私、これからいきます。

蓮ヶ崎 漣

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浮気①

私の夏季休暇が終わったのとほぼ同時に大虎くんも大学が始まり、再びお互い忙しい日々を送っていた。
大虎くんは課題やらレポートのほかに文化祭の準備にも追われているらしい。
今日は、久しぶりに二人で夕食を囲む。
 
「そういえば、大虎くんは何のサークルに入っているの?私、聞いたことないわ」
 
「サークル?入ってないよ」
 
「え?じゃあ、文化祭実行委員でも入っているの?」
 
「それも入ってない」
 
「えっ!?じゃあ、どうして文化祭の準備に追われているの!?」
 
「……ごめん。言いたくない。それに文化祭には絶対に来ないでほしい」
 
「えぇっ?」
 
「本当にお願いだから文化祭には来ないで。文化祭終わったら講義休んででも莉恵さんとの時間作るから」
 
「別に大事な講義を休む必要はないけれど……そこまで嫌なの?」
 
「うん。文化祭が潰れればいいと思ってる」
 
「り、理由は教えてくれないのね……?」
 
「うん、本当に悪いんだけど教えたくない」
 
「そ、そう……」
 
その会話を最後に大虎くんはしばらく学校に泊まり込むと言って帰ってこなくなった。
そんなある日の昼休憩中に聖来が大虎くんのことを聞いてきたのでその話をすると……
 
「はぁっ!?理由も言えない、でも来るな!?何それ!莉恵、それ、うなずいちゃったの!?」
 
「え?う、うん。だって、しょうがないでしょう?大虎くんがそこまで嫌がることってなかったんだもの。うなずくしかないわよ」
 
「浮気とかだったらどうする訳!?」
 
「もう……聖来はすぐ浮気にするんだから……大虎くんに限ってそんなことないわ。私のことすごく大事にしてくれているもの。大虎くんだって忙しいはずなのに書置き残しておいてくれたり学校に泊まり込んでいる今も毎日電話くれるのよ?そんな人が浮気していると思う?」
 
「そ、それは……カモフラージュかも!」
 
「聖来……」
 
呆れて聖来を見ると慌てたように口を開く。
 
「と、とにかく!あたしもついて行くから文化祭行こう!浮気とかなくてそれで年下彼氏くんに約束破ったって怒られたらあたしのせいにしてさ!ね?」
 
「えー……私、別に行かなくても良いんだけれど」
 
「だめ!浮気されてる可能性がある限り怒られようともそういう行事には絶対に参加しなくちゃ!それに……大学にいて大学生してる年下彼氏くんに会いたくないの?年下彼氏くんが何学部に在籍してるか分かるかもしれないし!」
 
「行くわ」
 
即決だった。
 
「(そうよね。私、大虎くんの彼女だし在籍している学部くらい把握していても良いわよね?せっかくの文化祭だし行かない方がもったいないわ!)」
 
そんなことを思って大虎くんには知らせずに聖来と文化祭に行く計画を立てた。
そして、文化祭当日。
私は聖来と待ち合わせをして大虎くんの通っている大学の文化祭に足を踏み入れた。
当たり前だけど若い子がたくさんいてすごく賑やかで圧倒される。
そんな中に臆することなく聖来は宣伝している学生たちに話しかけていた。
 
「あ!ねぇねぇ!君!結城大虎って子、探してるんだけどどこにいるか知ってる?」
 
「え?結城大虎って……超有名人っすよ。でも、どこにいるかまではちょっと分かんないっすね」
 
「そっかー!で、なんで超有名人なの?」
 
「あれ?知らないんすか?アイツ、裏口入学とか女に手を出し放題とか喧嘩売ってきた奴を病院送りとか悪い噂ばっかり流れてるんす」
 
「へ、へぇ……莉恵、知ってた?」
 
「し、知る訳ないでしょ!ち、ちなみにその彼は何学部に所属しているの?」
 
「医学部っすよ。入学当初から自分専用のゼミ室持ってるんでもしかしたらそこにいるんじゃないっすか」
 
「そ、そう。ありがとう」
 
教えてくれた学生と別れて医学部を目指す。
 
「ねぇ、莉恵。年下彼氏くんって実はヤバい子なんじゃ……」
 
「そ、そんなことないわ!噂だってどうせ嘘ばっかりでしょう?」
 
それから色んな学生に話しかけて何とか医学部に到着。
そこから大虎くんを探したが医学部の子たちは誰も大虎くんを見ていないと言う。
大虎くん専用のゼミ室があるのは本当らしくその場所に案内してもらった。
 
「あとはもう真っ直ぐ行くだけなんでこれで失礼します」
 
「ありがとー!」
 
「どうもありがとう」
 
聖来と二人でお礼を言って進む。
その先には『結城専用』と書かれたドアが本当にあった。
 
「ね、ねぇ、莉恵。本当にヤバい子じゃないの?」
 
「ふ、普通の子よ!聖来も一回会っているでしょう?ヤバそうな子に見えた?」
 
「見えなかった」
 
「ね!だから、大丈夫よ!」
 
そう言ってドアを開けようとしたら私たちが来た道の方から聞き覚えのある声が聞こえてきて思わず聖来と慌てて隠れる。
 
「……ってば!」
 
「……さい。黙れ。本当に今回は許さないから」
 
「だ、だってさー!見たかったんだもん!トラのアリス!しかも、誰もトラって気づかないし!結果オーライじゃん!」
 
「……五億歩譲って文化祭だしコスプレは大目に見るよ?でも、何でミスコンにまで参加登録してんの?何だよ、ゆうきちゃんって」
 
「だから、それは謝ってるじゃん!ごめんって!」
 
チラッと声をした方を見ると不思議の国のアリスの格好をした大虎くんがいた。
すっごく可愛い。
 
「……もう本当に嫌だ。女装とか穴があったら入りたい。莉恵さんに見られたら俺、死ねるんだけど」
 
「その莉恵さんには絶対に来るなって念押ししたんでしょ?じゃあ、大丈夫だって!ミスコンは今日だけだし!明日は何着るー?」
 
「着るか!明日からの文化祭は休みも同然なんだからゼミ室籠って予習してる」
 
大虎くんの隣には大虎くんより小さくてすごく綺麗な碧眼、亜麻色の髪を二つのお団子にした女の子がチャイナ服を着ている。
 
「えー!もったいない!せっかく、ミスコンで二位取ったのに!」
 
「うるさい!嬉しくもなんともない!お前は当たり前のように一位だったしな」
 
「あったり前じゃーん!これで更にトラは変な女に絡まれなくなるね!感謝して良いよ!」
 
「はいはい、どーもありがとーございます」
 
「全然心こもってなーい!」
 
「感謝はしてるよ」
 
「じゃあ、キスしてくれる?」
 
その言葉を聞いて驚いた。
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