性用なのか、袖はなく、腰に巻きつけるかたちの肌着のようだ。ゾルターンが着替えさせる時に「破いてしまいそうです」と言っていたのには震え上がった。そういう気を起こすという可能性が怖かった。

 鎖は外されて、蛇のように床に滑り落ちる。

 薄手の布の上をゾルターンの手が這っていく。背中や腰となぞっていき、その指は尻を撫でた。身体が強張るのを感じた。悲鳴を上げそうになり、ひくっと喉を閉じる。

 尻の割れ目を戯れのように撫でられた。嫌で仕方なく身じろぐが、ゾルターンの身体が体重で押さえつけてくる。何せ、ゾルターンは、おのれの雄をルカーシュの腿に擦り付けている。ここで、ルカーシュが動くと、服ごしでも雄を擦り上げる結果になった。

 それに味をしめたのか、ゾルターンはルカーシュの服の裾をたくし上げた。

「い、やだ!」

 足をばたつかせて抵抗するが、ゾルターンの手が押さえつけてくる。固く閉じた足の間に、おのれの雄を挟み込むと、腰を揺らしはじめた。

「んっ、ふうっ、ルカーシュ、いいよ」

 ルカーシュの太腿を掴みながら、前後に腰を振っている。その度に寝台は軋む。

 ルカーシュの心は冷え切って、恐怖で縮こまっているのに気にした様子はない。ひたすら内腿に熱い雄が擦り付けられて、気持ち悪かった。おのれの快楽のために身体を犯し続ける男が、ルカーシュはただひたすらに憎かった。

「ああ! 最高だ! ルカーシュ! ルカーシュっ!」

 最後に激しく腰を揺らし、頂点に上ろうとしているのがわかった。限界を迎えたのか、ゾルターンは雄の先端をルカーシュの腹部に向けた。鈴口から勢いよく吐き出すと、白濁液で汚した。

 終わりかと思いきや、ゾルターンの雄はまた起き上がっていた。

「今度はうつ伏せで犯そうか」

 ルカーシュは身体を投げ出したまま、人形のように横たわっていた。うつ伏せにされようが、白濁液を全身に浴びようが、何の感情も起こさないと決めた。

「そのうち、ここを使いますからね」

 むき出しの尻穴に指を埋められた。異物感しかなく、顔を歪めていたとしてもゾルターンは気にしないようだった。ルカーシュの頬や項を舐め回すと、またしても自慰を始めた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

恵方巻を食べてオメガになるはずが、氷の騎士団長様に胃袋を掴まれ溺愛されています

水凪しおん
BL
「俺はベータだ。けれど、クラウス様の隣に立ちたい」 王城の厨房で働く地味な料理人ルエンは、近衛騎士団長のクラウスに叶わぬ恋をしていた。身分も属性も違う自分には、彼との未来などない。そう諦めかけていたある日、ルエンは「伝説の恵方巻を食べればオメガになれる」という噂を耳にする。 一縷の望みをかけ、ルエンは危険な食材探しの旅へ! しかし、なぜかその旅先にはいつもクラウスの姿があって……? 勘違いから始まる、ベータ料理人×氷の騎士団長の胃袋攻略ラブファンタジー!

憎くて恋しい君にだけは、絶対会いたくなかったのに。

Q矢(Q.➽)
BL
愛する人達を守る為に、俺は戦いに出たのに。 満身創痍ながらも生き残り、帰還してみれば、とっくの昔に彼は俺を諦めていたらしい。 よし、じゃあ、もう死のうかな…から始まる転生物語。 愛しすぎて愛が枯渇してしまった俺は、もう誰も愛する気力は無い。 だから生まれ変わっても君には会いたく無いって願ったんだ。 それなのに転生先にはまんまと彼が。 でも、どっち? 判別のつかないままの二人の彼の愛と執着に溺死寸前の主人公君。 今世は幸せになりに来ました。

ヒールオメガは敵騎士の腕の中~平民上がりの癒し手は、王の器に密かに溺愛される

七角@書籍化進行中!
BL
君とどうにかなるつもりはない。わたしはソコロフ家の、君はアナトリエ家の近衛騎士なのだから。 ここは二大貴族が百年にわたり王位争いを繰り広げる国。 平民のオメガにして近衛騎士に登用されたスフェンは、敬愛するアルファの公子レクスに忠誠を誓っている。 しかしレクスから賜った密令により、敵方の騎士でアルファのエリセイと行動を共にする破目になってしまう。 エリセイは腹が立つほど呑気でのらくら。だが密令を果たすため仕方なく一緒に過ごすうち、彼への印象が変わっていく。 さらに、蔑まれるオメガが実は、この百年の戦いに終止符を打てる存在だと判明するも――やはり、剣を向け合う運命だった。 特別な「ヒールオメガ」が鍵を握る、ロミジュリオメガバース。

【本編完結】おもてなしに性接待はアリですか?

チョロケロ
BL
旅人など滅多に来ない超ド田舎な村にモンスターが現れた。慌てふためいた村民たちはギルドに依頼し冒険者を手配した。数日後、村にやって来た冒険者があまりにも男前なので度肝を抜かれる村民たち。 モンスターを討伐するには数日かかるらしい。それまで冒険者はこの村に滞在してくれる。 こんなド田舎な村にわざわざ来てくれた冒険者に感謝し、おもてなしがしたいと思った村民たち。 ワシらに出来ることはなにかないだろうか? と考えた。そこで村民たちは、性接待を思い付いたのだ!性接待を行うのは、村で唯一の若者、ネリル。本当は若いおなごの方がよいのかもしれんが、まあ仕方ないな。などと思いながらすぐに実行に移す。はたして冒険者は村民渾身の性接待を喜んでくれるのだろうか? ※不定期更新です。 ※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。 ※よろしくお願いします。

歳上公爵さまは、子供っぽい僕には興味がないようです

チョロケロ
BL
《公爵×男爵令息》 歳上の公爵様に求婚されたセルビット。最初はおじさんだから嫌だと思っていたのだが、公爵の優しさに段々心を開いてゆく。無事結婚をして、初夜を迎えることになった。だが、そこで公爵は驚くべき行動にでたのだった。   ほのぼのです。よろしくお願いします。 ※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる

ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。 ・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。 ・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。 ・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。

処理中です...