〇〇、とやらをされたらしくて

蓮ヶ崎 漣

文字の大きさ
46 / 92
第四章 恋愛、とやらをされたらしくて

両想い(1/3)

しおりを挟む
 ミラと和解してから早くも三ヶ月が経った。

そして、今日、アーシャがいない間に珍しくミラからお願いごとをされて俺もミレイも驚く。

何故なら、そのお願いごとがアーシャに告白するから二人きりにさせてくれとのことだったからだ。

当然、俺もミレイも断る訳がない。

アーシャには何か適当に理由を付けて先に帰らせてもらおう。

そして放課後。

アーシャには用事があるからと理由を付けて先に教室から出る。

ミレイも似たようなことを言って教室を出てきたらしい。

俺とミレイは二人にバレないようにこっそりと物陰に隠れてその行く末を見守る。


「そ、それじゃあ、私も先に帰りますね?」


「待って。アリシア」


「え?」


アーシャはミラと二人きりになるのが嫌なのか困った様子で先に帰ろうとしていたがミラがアーシャの腕を掴んで止めた。

当然、アーシャは驚いたようにミラを見る。


「ミライヤくん……?」


「アリシア。君に話があるんだ。すごく、大事な話」


「わ、私……」


アーシャは慌てながら辺りをキョロキョロする。

ミラはアーシャの目をジッと見て口を開く。


「……お願いだから聞いてほしい」


「わ、分かり、ました」


「ありがとう。アリシア」


アーシャがミラを見つめる。

ミラは一度深呼吸をしてから口を開いた。


「僕は、アリシアが好きだ。友達とかそう言う意味の好きじゃなくて……一人の女の子として僕はアリシアが好きなんだ。だから、アリシアが少しでも僕のことを好きだと想ってくれているなら僕と付き合ってほしい」


ミラの告白を最後まで聞いてアーシャは戸惑ってるようだった。

アーシャは俯き黙り込んでいる。

しばらく沈黙が続きやっとアーシャが口を開く。


「あ、あの……気持ちはすごく、本当にすごく嬉しいのですが……私、気になっている人が……」


「うん。知ってる。シンヤでしょ?」


「えっ!?」


驚くアーシャを他所にミラは続けた。


「偶然だけどアリシアがシンヤに告白してるのを聞いちゃって……聞かなくてもアリシアが誰を好きかくらい分かってたけど。それでも諦めきれなかったから」


「っ……そんな、言い方、ずるいですっ!私の答えが分かっていて告白しているんですよね!?」


「うん。そうだね。フラれる覚悟は出来てるしそれでも諦められないからせめてもの足掻きで男として意識させたかった。別にシンヤを諦めろなんて言わないよ。好きなだけ好きでいれば良い」


「ミライヤくん……」


二人の話を聞いているとだんだん複雑な心境になってくる。



これ、俺のせいでこじれてんだよな……?



そんなことを思っているとミラが今まで一度も見たことのない最高の笑顔で口を開く。


「でも、いつか必ずアリシアを僕に振り向かせてみせるから覚悟してて?」


「っ!?」


その笑顔にか言葉にか分からないがアーシャは顔を赤く染めた。

直後にミラはアーシャの手を取ると手の甲にキスをする。

アーシャの顔はさっきとは比べ物にならないくらい真っ赤だ。


「み、ミライヤくんっ!!」


「ん?誓いって言うか宣戦布告の証だよ。脈がゼロじゃないことも分かったしね」


「ふ、不意打ちは卑怯ですよっ!」


「大丈夫。その内、不意打ち以外でもときめかせてみせるから」


「そ、そう言うことをサラッと言わないで下さい!!」


「分かった。じゃあ、アリシア以外の前では言わないようにする」


「そ、そう言う意味じゃ……っ!」


「どういう意味でも関係ないよ。僕がそうするって決めたんだから」


「~~ッ!ず、ずるいですっ!卑怯ですっ!絶対ミライヤくんには振り向きませんっ!私、もう帰ります!」


そう言ってアーシャはそっぽを向いて向いて歩き出す。


「アリシア」


ミラが呼び止めるとアーシャは足を止めた。

そのまま横目で見る感じで振り返ると口を開く。


「……何ですか?」


「話、聞いてくれてありがとう。それと、ミライヤ、じゃなくてミラって呼んでくれると嬉しい」


「……ミラくん、ですか?」


アーシャがそう呼ぶとミラは本当に嬉しそうな顔で頷いて口を開いた。


「うん。ありがとう、アリシア。僕、アリシアがそう呼んでくれただけですごく幸せを感じるよ」


アーシャはバッと前を向くとスタスタと歩き出す。

その顔は茹でダコみたいに真っ赤になっていた。


「そうですか!良かったですね!それでは私はお先に失礼します!さようなら!」


「うん。また明日。アリシア」


俺とミレイはアーシャにバレないようにサッと身を隠す。

アーシャが見えなくなったのを確認してから顔を出すとさっきとは違う意味で最高の笑顔のミラが俺たちの前に仁王立ちしていた。


「……さて。一部始終見せてあげたんだ。どうなるか、なんて覚悟はとっくに出来てるよね?」


「み、ミラ!誤解よ!わ、私は二人がくっつくのを見届けようと……っ!」


「お、俺はミラの勇姿を見届けようとだな……っ!」


「理由なんてどうでもいいよ。どんな理由にしろ悪趣味、以外の答えは出せないから」


ミラの笑顔が消え俺とミレイは一気に青ざめる。

その直後、俺とミレイの悲鳴が廊下に響き渡ったのは言うまでもない。


「全く……今日はこれくらいで許してあげるよ。ミレイは」


「ミレイは!?」


「わーい!ありがとう!ミラ!もう二度としないから!」


「そうして。ミレイは先に帰ってて。シンヤはもう少し僕と話そうか」


その笑顔が恐ろしかったので俺は頷くことしか出来なかった。


「……はい。喜んでー」


「それじゃあ、またね!シンヤくん!」


そう言って素直に帰るミレイを見送ってからミラはドカッと自分の席に座る。


「シンヤはここ」


そう言われ、指差された場所は床だった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...