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最終章 最狂の愛
132番目
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「えっ……」
確かに能力の仕組みはまだ解明されていない。
……でもこいつらが本当にそんな重要な事を知ってるのか?
「信じられない、か……無理もないだろう。君たちにとっては突拍子もない話だからな……まあ騙されたと思って聞いてくれ」
エリアは自分の武勇伝を語るような口調で話し始めた。
「まずは能力の根源について話さないとな……私達ヘルル族はさまざまな超能力を持っていたんだが、その根源が何であるのかは解明されていなかった。そこで、ある一人の科学者がその根源とは何なのかを研究し、そして能力からその根源を発見した。“起素”という、能力の元となる元素を。この元素が、私達の体の能力の発現要因かつエネルギーとなっていたんだ」
元素……!?
元素って118種類だけじゃなかったのか……!?
私文系だから分からない!
まあ宇宙は広いしあるのかもしれない。
こいつが本当の事を言っていればの話だけどね。
「この元素はかなり曲者でね。他の元素と比べてもかなり小さい上に透明だったんだ。当時の最高の性能の顕微鏡を使い、しかも特殊な光線を当てなければ目視できなかった。発見できないわけだよ」
地球人が解明できなかったのも無理もなかったんだろう。
これだけ技術が発展してそうなこいつら……ヘルル族も発見に苦労したんだから。
「この“起素”を発見した当時はものすごい反響だったそうだ。私はまだその時生まれたてだったから覚えていないがね……しかし、発見できたからといって技術的に“起素”を利用することは出来なかった。“起素”は能力者の身体から離れてしまうといつの間にかひとりでにどこかへ行ってしまうんだ。“起素”をかき集めて別の能力者の身体に投与してもほんのわずかな時間しか効果はなかった。定着させなければほぼ意味がなかったんだ」
駄目だったのか……。
しょうがないことなんだろうけど、努力が報われないのはつらいなあ。
「だが、とある一人のヘルル族が、“起素”を操り自分のモノにする能力を発現させた。そのヘルル族の誕生によって、“起素”をめぐる環境は激変した」
そんなとんでもない能力を持った奴がいるのか……。
そいつとはあんまり戦いたくないな……。
「そのヘルル族は“起素”という“起素”を搔き集め……神の如き力を得て、ヘルル族全体を支配した。そのヘルル族が“起素”を活用しヘルル族を飛躍的に強くした。そしてそのヘルル族は、ヘルル族のみならずそれ以外の星の生物も“起素”によって支配し、統治したのさ」
「そのヘルル族って、まさか……」
「君は察しがいいね。私のことだよ」
エリアはニヤッと意地の悪い笑みを浮かべて答えた。
最悪だ……。
よりにもよって私の目の前に一番戦いたくない敵がいるなんて……。
「だが私はただ他の種族を支配するのではなく、能力という飴を与えて支配してきた。その方が私達と他の種族の間で溝が出来にくくなる上に、その種族にとって支配を受ける大きなメリットが生じるからね。実際、殆どの種族は戦わずとも支配できた。多少能力を与えた所で所詮私達には到底及ばないし、これが一番効率的だった」
「じゃあ地球人が能力を使えるようになったのは……!」
「そう。私が“起素”を地球に散布したからさ。君たちを支配するために」
エリアはあっけらかんとそう言った。
まるでクーラーを付けといたよ、くらいの気軽さで。
こいつが……こいつが……!
地球人に特色者を誕生させた元凶なのか……!
「驚いたろう? まあそうだろうな? 驚くように言ってるんだから。まあそれでも地球人全員を能力に覚醒させるのは不可能だったね。地球人の中でも私達に近い者でないと“起素”がうまく定着してくれないからね……“起素”を無理矢理定着させる方法もあるにはあるがそれをやろうとするととてつもない時間が掛かってしまう……まったく、地球人は数が多すぎるよ。私達みたいにもっとこじんまりとしてればもっと進化できたというのに……」
「はあ……」
こいつも愚痴を言うことがあるんだな。
地球人って宇宙人から見てもめっちゃ多いのか……。
ていうかすごいさらっと特色者になる条件が判明したな。
ヘルル族に近い性質を持った人間。
狂人になることが特色者っていうのもあながち間違いでは無かったんだな。
そりゃ宇宙人に近かったら狂人にも見えるだろう。
「でもそれも時間の問題だろう。私はかなりいい加減に“起素”を散布したが、それでも地球人の何割かは能力に覚醒した。これは他の種族と比べても中々に優れているよ。私達と地球人は結構近い種族なんだろうね」
「いやそこはちゃんと散布しろよ……」
「数が多いから仕方ないだろう。時間と労力が利益に釣り合わないんだよ」
どうせなら地球人全員特色者にしてくれれば変に特別扱いさせられることもなかったのに……。
まあこの力で麗紗を守れるからいいんだけどさ。
「それはそれとして……能力ってのは便利だろう? それはもう、生活と切っては切れない程に……。君は想像したことがあるかい? 能力を持っていない自分を……!」
「……どういう意味?」
「私の能力は“起素”を操り自分のものにする能力……私はいつでも好きなときに地球上の“起素”を回収できるんだ……この意味が分かるね?」
「お前……っ!」
こいつが“起素”をばら撒いた一番の理由はそれか……!
能力の便利さで他種族を懐柔してから能力を奪うと脅して抗えなくさせる……!
仮に反乱が起きても能力を奪うだけでいい……!
