麗紗ちゃんは最狂メンヘラ

吉野かぼす

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私、やっと分かったんだよ麗紗

脳姦雲度

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「行かなきゃ……!」

 麗紗が玄関のドアノブを掴んだその時。

「腹は決まったみてえだな」
「耕一郎……」

 耕一郎がそう声を掛けた。
 彼のその手の中には、虹色の何かが握られていた。

「そんなお前に、千歳からの送りもんだ」
「えっ……千歳から……?」

 思わぬ送り主に驚く麗紗に、耕一郎はそれを無愛想に手渡した。



 漢野は赤い光を纏いながら殴り掛かる。

「行くぜオラァ!」

『お馬鹿さんね。少しは学習しなさいよ』
『これでも食らいなさい』

 二人は大砲を構え水色の砲撃を連射した。
 歴然とした攻撃範囲の差が漢野を追い詰める。

「とでも思ったか!?」
『『なっ!?』』

 漢野は水色の砲撃を全て殴り飛ばし二人との間合いを詰めた。
 二人は慌てて漢野に至近距離で砲撃を撃つ。

 漢野はその砲撃をまるでサッカーボールのように二人に蹴り返した。

『こいつイカれてるわお姉様!』
『やっぱり一筋縄じゃいかないみたいね!』

 二人は漢野の強さに眼を剥きつつも撥ね返された水色の光弾を大砲で受け止める。

 光弾は大砲に吸い込まれ、再び射出された。

「何!?」

 予想外の反撃に漢野は空高く吹き飛ばされる。

 その勢いを利用し、漢野は空中で体を体操選手のように回転させ宙を舞った。

 漢野はブーメランのように地上近くに帰り、二人に後ろ回し蹴りを放つ。
 回転がふんだんに乗った脚が二人を襲った。

「やってくれるじゃねえか! お返しだぁ!」
『『きゃあああああああああああああ!!!』』

 衝撃が大気にまで轟く。
 今度は二人が吹き飛ぶ番だった。

「くっ! さすがは漢野さん……もの凄い力です」
『オレ達も負けてらんねえなァ!』

「もちろん……!」

 凍牙と峠の二人はかつて琥珀だったものに氷の刃を降り注ぐ。

「ほら麗紗ぁ……! 天国に行ったら死ぬ事以外なら何でもできるんだよぉ! 永遠にいちゃいちゃできるんだよぉ! はやく行こうよぉ!」

 かつて琥珀だったものは瘴気の剣で氷の刃を斬り続ける。
 氷の刃がかつて琥珀だったものに届いた事は一度も無い。

 すべての氷の刃が瘴気の剣に鈍にされていた。

『あいつやべーな……さっきから全部の氷が斬られちまってるぜ』
「大丈夫……私達も無傷だ……!」

『それもそうだな! 今は五分ってわけか!』

 かつて琥珀だったものの強さに驚く峠に、凍牙は笑ってそう言った。

 事実、二人はかつて琥珀だったものの攻撃を一度も食らっていない。
 凍牙の“秘策”が非常に功を奏していた。

「峠……! あの技はあとどれ位で撃てるんだ?」
『もうちょいだぜ!』

「分かった! じゃあもう少しの辛抱だ!」
『おう!』

 凍牙はかつて琥珀だったものを牽制し、峠は力を溜める。

 その連携が取れているのも、凍牙がかつて琥珀だったものの弱点を的確に突けているからだ。

(やっぱり……! 今の琥珀さんは、一番近くにある物しか攻撃していない!)

 凍牙は氷弾を撃ちながら確信する。
 かつて琥珀だったものの弱点が自分の推測通りであった事を。

 かつて琥珀だったものは、まともに戦えばその圧倒的な殺傷力と攻撃を先読みする能力の前に誰もが断頭されてしまう。

 しかし、かつて琥珀だったものの目には全ての物が麗紗に見えている為、近くに他の物があれば処刑対象を他の物に変えるのだ。

 凍牙はこれを利用し、威力は度外視でただ速く撃つ事だけを意識して氷を放ち続ける事により、延々と自分をかつて琥珀だったものの処刑対象から外している。

 どんなに切れ味の良い刀でも、当たらなければどうという事はない。

『溜まったァ!』
「よし行くぞ!」

 峠が力を溜め切り、技の用意が整った。

『見せてやるぜ……!』
「私達の峠を!」

「『あああああああああああああああっ!!!』」

 二人は息を合わせて白銀の氷の竜を出現させる。
 白銀の竜が顎を開き、かつて琥珀だったものを食らい尽くそうとした。

「おっきい麗紗だぁ! あはは」

 瘴気の剣が、白銀の竜を微塵切りにする。
 まるで豆腐でも切るかのように。

「ここまで効かないとは……」
『ウソだろ……』

 二人はあまりの力の差に愕然とさせられる。
 かつて琥珀だったものが、二人の姿を麗紗として捉える。

「麗紗ぁ! そこにも居たんだね!」

「まずい!」
『くそっ……!』

 凶刃が、二人の首に向けて振るわれる。

「凍牙ぁーー!」

『駄目よ』
『させないわ』

「ぐあっ……!」

 漢野が行こうとするが、二人の攻撃に足止めされてしまう。

「や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 漢野が叫ぶも、かつて琥珀だったものがその手を止める事は無い。

「何が先に琥珀さんを止めてしまうかもしれません、よ。全然そんな事ないじゃない」

 瘴気の剣に、糸が無数に絡みつく。

「琥珀先輩を止めるのはこの私よ」
「……お嬢様……!」

 麗紗が、覚悟に満ちた表情で現れた。





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