私、これからいきます。

蓮ヶ崎 漣

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旅行②

サッと体や頭を洗い露天風呂に浸かる。
思っていたよりも綺麗な景色で安心した。
 
「(やっぱり、少しくらい高くなっても莉恵さんに喜んでもらいたかったし結果オーライかな……あ。そう言えば、ノートパソコン出したままにしちゃったけど莉恵さんが見るなんてことないよね……)」
 
ノートパソコンには大学のレポートとか色々入っている。
 
「(まぁ、見られて困るものはないけど……)」
 
やっぱり、勝手に見られるのはいい気分がしない。
そんなことを思いながら上がる。
莉恵さんと同じように浴衣を着て部屋に戻ると俺のノートパソコンを開き何か唸ってる莉恵さんがそこにいた。
 
「うーん……大虎くんが他にパスワードにしそうな日は……」
 
「(あぁ、パスワードで苦戦してるのか。でも、何で日付だと思うんだ?いや、当たってるんだけど)」
 
俺が上がったことに気づいてない様子の莉恵さんにそっと近づく。
莉恵さんの後ろまで来たが気づく気配がない。
俺は後ろからスッと莉恵さんの腰からお腹の方まで腕を回し、綺麗なうなじから耳元にかけてそっと息を吹きかけた。
 
「ひやぁぁぁぁあっ!!」
 
莉恵さんは奇声を上げて振り返ろうとするが俺がガッチリホールドしてるので出来ない。
俺はそのまま莉恵さんの耳元で囁くように口を開く。
 
「何してるの?」
 
「た、大虎くん!?いつの間に上がったの!?」
 
「ついさっき。で、何してるの?早く言わないとー」
 
莉恵さんを自分の方へさらに引き寄せて首筋に唇を当てる。
 
「舐められるのとキスマーク付けられるのはどっちが嫌?」
 
その言葉を聞いて莉恵さんはじたばたと暴れた。
 
「ご、ごめんなさい!つい、出来心で!気になっちゃって!」
 
一生懸命理由を話す莉恵さんだけど暴れてるせいでどんどん乱れていく。
 
「(あー……理性、保つかなぁ……?莉恵さんって結構肌白いんだよなぁ……お風呂上がったばっかりだからかその肌がほんのり赤くなっててさぁ……そそる、よなぁ?)」
 
そんな雑念を振り払うように莉恵さんを離した。
 
「……それで?頑張ってパスワード解こうとしてたと?」
 
「そ、そうなの!ご、ごめんなさい……」
 
莉恵さんは解放されたからか自分の乱れた浴衣を慌てて直す。
 
「(……今回はしない。旅行中はしない。これはご褒美。慰安旅行みたいなもん。だからしない。我慢、我慢我慢……)」
 
そんなことを考えていたら莉恵さんが俺の顔を覗き込む。
四つん這いで上目遣いをしていて浴衣だから白い肌が見え隠れして……
 
「大虎くん?」
 
首を傾げられた。
 
「(うん。俺のツボを心得ていらっしゃいますねっ耐えろ、俺!!)」
 
俺は莉恵さんの肩を掴み同じ目線に合わせた。
その隙に二人とも正座に戻る。
 
「ほら、もうすぐで夕食だよ。向かい側に行って」
 
「あ、た、大虎くんっ!怒っている……?」
 
「怒ってないよ」
 
「(耐えてるだけで)」
 
「じ、じゃあ!パスワード教えてくれる?」
 
「は?」
 
予想外の言葉を聞いて一瞬で冷静になった。
 
「え?何で?そんなに気になるの?」
 
「う、うん……ほら、大虎くん、レポートも課題も終わったって言っていたから何で持ってきたのかなって……」
 
「整理したくて。見たってつまんないものばっかりだよ」
 
「そ、それでも!大虎くんのこともっと知りたいし……私、まだ大虎くんが何学部に在籍しているかも知らないのよ?」
 
「……しょうがないなぁ」
 
「お、教えてくれるの?」
 
「ずっと聞いてきそうだしね。見られて困るものがある訳でもないしいいよ。パスワードは俺と莉恵さんが会った日」
 
「え?私、再会した日を入力したけど開かなかったわよ?」
 
「俺と莉恵さんの会った日の認識が違うんだよ。それに西暦もいれてるから四桁じゃないし」
 
「えぇっ!?」
 
莉恵さんが驚いたと同時に部屋がノックされる。
返事をしてドアを開けると仲居さんが一礼し料理を持ってきた。
 
「失礼いたします。ご夕食の準備に参りました」
 
「あぁ、はい。よろしくお願いします」
 
仲居さんはテキパキと準備をしていく。
準備が整うと軽く説明をしてから出て行った。
俺と莉恵さんは手を合わせていただきます、と言ってから料理を口に運ぶ。
 
「ん~!美味しい!」
 
「うん、美味しい」
 
ご飯を食べ終えて二人でテレビを観たりしてくつろいだ。
 
「ねぇ、大虎くん!明日の予定を立てましょう?」
 
「いいけど……何したいの?」
 
「まずは大虎くんに新選組の衣装を着せるわ!」
 
「……忘れてなかったんだね」
 
「もちろん!ノートパソコン借りても良いかしら?」
 
「どうぞ」
 
そう言ってノートパソコンを開きパスワードを入力してから莉恵さんに渡す。
莉恵さんは貸衣装の店を探しているらしく見つけると電話をしてご丁寧に予約をしてしまった。
 
「はい!よろしくお願いします!」
 
電話を切ると嬉しそうに俺の方を向く。
 
「大虎くん!衣装を着たまま、観光も出来るんですって!私、清水寺に行きたいの!」
 
「へぇ……清水寺に行くのはいいけど衣装を着たままなんて嫌だよ?」
 
「え!?どうして!?」
 
「俺、別に新選組とかに憧れないし。俺一人だけコスプレして観光なんて絶対に嫌だ。というか注目されたくない」
 
「う、うぅ……じ、じゃあ、記念撮影はさせてくれる……?」
 
「……それくらいならいいけど」
 
俺がそう言うと莉恵さんはぱぁっと明るい顔になる。
結局、明日の予定は貸衣装を着ての撮影会と清水寺に行くことしか決まらなかった。
内心、嫌だと思いながらも莉恵さんのためだと思い我慢する。
莉恵さんは明日早いから寝ましょう!とか言ってすぐに寝た。
少し拍子抜けしつつため息を吐く。
莉恵さんの頬をツンツンと突ついた。

「俺の気も知らないで……」

そう呟いて俺も寝たのだった。
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