こいつの手にかかればそれが簡単に出来てしまうんだ……!
確かに能力の仕組みはまだ解明されていない。
……でもこいつらが本当にそんな重要な事を知ってるのか?
「信じられない、か……無理もないだろう。君たちにとっては突拍子もない話だからな……まあ騙されたと思って聞いてくれ」
エリアは自分の武勇伝を語るような口調で話し始めた。
「まずは能力の根源について話さないとな……私達ヘルル族はさまざまな超能力を持っていたんだが、その根源が何であるのかは解明されていなかった。そこで、ある一人の科学者がその根源とは何なのかを研究し、そして能力からその根源を発見した。“起素”という、能力の元となる元素を。この元素が、私達の体の能力の発現要因かつエネルギーとなっていたんだ」
元素……!?
元素って118種類だけじゃなかったのか……!?
私文系だから分からない!
まあ宇宙は広いしあるのかもしれない。
こいつが本当の事を言っていればの話だけどね。
「この元素はかなり曲者でね。他の元素と比べてもかなり小さい上に透明だったんだ。当時の最高の性能の顕微鏡を使い、しかも特殊な光線を当てなければ目視できなかった。発見できないわけだよ」
地球人が解明できなかったのも無理もなかったんだろう。
これだけ技術が発展してそうなこいつら……ヘルル族も発見に苦労したんだから。
「この“起素”を発見した当時はものすごい反響だったそうだ。私はまだその時生まれたてだったから覚えていないがね……しかし、発見できたからといって技術的に“起素”を利用することは出来なかった。“起素”は能力者の身体から離れてしまうといつの間にかひとりでにどこかへ行ってしまうんだ。“起素”をかき集めて別の能力者の身体に投与してもほんのわずかな時間しか効果はなかった。定着させなければほぼ意味がなかったんだ」
駄目だったのか……。
しょうがないことなんだろうけど、努力が報われないのはつらいなあ。
「だが、とある一人のヘルル族が、“起素”を操り自分のモノにする能力を発現させた。そのヘルル族の誕生によって、“起素”をめぐる環境は激変した」
そんなとんでもない能力を持った奴がいるのか……。
そいつとはあんまり戦いたくないな……。
「そのヘルル族は“起素”という“起素”を搔き集め……神の如き力を得て、ヘルル族全体を支配した。そのヘルル族が“起素”を活用しヘルル族を飛躍的に強くした。そしてそのヘルル族は、ヘルル族のみならずそれ以外の星の生物も“起素”によって支配し、統治したのさ」
「そのヘルル族って、まさか……」
「君は察しがいいね。私のことだよ」
エリアはニヤッと意地の悪い笑みを浮かべて答えた。
最悪だ……。
よりにもよって私の目の前に一番戦いたくない敵がいるなんて……。
「だが私はただ他の種族を支配するのではなく、能力という飴を与えて支配してきた。その方が私達と他の種族の間で溝が出来にくくなる上に、その種族にとって支配を受ける大きなメリットが生じるからね。実際、殆どの種族は戦わずとも支配できた。多少能力を与えた所で所詮私達には到底及ばないし、これが一番効率的だった」
「じゃあ地球人が能力を使えるようになったのは……!」
「そう。私が“起素”を地球に散布したからさ。君たちを支配するために」
エリアはあっけらかんとそう言った。
まるでクーラーを付けといたよ、くらいの気軽さで。
こいつが……こいつが……!
地球人に特色者を誕生させた元凶なのか……!
「驚いたろう? まあそうだろうな? 驚くように言ってるんだから。まあそれでも地球人全員を能力に覚醒させるのは不可能だったね。地球人の中でも私達に近い者でないと“起素”がうまく定着してくれないからね……“起素”を無理矢理定着させる方法もあるにはあるがそれをやろうとするととてつもない時間が掛かってしまう……まったく、地球人は数が多すぎるよ。私達みたいにもっとこじんまりとしてればもっと進化できたというのに……」
「はあ……」
こいつも愚痴を言うことがあるんだな。
地球人って宇宙人から見てもめっちゃ多いのか……。
ていうかすごいさらっと特色者になる条件が判明したな。
ヘルル族に近い性質を持った人間。
狂人になることが特色者っていうのもあながち間違いでは無かったんだな。
そりゃ宇宙人に近かったら狂人にも見えるだろう。
「でもそれも時間の問題だろう。私はかなりいい加減に“起素”を散布したが、それでも地球人の何割かは能力に覚醒した。これは他の種族と比べても中々に優れているよ。私達と地球人は結構近い種族なんだろうね」
「いやそこはちゃんと散布しろよ……」
「数が多いから仕方ないだろう。時間と労力が利益に釣り合わないんだよ」
どうせなら地球人全員特色者にしてくれれば変に特別扱いさせられることもなかったのに……。
まあこの力で麗紗を守れるからいいんだけどさ。
「それはそれとして……能力ってのは便利だろう? それはもう、生活と切っては切れない程に……。君は想像したことがあるかい? 能力を持っていない自分を……!」
「……どういう意味?」
「私の能力は“起素”を操り自分のものにする能力……私はいつでも好きなときに地球上の“起素”を回収できるんだ……この意味が分かるね?」
「お前……っ!」
こいつが“起素”をばら撒いた一番の理由はそれか……!
能力の便利さで他種族を懐柔してから能力を奪うと脅して抗えなくさせる……!
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