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14.ガラクタ部屋のタイムカプセル。
しおりを挟む改めて見るとすごいガラクタの数々だ。
こりゃ処分のしがいがありそうだぜ。
「よし、じゃあヒルク!
まずはこのデカい棚を運び出すぞ!」
「おっし!任せろっ!」
俺とヒルクが手を掛けたその時、母さんが話を切り出す。
「待って!私、この部屋にある古い家具とか小道具、懐かしい気持ちになれるから気に入っちゃったわ。
なんだか捨てるの可哀想だから、お掃除だけにしましょ?」
「本当かよ母さん。こんなシミだらけの棚も置いておくのか?」
「ええ、きっとこの家具たちは、私たちと同じく永い時を生きてきたと思うの。
だから近くにあると落ち着くのかも知れないわ。」
「アタシも賛成なのよっ!サヤカさんがいいなら処分じゃなくてお掃除に切り替えるのよ!」
「腕が鳴るさねぇ!掃除ならウチに任せておくれよ!」
ユータンは腕まくりをして気合が入っている。
俺はまたヒルクがやらかさないように釘を刺す。
「おい、ヒルク。もう俺の歯ブラシとか使うなよ?」
「分かったって!その件は悪かったよ!」
しばらくみんなで黙々と掃除をした。
俺はこの部屋を掃除していると、元の持ち主がどんな人なのか少しずつ分かってきた。
掃除が一段落ついたので、俺はみんなに話しかける。
「この部屋の物、一見ただのガラクタだけど、見る人が見たら価値が付きそうな品ばっかりだよな。」
「だけど、何でこんな貴重なコレクションを放置してお家を売りに出しちゃったのかしらね?」
母さんは真っ当な疑問をぶつけた。
「さあな。何か急に出て行かなきゃいけない理由でもあったんじゃないか?」
だが俺には何も理由は思いつかなかった。
あれこれ仮説を立てて考えていると、ヒルクがお宝を見つけた。
「おい!みんな見てみろよ!金庫だぜ!
きっと一番のお宝がこん中に眠ってるに違いねぇ!
...って、ありゃ。開いちまったぞ。
鍵は壊れちまってたみたいだな。」
開けると、中には小箱と...、女性と男の子が写っている写真。
それを見てユータンが何かに気がつく。
「もしかして、この子ってコウを撃った男の子じゃないかい?
てことは、こっちの女性は母親かねぇ。いかにも骨董品マニアって風貌だけど、二人はそっくりだよ。」
「にしてもよぉ、いくら写真が大切だからって金庫に入れるってのは変わりもんだよなぁ。」
「きっとゴブリンに襲われた時も、我が子を大切にしまうように身を挺して守ってくれたのかもねぇ。
いざという時のためにピストルも持たせてやったのかねぇ。」
「母ちゃんのこと、思い出しちまうな...。」
ヒルクとユータンにとっては辛い思い出のようだな。
一方で俺は小箱も気になっていた。
裏を見ると、見覚えのあるマークが記されている。
「母さん、このマークって何だか分かるか?」
「これ...、お父さんの会社のロゴよ。
もしかしたら、タイムカプセルなんじゃないかしら?
でも、パスコードを入力しないと開かないみたい。
前の持ち主は開けられなかったみたいね。」
「パスコードか...、それこそ母さん心当たりないのかよ?
ってか!今見つけたんだけど、値札!
一億ゼニーって!!」
カネの話になると、すぐにヒルクが反応する。
「い、一億ゼニー⁉︎
そんな大金、どうやって払ったんだぁ?
でも確か、相棒のことを王国に引き渡せば百億ゼニー貰えるんじゃなかったか?」
「おい!イジるなよヒルクっ!
でも、ほぼ全財産はたいて買ったんだろうな。」
「なぁるほどなぁ。だからこんなボロ家にしか住めなかったのか。」
「ボロ家って...、これでも今はアタシの大切なお家なのよ...。」
ミズナは悲しいような怒ったような表情をしている。
「すまねぇミズナ!そういう意味じゃ...。」
またいつものヒルクの悪ノリに俺は少し呆れた。
母さんは黙々とパスコードを入力している。
ガチャ。
「あ!開いたわよ!」
「はやっ!てっきり難航してミズナに頼る展開になるかと思ってたぜ。
なんのコードを入力したんだよ?母さん。」
「んー、コウに言うのは恥ずかしいんだけど~。
結婚記念日?的な?キャッ。」
「サヤカ様っ!結婚してたのかよぉっ!」
「「当たり前だろっ!!」」
一同、ツッコミを入れた。
母さんが中を確認すると、手のひらサイズの機械が入っていた。
これがおそらくスマホだ。
「これ、お父さんのよ。
...ダメね、電源は入らないわ。
ミズナちゃん、ちょっと見てもらってもいいかしら?」
「はい!もちろんなのよ!
