44 / 77
第2章:異端審問官の学び舎
44:弾ける笑顔
しおりを挟む
感情がなく、突き刺すようなリリーの目に睨まれ、エディスはたじろぐ。
(このガキ、なんだ?とても神に身を捧げるヤツには見えない・・・。)
リリーの放つ言い様がない威圧感に、エディスは恐怖に似た違和感を覚えた。
「おっ、大人を下に見やがって!糞尿ぶちまけて後悔しちまえ!!」
怒りで虚勢を張り、エディスは毒犬たちにリリーを噛み殺すよう仕掛けてきた。
壁を駆けて滞空するリリーに迫る毒犬たち。
リリーは両サイドから襲ってきた犬二匹の脇腹を、身体を捻ってダガーナイフで斬りつけ着地した。
リリーの攻撃に『キャウン!!』と悲鳴を上げた犬だったが、すぐに立て直して牙を剥いて飛び掛かってきた。
リリーは地面を滑るように飛び、ダガーを構えてエディスに突撃する。
「ちっ・・・!!」
エディスがリリーに手を向けると、リリーの後ろにいた犬たちが猛スピードで戻ってきてエディスをガードする。
リリーは咄嗟に空中で一回転して後方に下がった。
「あたしの犬どもはあたしの命令だったら何でも聞くのさ!!どう近づくつもりだい!?」
エディスはそう豪語するが、守りに入った犬たちの腱から血が噴き出ている。
「操縦術で動物の出せる力の限界まで無理やり出させてるんだ。」
『グルルルルルルルルルルルルル・・・!!』
『ガルルルルルルルルルルルルル・・・!!』
牙を剥いてリリーを威嚇するエディスの犬たちであったが、バフォメルマウスで犬の言葉が解るリリーには聞こえる。
苦痛に満ちた彼らの声が
❝足が痛い。❞
❝身体中が苦しい。❞
❝群れに戻りたい。❞
❝もうこんな奴の言うことなんか聞きたくない。❞
❝お願いだから森に帰らせて。❞
❝助けて・・・。❞
「・・・・・・サクァヌエル。」
『何だいリリー?』
「さっき切った子たちから操獣術の解き方を調べて。ボクにはまだできないから。」
『君が望むなら。リリーは?』
「手っ取り早い別のやり方試す!!」
ステップで身体をほぐし、リリーはダガーを構えて再度エディスにアタックを試みる。
「もうちょっと頑張って!!今助けるから!!」
エディスを守る犬の猛攻を回避しつつ、リリーはエディスの隙を探った。
「アイツ・・・もう魔女とあんなに戦えて・・・。」
リリーとエディスの戦いを安全なところから覗き見ていたディアナは、入学して二日目で魔女と渡り合っているリリーに目を奪われる。
「だっ、だけどこれで、二人は隙だらけになりましたわね。こっ、この隙に・・・。」
二人が戦いに夢中になっているのチャンスに、ディアナは当初予定していたリリーとエディスの同時殺害を実行に移すことにした。
「まっ、まずは・・・毒犬使いの魔女を・・・。」
エディスを先に殺せば、リリーは混乱するか安堵するはず。
そこを突いてリリーを殺せばいいと考えたディアナは、エディスにじりじりと近づく。
翼を展開し突進すればエディスの首をハンドクローで突けるくらいの距離まで近づいた。
「よっ、よし!いっ、今・・・」
「奇襲は感心しないな。」
リリーと交戦していたはずのエディスが犬十頭全てを集中させ、ディアナのところまで跳躍した。
「ばぁっ!!」
「ひっ・・・!?!?」
目の前まで来たエディスに驚き、ディアナはその場で腰を抜かした。
「まっず・・・!!ディアナ!!!」
ディアナを助けに行きたいリリーだったが、犬たちに邪魔され近づくことができない。
「どうした?殺してみろよ?ん?」
「あっ・・・あっ・・・。」
エディスの気迫に圧倒されたディアナは足の力を失ってしまい、立つことができない。
「なんだぁ?声がひっくり返っちまってるじゃないか!全然度胸足りてないじゃねぇかお前!!」
悦に浸った邪悪な笑みで煽ってくるエディスに、ディアナの下半身は弛緩し、股間を濡らす。
「やっば!!ちびってるよ!!いいお家に生まれたお嬢様が勿体ないでちゅね~?」
ゲラゲラと笑って、エディスはディアナの顔の前で片足を上げる。
上げられるエディスの足をスローで感じる中、ディアナは心の中で悲鳴を上げた。
(お父様やお母様、家の者みんな・・・魔女のことを虫けら同然に見ていたけど、こんなの虫けらじゃない。人間じゃ全然相手にならない化け物じゃない・・・!!!)
