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第十七話「聖姫帰還祝賀記念だ!」
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今日の夕暮れのターヴァ領は、いつもとは別世界だった。
広場に、色とりどりの布が吊るされ、子どもたちが描いた花の絵が風に揺れている。
焚き火がぱちぱちと音を立て、焼きたてのパンの甘い香りと、蜂蜜酒の匂いが混じり合う。
「聖姫さまー!こっちこっちー!」
孤児院の子どもたちに手を引かれ、アデリアは広場の中央へと連れていかれた。
白いワンピース姿に小さな花冠を載せられ、頬にははしゃぐ子どもたちによって無理やり紅を塗られてしまった。
「もう、みんな……こんなに大げさにするって言ったのに」
「だって!聖姫さまが帰ってきてくれたんだもん!お祝いしなきゃ変でしょ!」
「そうだそうだ!!聖姫帰還祝賀記念だ!」
「難しい言葉知ってるのね……」
子どもたちに囲まれ、アデリアは困ったように笑った。その笑顔を見た瞬間、広場に集まっていた領民全員がどっと声を上げた。
「アデリア様ぁー!おかえりなさいませー!!」
「今日はゆっくりしてくださいね!!」
「聖姫さまの笑顔が、一年分の幸せです!」
もう「アデリア」ではなく「聖姫さま」と呼ばれるのが当たり前になっていた。というより帰ってきてからは兄くらいにしか「アデリア」と呼ばれた覚えがない。
アデリアは最初こそ照れていたが、もう諦めたように小さく手を振り返す。
「……ありがとう。みんな、本当に」
その声は風に乗って広場全体に届いた。すると、どこからか笛と太鼓の音が鳴り始め、領民たちが輪になって踊り出す。子どもたちがアデリアの手を取って輪の中へ。
「え、ちょっと、私も……?」
「いいからいいから!」
「今日は主役なんだから!」
抵抗する間もなく、アデリアは輪の中心に立たされた。
ぎこちなくステップを踏みながら、彼女はふと気づいた。
(……私、こんなに笑ってる)
王都にいた頃は、こんな風に笑うことすら許されなかった。
仮面のような微笑みしか浮かべられず、心からの笑顔はどこかへ置き忘れていた。
でも今、頬が痛いほど笑っている。久しぶりに。
「聖姫さま、もっと笑ってー!」
「ほら、こっち向いてー!」
子どもたちの声に促され、アデリアは両手を広げて大きく回る。
銀金色の髪が夕陽に輝き、まるで光の輪が彼女を包んでいるように見えた。
その光景に、広場にいた全員が息を呑んだ。
「……やっぱり、神さまの娘だ」
老いた農夫がぽつりと呟く。
「この領地に光が戻った……本当に戻ったんだ」
隣で涙を拭う老婆。
焚き火の向こうで、レオナルドは腕を組んで立っていた。
(妹よ……お前がここにいるだけで、みんながこんなに幸せになれるなんて)
彼は静かに目を細めた。
アデリアは気づかない。自分が放っている、ほのかな白い光を。
子どもたちを抱きしめながら、彼女はただ、心の底から思った。
(私、今すごく楽しい。この場所こそ、私が居るべき場所だったんだ)
祭りの喧騒の中で、誰にも聞こえない小さな声で、彼女は呟いた。
「……ありがとう。みんながいてくれて、本当に良かった」
その言葉を、風が優しく運んでいった。夜空に最初の星が灯る頃、ターヴァ領は心からの笑い声に満ちていた。
広場に、色とりどりの布が吊るされ、子どもたちが描いた花の絵が風に揺れている。
焚き火がぱちぱちと音を立て、焼きたてのパンの甘い香りと、蜂蜜酒の匂いが混じり合う。
「聖姫さまー!こっちこっちー!」
孤児院の子どもたちに手を引かれ、アデリアは広場の中央へと連れていかれた。
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「もう、みんな……こんなに大げさにするって言ったのに」
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「……ありがとう。みんな、本当に」
その声は風に乗って広場全体に届いた。すると、どこからか笛と太鼓の音が鳴り始め、領民たちが輪になって踊り出す。子どもたちがアデリアの手を取って輪の中へ。
「え、ちょっと、私も……?」
「いいからいいから!」
「今日は主役なんだから!」
抵抗する間もなく、アデリアは輪の中心に立たされた。
ぎこちなくステップを踏みながら、彼女はふと気づいた。
(……私、こんなに笑ってる)
王都にいた頃は、こんな風に笑うことすら許されなかった。
仮面のような微笑みしか浮かべられず、心からの笑顔はどこかへ置き忘れていた。
でも今、頬が痛いほど笑っている。久しぶりに。
「聖姫さま、もっと笑ってー!」
「ほら、こっち向いてー!」
子どもたちの声に促され、アデリアは両手を広げて大きく回る。
銀金色の髪が夕陽に輝き、まるで光の輪が彼女を包んでいるように見えた。
その光景に、広場にいた全員が息を呑んだ。
「……やっぱり、神さまの娘だ」
老いた農夫がぽつりと呟く。
「この領地に光が戻った……本当に戻ったんだ」
隣で涙を拭う老婆。
焚き火の向こうで、レオナルドは腕を組んで立っていた。
(妹よ……お前がここにいるだけで、みんながこんなに幸せになれるなんて)
彼は静かに目を細めた。
アデリアは気づかない。自分が放っている、ほのかな白い光を。
子どもたちを抱きしめながら、彼女はただ、心の底から思った。
(私、今すごく楽しい。この場所こそ、私が居るべき場所だったんだ)
祭りの喧騒の中で、誰にも聞こえない小さな声で、彼女は呟いた。
「……ありがとう。みんながいてくれて、本当に良かった」
その言葉を、風が優しく運んでいった。夜空に最初の星が灯る頃、ターヴァ領は心からの笑い声に満ちていた。
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