...んー、これ充電器ですよね?でも今のコンセントと規格が違うみたいなのよ。
でもアタシこういうのも得意だから、もしかしたら動かせるかもしれないのよ!」
そう言うと、ミズナは自室に入った。
と思ったら、何やらコードを持って出てきた。
やはり、超絶早技だ...。
「これできっと動くようになるのよっ!」
俺はこれから、父さんに関する重大な情報を目にするんだ...。
そう考えると緊張感と期待感でソワソワしてくる。
しばらく充電をすると、パッとスマホの画面が映る。
そこには、四人家族の写真が映っていた。
「母さんっ、これって俺の家族なのか...?」
涙を堪える母さん。
「...そうよ。これが千年前のあなたとその家族。
あなた、お父さんにそっくりでしょ?...ふふ。」
確かに肌の色は今と違うが、間違いなく俺と母さんだ。
そうだ、思い出したよ。父さん、ヒカリ...。
俺たち三人で毎日ご飯食べてたよな...。
感情が溢れそうになった。が!その時、
「これっサヤカ様ですかぁっ⁉︎
今のお肌も素敵ですけど、白いお肌もなかなかっ...」
うんざりしたユータンがヒルクをぶん殴る。
「...はぁ。空気読めバカ弟...。」
「ふふっ。ありがとうヒルク君、ユータンちゃん。
久しぶりに家族に会えて、嬉しかったわ。
他にも家族で撮った写真ないかしら?」
母さんは少しの間、スマホをいじる。
「...あら?このスマホ、今見た待ち受け画面の写真以外は何もデータが残っていないわ。
きっと想定よりも永い時間使われなかったから、データが消えてしまったのね...。」
「そんなっ⁉︎それじゃ父さんがスマホを残して何を伝えたかったのか分からないじゃないか!」
「それはそうだけど...、そもそもお父さんのスマホがここにあるだけでも奇跡よ。
それにお父さん、コウは死んでしまったと思ってるし、お母さんがコールドスリープの研究をしてる事も知らないから、遥か未来の私たちにメッセージを残そうとしたとは考えにくいわ...。」
確かに母さんの言う通りだ。
にしても、何故スマホをタイムカプセルに入れたのか、何故それが高額で売買されていたのか、何も分からない。
「ねぇねぇ!また何か面白そうなの見つけたのよっ!
この本見てっ!見た事ない文字で書かれているのよ!
これもサヤカさんは分かったりするんですか?」
ミズナが分厚い本を手に取って見せる。
「この文字は...、エウローペ語よ。私が昔生きていた時代では、世界で最も使われていた言語だったわ。
それに、そもそもここエウローペでは全員がこの言葉を話していたわ。」
俺はこの時、これまでの違和感に気がついた。
逆に何故こんな事も気づかなかったんだとさえ思った。
「なぁ、ミズナとヒルクとユータンはジャポルネ語を話すよな?
それは元々、俺や母さんの故郷である小さい島国のジャポルネでしか話されない言葉だったんだけど、どうしてお前らはこの言葉を話すんだ?」
「どうしてって言われても...、アタシたちは生まれた時からこの言葉しか知らないのよ。
それがコウの故郷の言葉なんて事も初耳なのよ。」
「母さん。これって世界からジャポルネ語以外の言葉が消えたって事じゃないか?」
「そうね...。お母さんもそう思うわ。
街で見た看板もなにも全部ジャポルネ語だったもの。」
「もう何が何やら分からない事だらけで全然掃除進まないのよ...。
ちなみにサヤカさん、その本には何が書いてあるんですか?」
「これは...、歴史書ね。
中身もパラッと見た感じだけど、三千年前からつい五十年前の事までビッシリ書いてあるみたいだわ。
時間さえ貰えたら私が解読するわよ?」
「さっすがサヤカ様っ!
こんなグニャグニャの文字が読めるなんて...!」
「母さん、俺にも手伝わせてよ。
俺も少しはエウローペ語読めるんだぜ?」
「ありがとう。コウ。
じゃあ今夜二人で解読しましょうか。
とりあえず、今は寝られる状態になるまでもう少しお掃除頑張りましょ!」
俺らは掃除を再開した。
今晩、空白の千年間の歴史が明らかになるんだ...。
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