麗紗ちゃんは最狂メンヘラ

吉野かぼす

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第四章 プレゼントですよ先輩!

ふやけた姉妹

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 とある白一色の部屋にて。

「ついに現れたか……!」
「どうしたのygrt……何かあったの?」

 地球上のどこにも存在しない言語の名を持つ彼女は、ある事を察知し椅子から立ち上がった。

 そんな彼女を、麗紗に酷似した容姿の少女が不思議そうに見つめる。

「その前にヘルル、ここではgke語を使わないように決めたんじゃなかったのかい?」

「ああそうだったわ……ごめんねエリア」
「可愛いから許す!」

 椅子から立ち上がった彼女――エリアは麗紗によく似た少女――ヘルルの髪をわしわしと撫でて目を細める。

「もう……やめてよエリア……それより何があったの~?」
「あっ、すまない。すっかり忘れていた」

 愛しのヘルルを愛でるのに夢中で重大な出来事を忘れるエリア。
 最愛の妻の前ではどんな出来事も霞んでしまうのだ。

「“上限”に辿り着いた人間が現れた……」
「へ~。それってすごいの?」

「私達とは体の構造が違う人間が“上限”に辿り着ける可能性は低かった……だから凄い事だよ」

「なるほど~」

 人間が己の限界を超えて可能性をも超えた。
 それは凄まじい偉業だった。

 ちなみにその偉業を成し遂げた人間というのは漢野の事である。

「その人間はどうするの?」

「そこなんだよ。ぜひともどんな人間なのか知りたい! うーん……そうだな……」

 エリアは少し考え込んでから――。

「ソイア、ピッセロ」
「「はっ」」

「人間に“上限”に辿り着いた者が現れた。勘付かれないように調べてきてくれ。向こうから手を出してきた時以外は手を出さないようにな」

「「はっ」」

 二人の部下に“上限”に辿り着いた者を監視させる事に決めた。
 非人道的だが、彼らは人類ではないのでそんな道理は通用しない。

「その人間の居場所は随時知らせる。それじゃあ頼んだよ」
「「はっ」」

 エリアは部下たちが即座に任務に取り掛かるのを見送ると、笑いを堪えきれずに膝から崩れ落ちた。

「やはり人間は面白い……! “起素きそ”を散布したのは最良の判断だった……! フハハハッ! もっと私とヘルルを楽しませろよ……人間ッ!」

「わたしはぜんぜん楽しくないよエリア?」
「へ?」

 ヘルルに冷ややかに言葉を浴びせられ固まるエリア。

「エリアがわたし以外の存在に興味を持つなんて珍しいよね。エリアならずっと私を見てくれるって思ったのに。こういうの人間の言葉ではなんて言うんだっけ……あっそうだうわきだ。エリア、うわきするなんてひどいよ。エリアにそんなひどいことされてわたしは楽しいどころかすっごくかなしいよ? なんでわかってくれないの? わたしのことがどうでもよくなっちゃったの?」

「うわあああああああ! 違うんだ! 違うんだヘルル! 正直ヘルルに比べたらこんな奴等その辺の瓦礫よりも興味ないんだ!」

 エリアは背筋の凍る思いで大慌てで弁明する。
 しかしヘルルの目線は冷たいままだ。

「じゃあわたしが今すぐこいつら全員消して来てもいい? がれきよりも興味がないんだったら壊してもいいよね?」

「やめろ! 君はそんな物騒な事言わないでくれ! 私は君の事をいつでも想っているから! 永遠に想っているから!」

 そんな彼女にエリアは必死に自分の想いをぶつけた。
 するとヘルルの眼差しが、だんだんと柔らかくなっていく。

「ほんと……?」
「ああ本当さ」

「わーい! エリアだーいすきっ!」
「私もだよ!」

 ヘルルはそう言ってエリアに抱き着いた。
 ほっと安心してエリアは温もりに包まれ幸せを嚙みしめた。



「まさか上限に辿り着く人間が出るなんてねぇ」
「どうせ大したことないと思うわよソイアお姉様」

 エリアの部下二人――ソイアとピセッロは件の人間の元へと向かっていた。
 姉妹で仲良く話しながら。

「こらこら。そんなこと言わないのピセッロ」

「あら? 今日のお姉様はずいぶん強気ねえ。あとで私にベッドでひいひい言わされる覚悟があるの?」

「ひっ……ごめんなさいごめんなさい……今は任務の途中だからそういう事言っただけでお姉ちゃんはあなたの奴隷だからねっ! あとでいくらでもお仕置きしていいからね……ていうか、してくださいお願いしましゅ……はぁはぁ……」

「お姉様……任務中でもはしたない悪いお口はこうよ」
「んっ――!」

 任務中とは思えない言葉を羅列する姉の口をピセッロは自身の唇と舌でふさぐ。

「んむっ……ん……」
「むうっ……っ……」

 二人の間で熱く唾液の交換がされる。
 しばらくしてピセッロの方から唇を離した。

 透明な糸がとろんと垂れる。

「私達ならどんな奴でも関係ないわよね? お姉様?」

 ピセッロは妖艶な笑みを浮かべながらそう言ってソイアの手を握った。
 もちろん恋人繋ぎで。

 ソイアは顔をふやけさせてにんまりと微笑んだ。

「はいぃ……!」

「さっさとどんな奴か確かめてあげましょう……こっちははやくお姉様を虐めたいのよ」

「やったぁ……! はやく終わらせなきゃね!」
「地球に来てもお姉様は変態なのね。救いようが無いわ」

「えへへ……いやあそれほどでも~」

 そうして、地球に謎の存在が降り立った。





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