15 / 77
誕生日
しばらくしてやっと顔の火照りがなくなった私はふと時計を見る。
するともう夜の七時を回っていた。
「も、もう!結城くんのせいで外デートできなくなったじゃない!」
「そんなに楽しみにしてたの?」
「それはそうよ!わざわざ有給まで取って休んだのに!」
「ごめんね?莉恵さんと一緒にいられるだけで嬉しいのに手作りチョコまでもらえて舞い上がっちゃって……今からでも外デートする?」
「もう良いわよ……私だって結城くんと一緒にいられるだけで嬉しいもの。あ!でも、夕飯は食べて行ってね?」
「え?莉恵さん、作ってくれるの?」
「えぇ!任せて!」
「……分かった。ご馳走になります」
「結城くん、好き嫌いある?」
「特にはないかな」
「じゃあ、好きな食べ物は?甘いもの以外で」
「うーん……入院食の方が多いからなぁ……あ。唐揚げ好きだよ」
「分かったわ!じゃあ、唐揚げ作るわね」
「うん。楽しみにしてる」
「そういえば、ご両親に連絡しなくて大丈夫?」
何気なく聞いたことだったのになかなか返事が返って来ない。
私は作業を止めずに呼びかける。
「結城くん?」
「え?あ、あぁ……それじゃあ、連絡入れてくるね」
結城くんはそう言って廊下に出た。
「(そういえば、結城くんの家のことどころか結城くんのことも何にも知らないな……
あまり自分のことは話してくれないし……)」
そんなことを考えながら下ごしらえを済ます。
連絡が終わったのか結城くんが戻ってきて私のところに来た。
「何か手伝えることはない?」
「大丈夫よ。座って待っていて」
「……うん、分かった」
結城くんは言われた通りに座る。
しばらくして唐揚げが完成。
お皿に盛りつけて結城くんのところへ持って行く。
「お待たせ。はい、唐揚げだよ」
「わぁ、美味しそう!」
「ふふっ、ありがとう。どうぞ、召し上がれ」
「うん!いただきます!」
そう言って結城くんはパクッと食べる。
熱かったのかハフハフしていた。
一つを食べ終えて口を開く。
「すっごく美味しい!莉恵さん、料理上手だね」
「そ、そう?これくらい普通よ?」
私がそういうと微笑んで謙虚だな~と言いながら食べ続ける。
結城くんは完食してくれた。
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした」
私が使った食器を片付けていると、結城くんも手伝ってくれる。
「これくらいはやらせて。ね?」
「じゃあ、お願いするわ」
「うん」
片付けが終わり二人でくつろぐ。
そして、タイミングを見計らって結城くんにプレゼントを渡した。
「結城くん、これ……誕生日おめでとう」
「え?」
結城くんは驚いた顔をしながらもプレゼントを受け取る。
「……一回しか言ってないのに覚えててくれたんだ」
「えぇ、覚えやすかったし。忘れないわ」
「ありがとう、莉恵さん。こんなに嬉しい誕生日は初めてかも。あ、もしかして夕飯作ってくれたのも俺の誕生日だから?」
「ま、まぁ……そういうことになるけれど……結城くんが食べたいならいつでも食べさせてあげるわよ」
「本当?本当にすごく嬉しい。ねぇ、プレゼント、開けてもいい?」
「どうぞ。気に入るかは分からないけれど……」
「莉恵さんからのプレゼントなら何でも嬉しいよ?」
そう言いながらチョコ同様ラッピングを外していく。
誕生日プレゼントは悩みに悩んでこげ茶色の二つ折り財布にした。
中身を見た結城くんは嬉しそうに私を見る。
「ありがとう!莉恵さん!大事に使うね」
「喜んでもらえたみたいで良かった……」
「さっきも言ったけど、莉恵さんからのプレゼントなら何でも嬉しいよ?」
「田原さんの写真でも?」
「……何でそんなもの持ってるのか、から説明してもらうかな。泰仁に」
「そういうことじゃなくて!やっぱり何でも良くないじゃない!」
「莉恵さんが一生懸命考えてのプレゼントだったら受け取るよ。泰仁の写真でも。燃やす可能性が高いけど」
「もー!持っていないしもらう気もないけれど大げさなこと言わないでってことよ!」
「はーい」
「もう……」
ふと時計を見ると時間はもう夜の十時をすぎていた。
「あ、結城くん。時間は大丈夫?」
「うん。平気。今日は帰らないって言ってあるし」
「えっ!?」
「え?あ!い、いや……別に莉恵さんの家に泊まるとかじゃなくて……今日は元々家に帰るつもりなかったんだよね。泊まるところはあるし大丈夫!」
「……今日は特別よ。泊まってく?」
「……えっ!?いや!いいよ!美琴の家に行くし!」
「……じゃあ、言い方を変えるわ。まだ結城くんと一緒にいたいから泊まって行って」
「っ!!それ、反則でしょ……」
結城くんはそういうと顔を赤く染める。
「……だめ?」
「~~ッ!あぁ、もう!それ、覚悟できてるってことだよね?俺だって男なんだよ?手を出さないなんて保証はどこにもないからね?」
私は黙ってうなずくと結城くんはそれを合図にしたかのようにキスをした。
そのまま私を押し倒す。
翌日。
元々仕事が休みだった私とは違い今日も大学があった結城くんは見事に寝坊。
お友達からの電話で起こされていた。
怒鳴られているみたいだったけれど電話が終わったのか結城くんは私を呼ぶ。
「莉恵さーん……」
「なぁに?」
「コーヒーかなんかある?眠気覚ましの……」
結城くんは起きようと頑張っているみたいだけどうつ伏せのまま今にも寝そうな感じだった。
朝弱いんだなと思いつつ、私は結城くんを仰向けにする。
結城くんは眩しいのか腕で目元を隠し、んー……と声を上げた。
そんな結城くんに軽くキスをしたらいつの間にか首に腕が回されていて深くなる。
息が苦しくなって思わず布団を叩くと唇が離れた。
「おはよ、莉恵さん。ご馳走様」
「……目は覚めたの?」
「んー……まだだからもう一回しよ?」
その言葉に顔を赤くしてそっぽを向く。
「ばかっ!早く起きて行かないと間に合わないんじゃないの?」
「そうなんだよね。あと、しばらくは大学に泊まって補講とか受けるから会えないと思う。結構、冗談抜きで進級単位やばいんだよね。電話くらいならできると思うけど……ごめんね?」
「良いわよ。それより、単位落とす方が大変でしょう?頑張ってね」
「うん。ありがとう、頑張る」
「あぁ、でも……」
「え?何?」
「無理して頑張ることはないと思うわ」
「……うん、ありがとう。それじゃあ、行ってきます」
いつの間にか着替えていたらしく結城くんは軽く私にキスをすると大学に向かう。
それが名残惜しく感じるのだった。
するともう夜の七時を回っていた。
「も、もう!結城くんのせいで外デートできなくなったじゃない!」
「そんなに楽しみにしてたの?」
「それはそうよ!わざわざ有給まで取って休んだのに!」
「ごめんね?莉恵さんと一緒にいられるだけで嬉しいのに手作りチョコまでもらえて舞い上がっちゃって……今からでも外デートする?」
「もう良いわよ……私だって結城くんと一緒にいられるだけで嬉しいもの。あ!でも、夕飯は食べて行ってね?」
「え?莉恵さん、作ってくれるの?」
「えぇ!任せて!」
「……分かった。ご馳走になります」
「結城くん、好き嫌いある?」
「特にはないかな」
「じゃあ、好きな食べ物は?甘いもの以外で」
「うーん……入院食の方が多いからなぁ……あ。唐揚げ好きだよ」
「分かったわ!じゃあ、唐揚げ作るわね」
「うん。楽しみにしてる」
「そういえば、ご両親に連絡しなくて大丈夫?」
何気なく聞いたことだったのになかなか返事が返って来ない。
私は作業を止めずに呼びかける。
「結城くん?」
「え?あ、あぁ……それじゃあ、連絡入れてくるね」
結城くんはそう言って廊下に出た。
「(そういえば、結城くんの家のことどころか結城くんのことも何にも知らないな……
あまり自分のことは話してくれないし……)」
そんなことを考えながら下ごしらえを済ます。
連絡が終わったのか結城くんが戻ってきて私のところに来た。
「何か手伝えることはない?」
「大丈夫よ。座って待っていて」
「……うん、分かった」
結城くんは言われた通りに座る。
しばらくして唐揚げが完成。
お皿に盛りつけて結城くんのところへ持って行く。
「お待たせ。はい、唐揚げだよ」
「わぁ、美味しそう!」
「ふふっ、ありがとう。どうぞ、召し上がれ」
「うん!いただきます!」
そう言って結城くんはパクッと食べる。
熱かったのかハフハフしていた。
一つを食べ終えて口を開く。
「すっごく美味しい!莉恵さん、料理上手だね」
「そ、そう?これくらい普通よ?」
私がそういうと微笑んで謙虚だな~と言いながら食べ続ける。
結城くんは完食してくれた。
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした」
私が使った食器を片付けていると、結城くんも手伝ってくれる。
「これくらいはやらせて。ね?」
「じゃあ、お願いするわ」
「うん」
片付けが終わり二人でくつろぐ。
そして、タイミングを見計らって結城くんにプレゼントを渡した。
「結城くん、これ……誕生日おめでとう」
「え?」
結城くんは驚いた顔をしながらもプレゼントを受け取る。
「……一回しか言ってないのに覚えててくれたんだ」
「えぇ、覚えやすかったし。忘れないわ」
「ありがとう、莉恵さん。こんなに嬉しい誕生日は初めてかも。あ、もしかして夕飯作ってくれたのも俺の誕生日だから?」
「ま、まぁ……そういうことになるけれど……結城くんが食べたいならいつでも食べさせてあげるわよ」
「本当?本当にすごく嬉しい。ねぇ、プレゼント、開けてもいい?」
「どうぞ。気に入るかは分からないけれど……」
「莉恵さんからのプレゼントなら何でも嬉しいよ?」
そう言いながらチョコ同様ラッピングを外していく。
誕生日プレゼントは悩みに悩んでこげ茶色の二つ折り財布にした。
中身を見た結城くんは嬉しそうに私を見る。
「ありがとう!莉恵さん!大事に使うね」
「喜んでもらえたみたいで良かった……」
「さっきも言ったけど、莉恵さんからのプレゼントなら何でも嬉しいよ?」
「田原さんの写真でも?」
「……何でそんなもの持ってるのか、から説明してもらうかな。泰仁に」
「そういうことじゃなくて!やっぱり何でも良くないじゃない!」
「莉恵さんが一生懸命考えてのプレゼントだったら受け取るよ。泰仁の写真でも。燃やす可能性が高いけど」
「もー!持っていないしもらう気もないけれど大げさなこと言わないでってことよ!」
「はーい」
「もう……」
ふと時計を見ると時間はもう夜の十時をすぎていた。
「あ、結城くん。時間は大丈夫?」
「うん。平気。今日は帰らないって言ってあるし」
「えっ!?」
「え?あ!い、いや……別に莉恵さんの家に泊まるとかじゃなくて……今日は元々家に帰るつもりなかったんだよね。泊まるところはあるし大丈夫!」
「……今日は特別よ。泊まってく?」
「……えっ!?いや!いいよ!美琴の家に行くし!」
「……じゃあ、言い方を変えるわ。まだ結城くんと一緒にいたいから泊まって行って」
「っ!!それ、反則でしょ……」
結城くんはそういうと顔を赤く染める。
「……だめ?」
「~~ッ!あぁ、もう!それ、覚悟できてるってことだよね?俺だって男なんだよ?手を出さないなんて保証はどこにもないからね?」
私は黙ってうなずくと結城くんはそれを合図にしたかのようにキスをした。
そのまま私を押し倒す。
翌日。
元々仕事が休みだった私とは違い今日も大学があった結城くんは見事に寝坊。
お友達からの電話で起こされていた。
怒鳴られているみたいだったけれど電話が終わったのか結城くんは私を呼ぶ。
「莉恵さーん……」
「なぁに?」
「コーヒーかなんかある?眠気覚ましの……」
結城くんは起きようと頑張っているみたいだけどうつ伏せのまま今にも寝そうな感じだった。
朝弱いんだなと思いつつ、私は結城くんを仰向けにする。
結城くんは眩しいのか腕で目元を隠し、んー……と声を上げた。
そんな結城くんに軽くキスをしたらいつの間にか首に腕が回されていて深くなる。
息が苦しくなって思わず布団を叩くと唇が離れた。
「おはよ、莉恵さん。ご馳走様」
「……目は覚めたの?」
「んー……まだだからもう一回しよ?」
その言葉に顔を赤くしてそっぽを向く。
「ばかっ!早く起きて行かないと間に合わないんじゃないの?」
「そうなんだよね。あと、しばらくは大学に泊まって補講とか受けるから会えないと思う。結構、冗談抜きで進級単位やばいんだよね。電話くらいならできると思うけど……ごめんね?」
「良いわよ。それより、単位落とす方が大変でしょう?頑張ってね」
「うん。ありがとう、頑張る」
「あぁ、でも……」
「え?何?」
「無理して頑張ることはないと思うわ」
「……うん、ありがとう。それじゃあ、行ってきます」
いつの間にか着替えていたらしく結城くんは軽く私にキスをすると大学に向かう。
それが名残惜しく感じるのだった。
あなたにおすすめの小説
ソツのない彼氏とスキのない彼女
吉野 那生
恋愛
特別目立つ訳ではない。
どちらかといえば地味だし、バリキャリという風でもない。
だけど…何故か気になってしまう。
気がつくと、彼女の姿を目で追っている。
***
社内でも知らない者はいないという程、有名な彼。
爽やかな見た目、人懐っこく相手の懐にスルリと入り込む手腕。
そして、華やかな噂。
あまり得意なタイプではない。
どちらかといえば敬遠するタイプなのに…。
フローライト
藤谷 郁
恋愛
彩子(さいこ)は恋愛経験のない24歳。
ある日、友人の婚約話をきっかけに自分の未来を考えるようになる。
結婚するのか、それとも独身で過ごすのか?
「……そもそも私に、恋愛なんてできるのかな」
そんな時、伯母が見合い話を持ってきた。
写真を見れば、スーツを着た青年が、穏やかに微笑んでいる。
「趣味はこうぶつ?」
釣書を見ながら迷う彩子だが、不思議と、その青年には会いたいと思うのだった…
※他サイトにも掲載
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。
手を伸ばした先にいるのは誰ですか~愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる~【完結】
まぁ
恋愛
ワイン、ホテルの企画業務など大人の仕事、そして大人に切り離せない恋愛と…
「Ninagawa Queen's Hotel」
若きホテル王 蜷川朱鷺
妹 蜷川美鳥
人気美容家 佐井友理奈
「オークワイナリー」
国内ワイナリー最大手創業者一族 柏木龍之介
血縁関係のない兄妹と、その周辺の何角関係…?
華やかな人々が繰り広げる、フィクションです。
結婚する事に決めたから
KONAN
恋愛
私は既婚者です。
新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。
まずは、離婚してから行動を起こします。
主な登場人物
東條なお
似ている芸能人
○原隼人さん
32歳既婚。
中学、高校はテニス部
電気工事の資格と実務経験あり。
車、バイク、船の免許を持っている。
現在、新聞販売店所長代理。
趣味はイカ釣り。
竹田みさき
似ている芸能人
○野芽衣さん
32歳未婚、シングルマザー
医療事務
息子1人
親分(大島)
似ている芸能人
○田新太さん
70代
施設の送迎運転手
板金屋(大倉)
似ている芸能人
○藤大樹さん
23歳
介護助手
理学療法士になる為、勉強中
よっしー課長(吉本)
似ている芸能人
○倉涼子さん
施設医療事務課長
登山が趣味
o谷事務長
○重豊さん
施設医療事務事務長
腰痛持ち
池さん
似ている芸能人
○田あき子さん
居宅部門管理者
看護師
下山さん(ともさん)
似ている芸能人
○地真央さん
医療事務
息子と娘はテニス選手
t助
似ている芸能人
○ツオくん(アニメ)
施設医療事務事務長
o谷事務長異動後の事務長
雄一郎 ゆういちろう
似ている芸能人
○鹿央士さん
弟の同級生
中学テニス部
高校陸上部
大学帰宅部
髪の赤い看護師(川木えみ)
似ている芸能人
○田來未さん
准看護師
ヤンキー
怖い
【完結】僕ら二度目のはじめまして ~オフィスで再会した、心に残ったままの初恋~
葉影
恋愛
高校の頃、誰よりも大切だった人。
「さ、最近はあんまり好きじゃないから…!」――あの言葉が、最後になった。
小島久遠は、新たな職場で、元カレとまさかの再会を果たす。
若くしてプロジェクトチームを任される彼は、
かつて自分だけに愛を囁いてくれていたことが信じられないほど、
遠く、眩しい存在になっていた。
優しかったあの声は、もう久遠の名前を呼んでくれない。
もう一度“はじめまして”からやり直せたら――そんなこと、願ってはいけないのに。
それでも——
8年越しのすれ違いは、再会から静かに動き出す。
これは、終わった恋を「もう一度はじめる」までの物語。