初めて魔女と相対したディアナは、そのオーラを全身で感じて痛感した。
こんなのと戦えるワケがないと。
「はいサヨナラ!!」
恐怖が極限に達し目を見開くディアナに、エディスは容赦なく剛脚を振り下ろす。
(わたくし・・・死んだ。)
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「え・・・?」
もうダメかと思ったその時、リリーが滑り込んできてディアナを突き飛ばした。
「あっ、あな・・・。」
「ふぅ~、ギリギリセー・・・」
うつぶせで安堵の笑みを浮かべるリリーの頭をエディスは躊躇なく踏み潰した。
リンゴのように弾けたリリーの頭部が散らばり、血で瑞々しい細かい肉片がディアナの顔に『ピチョ・・・!!』と飛んでへばりつく。
(このガキ、なんだ?とても神に身を捧げるヤツには見えない・・・。)
リリーの放つ言い様がない威圧感に、エディスは恐怖に似た違和感を覚えた。
「おっ、大人を下に見やがって!糞尿ぶちまけて後悔しちまえ!!」
怒りで虚勢を張り、エディスは毒犬たちにリリーを噛み殺すよう仕掛けてきた。
壁を駆けて滞空するリリーに迫る毒犬たち。
リリーは両サイドから襲ってきた犬二匹の脇腹を、身体を捻ってダガーナイフで斬りつけ着地した。
リリーの攻撃に『キャウン!!』と悲鳴を上げた犬だったが、すぐに立て直して牙を剥いて飛び掛かってきた。
リリーは地面を滑るように飛び、ダガーを構えてエディスに突撃する。
「ちっ・・・!!」
エディスがリリーに手を向けると、リリーの後ろにいた犬たちが猛スピードで戻ってきてエディスをガードする。
リリーは咄嗟に空中で一回転して後方に下がった。
「あたしの犬どもはあたしの命令だったら何でも聞くのさ!!どう近づくつもりだい!?」
エディスはそう豪語するが、守りに入った犬たちの腱から血が噴き出ている。
「操縦術で動物の出せる力の限界まで無理やり出させてるんだ。」
『グルルルルルルルルルルルルル・・・!!』
『ガルルルルルルルルルルルルル・・・!!』
牙を剥いてリリーを威嚇するエディスの犬たちであったが、バフォメルマウスで犬の言葉が解るリリーには聞こえる。
苦痛に満ちた彼らの声が
❝足が痛い。❞
❝身体中が苦しい。❞
❝群れに戻りたい。❞
❝もうこんな奴の言うことなんか聞きたくない。❞
❝お願いだから森に帰らせて。❞
❝助けて・・・。❞
「・・・・・・サクァヌエル。」
『何だいリリー?』
「さっき切った子たちから操獣術の解き方を調べて。ボクにはまだできないから。」
『君が望むなら。リリーは?』
「手っ取り早い別のやり方試す!!」
ステップで身体をほぐし、リリーはダガーを構えて再度エディスにアタックを試みる。
「もうちょっと頑張って!!今助けるから!!」
エディスを守る犬の猛攻を回避しつつ、リリーはエディスの隙を探った。
「アイツ・・・もう魔女とあんなに戦えて・・・。」
リリーとエディスの戦いを安全なところから覗き見ていたディアナは、入学して二日目で魔女と渡り合っているリリーに目を奪われる。
「だっ、だけどこれで、二人は隙だらけになりましたわね。こっ、この隙に・・・。」
二人が戦いに夢中になっているのチャンスに、ディアナは当初予定していたリリーとエディスの同時殺害を実行に移すことにした。
「まっ、まずは・・・毒犬使いの魔女を・・・。」
エディスを先に殺せば、リリーは混乱するか安堵するはず。
そこを突いてリリーを殺せばいいと考えたディアナは、エディスにじりじりと近づく。
翼を展開し突進すればエディスの首をハンドクローで突けるくらいの距離まで近づいた。
「よっ、よし!いっ、今・・・」
「奇襲は感心しないな。」
リリーと交戦していたはずのエディスが犬十頭全てを集中させ、ディアナのところまで跳躍した。
「ばぁっ!!」
「ひっ・・・!?!?」
目の前まで来たエディスに驚き、ディアナはその場で腰を抜かした。
「まっず・・・!!ディアナ!!!」
ディアナを助けに行きたいリリーだったが、犬たちに邪魔され近づくことができない。
「どうした?殺してみろよ?ん?」
「あっ・・・あっ・・・。」
エディスの気迫に圧倒されたディアナは足の力を失ってしまい、立つことができない。
「なんだぁ?声がひっくり返っちまってるじゃないか!全然度胸足りてないじゃねぇかお前!!」
悦に浸った邪悪な笑みで煽ってくるエディスに、ディアナの下半身は弛緩し、股間を濡らす。
「やっば!!ちびってるよ!!いいお家に生まれたお嬢様が勿体ないでちゅね~?」
ゲラゲラと笑って、エディスはディアナの顔の前で片足を上げる。
上げられるエディスの足をスローで感じる中、ディアナは心の中で悲鳴を上げた。
(お父様やお母様、家の者みんな・・・魔女のことを虫けら同然に見ていたけど、こんなの虫けらじゃない。人間じゃ全然相手にならない化け物じゃない・・・!!!)
初めて魔女と相対したディアナは、そのオーラを全身で感じて痛感した。
こんなのと戦えるワケがないと。
「はいサヨナラ!!」
恐怖が極限に達し目を見開くディアナに、エディスは容赦なく剛脚を振り下ろす。
(わたくし・・・死んだ。)
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「え・・・?」
もうダメかと思ったその時、リリーが滑り込んできてディアナを突き飛ばした。
「あっ、あな・・・。」
「ふぅ~、ギリギリセー・・・」
うつぶせで安堵の笑みを浮かべるリリーの頭をエディスは躊躇なく踏み潰した。
リンゴのように弾けたリリーの頭部が散らばり、血で瑞々しい細かい肉片がディアナの顔に『ピチョ・・・!!』と飛んでへばりつく。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる