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家
ドアを開けると家のメイドや執事の使用人がズラッと並んでいて一斉に頭を下げた。
「お帰りなさいませ、大虎様。いらっしゃいませ、お客様」
その光景に莉恵さんは再び驚く。
俺は気にせず口を開いた。
「ただいま。それしなくていいって言ってるのに。とりあえず、瀬羽に頼んだから各自持ち場に戻っていいよ」
「はい、かしこまりました。大虎様」
そう言って使用人たちは各自持ち場に戻っていく。
そんな中、執事長が話しかけてきた。
「坊ちゃん。そちらの方がご交際相手様ですか?」
「そうだよ」
「は、初めまして!私、く……」
俺は莉恵さんが名乗ろうとするのを遮る。
莉恵さんは驚いていたけどそれ以上は喋らなかった。
「……旦那様から丁重におもてなしせよと言われております」
「それは俺一人で問題ない。それにどうしてもと言うのであれば瀬羽だけで十分だ。他に何かあるか?」
「……いえ、ございません。それではどうぞおくつろぎ下さいませ」
「そうする。行こう、こっち」
莉恵さんの手を再び引き自分の部屋に向かう。
「ね、ねぇ、結城くん?結城くんのご両親ってどんな人たちなの?」
「んー……父さんも母さんも社長やってるよ」
「えっ!?」
「あ、ここ、俺の部屋」
そう言って部屋のドアを開け莉恵さんを招き入れた。
「……広いのね……」
「そうだね。広すぎて落ち着かないって言ったんだけどこれ以上狭い部屋はないって言われてここ使ってる」
「……あまり物もないのね」
「うん。基本、帰って来ないから。必要最低限の物しか置いてない」
「そうなのね……ねぇ」
莉恵さんが再び口を開こうとしたとき、コンコンとノックがされる。
「大虎様。お客様のお着替えをお持ちいたしました」
「あぁ、ありがとう。入って」
俺がそういうとメイド二人が服と一緒に入ってきた。
「副執事長から今晩のご夕食に合う服をと言われて持って参りましたが……お間違いございませんか?」
「うん、間違いないよ。じゃあ、この中から選んで。着替えはこのお二人に手伝ってもらってね」
「えっ!?ま、待って!どれもこれもドレスばっかりなんだけど!?」
「あ、そういえばそうだね。でも、ワンピースもあるよ?」
「そういう問題じゃなくて!それに高いでしょう!?」
「そんなの気にしなくていいよ。ワンピース中心で見せてあげて」
「「はい、かしこまりました」」
莉恵さんは困ったようにアタフタしていると再びドアがノックされ瀬羽の声がする。
「大虎様、紅茶をお持ちいたしました」
「ありがとう、瀬羽。下がっていいよ」
「かしこまりました。何か御用がございましたらいつでもお呼び下さい」
瀬羽はそういうと持ってきた紅茶を置いて俺たちに一礼してから部屋を出た。
「ちょ、ちょっと結城くん!?私、着替えるなんて一言も言ってないわよ!?」
「だって、その恰好で父さんと母さんに会いたくないんでしょ?」
「会いたくない訳じゃないわ!恥ずかしいだけよ!」
「んー……つまり、どうしたいの?」
「えっ!?」
「着替えないでその恰好のまま父さんと母さんに会うの?」
「そ、それは……」
にっこり笑って微笑む俺。
莉恵さんはビクッと肩を震わせる。
「ごめん、一回その服全部下げてもらっていい?」
「はい、かしこまりました」
そう言ってメイドの一人が持ってきた服を持ち、一礼して部屋を出た。
「君も下がっていいよ。あ、父さんと母さんの帰宅時間ってあと何時間後か分かる?」
「二、三時間後と聞いております」
「そっか。じゃあ、瀬羽に車を出すよう頼んでくれる?」
「かしこまりました、大虎様」
「うん、ありがとう。もう下がっていいよ」
「はい。失礼いたします」
もう一人のメイドも一礼すると出て行って、部屋には莉恵さんと二人きり。
莉恵さんは恐る恐る口を開く。
「……怒ってる?」
「怒ってないよ。紅茶飲む?」
「……いただくわ」
俺はカップに紅茶を注ぎ、莉恵さんに渡した。
「はい、どうぞ」
「……ありがとう」
しばらく沈黙が続くが、莉恵さんが破る。
「……ねぇ、結城くん」
「ん?何?」
「さっき、どうして名乗らせてくれなかったの?」
「執事に名乗る必要はないでしょ?」
「……礼儀だと思うのだけれど」
「アイツは瀬羽以上に過保護だから、教えたら大変なことになるよ?今までの人生全部丸裸にされたい?」
「そ、それは困るわ!!」
「でしょ?だから、名乗らなくていいの。どうせ父さんと母さんには名乗るんだからそれまではモヤモヤしてればいいんだよ」
そんな話をしていたらドアがノックされた。
「大虎様、車の準備が整いました」
「あぁ、分かった。今から行くよ。外で待ってて」
「かしこまりました。お待ちしております」
「それじゃあ、服買いに行こっか」
「えっ!?」
「いつも見てる店でいいよね?」
「ちょ、ちょっと待って!わざわざ買いに行くの!?家に帰してくれればもっとマシな格好に着替えるわよ!?」
「そうじゃなくて……隠してたお詫びにプレゼントさせてってこと」
「い、良いわよ!そんなことしなくて!結城くん、高そうな服平気で買いそうだもの!」
「……失礼だな。俺だって安い服買うよ」
「えっ!?嘘!?」
「……とにかく行くよ」
そう言って莉恵さんの手を引いて外に出る。
そして、瀬羽が用意した車に乗り込んだ。
「お帰りなさいませ、大虎様。いらっしゃいませ、お客様」
その光景に莉恵さんは再び驚く。
俺は気にせず口を開いた。
「ただいま。それしなくていいって言ってるのに。とりあえず、瀬羽に頼んだから各自持ち場に戻っていいよ」
「はい、かしこまりました。大虎様」
そう言って使用人たちは各自持ち場に戻っていく。
そんな中、執事長が話しかけてきた。
「坊ちゃん。そちらの方がご交際相手様ですか?」
「そうだよ」
「は、初めまして!私、く……」
俺は莉恵さんが名乗ろうとするのを遮る。
莉恵さんは驚いていたけどそれ以上は喋らなかった。
「……旦那様から丁重におもてなしせよと言われております」
「それは俺一人で問題ない。それにどうしてもと言うのであれば瀬羽だけで十分だ。他に何かあるか?」
「……いえ、ございません。それではどうぞおくつろぎ下さいませ」
「そうする。行こう、こっち」
莉恵さんの手を再び引き自分の部屋に向かう。
「ね、ねぇ、結城くん?結城くんのご両親ってどんな人たちなの?」
「んー……父さんも母さんも社長やってるよ」
「えっ!?」
「あ、ここ、俺の部屋」
そう言って部屋のドアを開け莉恵さんを招き入れた。
「……広いのね……」
「そうだね。広すぎて落ち着かないって言ったんだけどこれ以上狭い部屋はないって言われてここ使ってる」
「……あまり物もないのね」
「うん。基本、帰って来ないから。必要最低限の物しか置いてない」
「そうなのね……ねぇ」
莉恵さんが再び口を開こうとしたとき、コンコンとノックがされる。
「大虎様。お客様のお着替えをお持ちいたしました」
「あぁ、ありがとう。入って」
俺がそういうとメイド二人が服と一緒に入ってきた。
「副執事長から今晩のご夕食に合う服をと言われて持って参りましたが……お間違いございませんか?」
「うん、間違いないよ。じゃあ、この中から選んで。着替えはこのお二人に手伝ってもらってね」
「えっ!?ま、待って!どれもこれもドレスばっかりなんだけど!?」
「あ、そういえばそうだね。でも、ワンピースもあるよ?」
「そういう問題じゃなくて!それに高いでしょう!?」
「そんなの気にしなくていいよ。ワンピース中心で見せてあげて」
「「はい、かしこまりました」」
莉恵さんは困ったようにアタフタしていると再びドアがノックされ瀬羽の声がする。
「大虎様、紅茶をお持ちいたしました」
「ありがとう、瀬羽。下がっていいよ」
「かしこまりました。何か御用がございましたらいつでもお呼び下さい」
瀬羽はそういうと持ってきた紅茶を置いて俺たちに一礼してから部屋を出た。
「ちょ、ちょっと結城くん!?私、着替えるなんて一言も言ってないわよ!?」
「だって、その恰好で父さんと母さんに会いたくないんでしょ?」
「会いたくない訳じゃないわ!恥ずかしいだけよ!」
「んー……つまり、どうしたいの?」
「えっ!?」
「着替えないでその恰好のまま父さんと母さんに会うの?」
「そ、それは……」
にっこり笑って微笑む俺。
莉恵さんはビクッと肩を震わせる。
「ごめん、一回その服全部下げてもらっていい?」
「はい、かしこまりました」
そう言ってメイドの一人が持ってきた服を持ち、一礼して部屋を出た。
「君も下がっていいよ。あ、父さんと母さんの帰宅時間ってあと何時間後か分かる?」
「二、三時間後と聞いております」
「そっか。じゃあ、瀬羽に車を出すよう頼んでくれる?」
「かしこまりました、大虎様」
「うん、ありがとう。もう下がっていいよ」
「はい。失礼いたします」
もう一人のメイドも一礼すると出て行って、部屋には莉恵さんと二人きり。
莉恵さんは恐る恐る口を開く。
「……怒ってる?」
「怒ってないよ。紅茶飲む?」
「……いただくわ」
俺はカップに紅茶を注ぎ、莉恵さんに渡した。
「はい、どうぞ」
「……ありがとう」
しばらく沈黙が続くが、莉恵さんが破る。
「……ねぇ、結城くん」
「ん?何?」
「さっき、どうして名乗らせてくれなかったの?」
「執事に名乗る必要はないでしょ?」
「……礼儀だと思うのだけれど」
「アイツは瀬羽以上に過保護だから、教えたら大変なことになるよ?今までの人生全部丸裸にされたい?」
「そ、それは困るわ!!」
「でしょ?だから、名乗らなくていいの。どうせ父さんと母さんには名乗るんだからそれまではモヤモヤしてればいいんだよ」
そんな話をしていたらドアがノックされた。
「大虎様、車の準備が整いました」
「あぁ、分かった。今から行くよ。外で待ってて」
「かしこまりました。お待ちしております」
「それじゃあ、服買いに行こっか」
「えっ!?」
「いつも見てる店でいいよね?」
「ちょ、ちょっと待って!わざわざ買いに行くの!?家に帰してくれればもっとマシな格好に着替えるわよ!?」
「そうじゃなくて……隠してたお詫びにプレゼントさせてってこと」
「い、良いわよ!そんなことしなくて!結城くん、高そうな服平気で買いそうだもの!」
「……失礼だな。俺だって安い服買うよ」
「えっ!?嘘!?」
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