麗紗ちゃんは最狂メンヘラ

吉野かぼす

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第四章 プレゼントですよ先輩!

凍てつく双竜

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「凍牙あなた、何があったの……!?」
『おい! オレは凍牙じゃねえ……峠だ! マチガエるなよ!』

「一人が二人に増えただけです。お気になさらずに」

 二人はそう言って氷の惑星を放つ。
 何もかも凍り付かせるような冷気と共に。

「まあ何だっていいわ……あなた達の身の程を教えてあげる」

 麗紗はその氷の惑星を桃色の糸で撥ね返そうとしたが……氷の惑星は麗紗の想像を超える威力を持っていた。

 桃色の糸が氷の惑星を抑えきれず、麗紗の体は壁を突き抜け空中に飛び出した。

「なっ……!? 威力が上がってる……!? 前の凍牙とは比べ物にならないじゃない……!」

 麗紗は二人の攻撃の威力に驚かされる。

「まあ、それでも私には勝てないわ」

 桃色の糸が氷の惑星を一瞬で塵に帰す。
 氷の惑星は、ただ麗紗を驚かせただけだった。

 麗紗は桃色の糸で翼を象り、空中に留まる。
 峠はその様子を見て凍牙に言う。

『おいおい……全然効いてねーじゃん! どうすんの!?』
「あれが私達の本気って訳じゃないだろう? 大丈夫だ」

『そういやそうだったな! 忘れてたぜ!』
「話している時間は無い! 行くぞ!」

『おう!』

 二人は氷の足場を作り壁の外に出る。
 空気が二人の冷気に傅き白銀に変わる。

『次はオレ一人で撃たせてくれ。ハデなの撃ちてえ!』
「建物壊すなよ!」

『大丈夫だ! たぶんな!』
「……ほ、本当か? 大丈夫だよな?」

 凍牙は峠の言葉に不安を覚えつつも峠に攻撃を譲る。

『よし行くぜ! ドラゴンバレットォ!!!』

 峠は氷の竜を作り出し、麗紗に放つ。
 氷の竜は冷気を纏いながら麗紗にその顎を開く。

「随分と荒い氷細工ね。壊しやすいだけじゃない」

 しかし麗紗にその牙は届かなかった。
 氷の竜は数多の桃色の糸に切り刻まれてしまう。

『おいそりゃないって!』
「……派手なのを撃つんじゃなかったのか?」

『撃ったよ! そしたらこれだ! あいつの力は一体どうなってんだよ!?』
「やっぱり普通にやっても勝てないか……」

 必殺技を防がれて慌てふためく峠に対し、凍牙は冷静に判断を行う。

「何をやっても無駄よ」
『うわあ来るんじゃねえ! ドラゴンバレットォ!』

 峠は怯えつつも麗紗が放ってきた糸に氷の竜を放ち相殺する。

「おい峠、ここは私がお嬢様を攪乱する! お前はその隙を付いて一発派手なのを入れてくれ! 建物の一つや二つは巻き込んでもいい!」

『本当か!? さっきと言ってる事が違うぞ凍牙!』
「考えを改めたんだよ! 行くぜ!」

 凍牙は手から猛吹雪を放ち、麗紗の周囲を白色で埋め尽くす。

「ぐっ……! 視界が……!」
「よし……畳み掛ける!」

 動きを止められた麗紗に、凍牙はさらに氷弾を連発する。

 白色の世界の中に、透明な氷弾が飛び込んでいく。

「きゃっ!? ど、どこから攻撃が来てるの!?」

 麗紗は不可視の攻撃に大いにたじろいだ。
 手応えを感じた凍牙は峠に合図する。

「今だ峠!」
『おう! 何回でもやってやるぜ! フリーズドラゴンバレットォ!!!』

 峠は時間をも凍てつかせるような冷気を凝縮し、白銀に輝く竜を降臨させる。

 空気中の水分が結晶化し幻想を描く。

『オレ達の峠……見せてやるよ! うおおおおおおおおおおっ!!!』
「はあああああああああああああっ!!!」

「こ、これは――っ!?」

 二人は自らの体の限界を超えて白銀の竜を飛翔させた。

 白銀の竜は何もかもを凍てつかせ、輝きで包み込んだ。

 二人はその光景を見届けると力を使い果たし足場に片膝をついた。

「はあっ……はあっ……こんな威力出すなんて聞いてないぞ……」

『わりいわりい……でもすげえだろ? オレ達、こんな力が出せるんだぜ……!』

「そうだな……おかげで、目的も達成できた」
『感謝しろよ……へへ……』

 二人は、自分達の力が通じた事に感激する。
 協力し合えば、ここまで強くなれるのだと。

「ふーんよかったわねー。で、あなた達の目的って何だったのかしら?」

『……嘘だろ』
「……そんな」

 しかし上には上がいる。

「まあどうでもいいわ。く……くしゅん! ちょっと風邪ひいちゃったけどこの位何ともないし。そこでぐっすり寝てなさい」

『うっ……』
「あっ……」

 二人は麗紗に桃色の糸を巻き付けられ気絶させられてしまった。

「ほんとこの人達何がしたかったのかしら……まあ放っておきましょう」

 麗紗は不思議に思いつつも二人から目を逸らし、NNNの中に戻っていった。

 二人がこの戦いにおいて麗紗に多大な損害を与えている事も知らずに。




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