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番外編⑦ お祭り②
花火大会当日。
美琴さんが着付けの手伝いと私の髪を結んでくれると言うのでお言葉に甘えて手伝ってもらう。
「さて、どんな髪型が良いですかねー?」
「うーん……私でも出来る簡単なのが良いです」
「そうですね……あ、じゃあ、三つ編みとねじりアップにしましょうか。ヘアゴム二本とヘアピン数本あればできます」
そう言って美琴さんは準備すると説明しながら髪を結んでくれた。
「まず、両サイドの髪は残して一つに結びます。結んだ髪を三つ編みにしてゴムで結んだら結んだ三つ編みを右寄りにお団子にします。お団子にしたら残したサイドの髪をねじりながらお団子に巻き付けてヘアピンで止めて完成です。どうですか?緩かったりキツかったりしません?」
「大丈夫です!ありがとうございます」
「良かったです。あ、髪飾りも付けますね。ふふっ、これ、ピンクの蝶と白い花飾りなんですね。可愛いです」
「あ、ありがとうございます……美琴さんは花火大会行かないんですか?」
「知り合い多いんで行かないですね。知り合いがほとんどいない花火大会なら行きますよ」
「そうなんですね。あ!お土産いりますか?」
「気を遣わなくて大丈夫ですよ。トラとのデート楽しんでくださいね。あと、襲われないように気をつけてください」
「?はい!楽しんできますね!」
美琴さんと一緒に部屋から出ると大虎くんはすでに着替えを終えて待っている。
「ご、ごめんね、大虎くん。お待たせ」
私は謝りながら大虎くんに駆け寄った。
大虎くんは私を見るなり美琴さんの両肩をガッと掴む。
それから絞り出すように口を開いた。
「……美琴、お前……ふざけんなよっ!ありがとう」
「トラ、日本語大丈夫?どういたしまして」
「大丈夫じゃない。今度美琴たちに旅行プレゼントするわ」
「え!本当!?やったー!!楽しみにしてる!!」
大虎くんが美琴さんにとんでもない約束をしているのを聞きながらも聞いてないフリをする。
大虎くんの浴衣姿は思っていた以上に似合っていて直視出来ない。
思わず顔を逸らすと大虎くんが手を差し出してくれる。
「ごめんね、待たせて。それじゃあ、行こうか」
そう言って笑いかけてくれる大虎くんの手を取って花火大会に向かった。
結構早い時間に行ったのにも関わらずすでに人で溢れている。
大虎くんとはぐれないように必死になっているとクスッと笑う声がした。
「はぐれないでね。俺の腕にしがみついてもいいよ」
「え、でも、歩きにくくなっちゃうでしょう?」
「平気。何食べる?たくさん買って花火見れる場所確保しに行こう?」
ね?と言いながら大虎くんは恋人繋ぎに変えて私を引き寄せる。
歩調も私に合わせるように一歩前を歩いてくれるおかげで歩きやすい。
大虎くんも浴衣だし下駄履いてるし歩きにくいのは同じはずなのに……
少しだけ花火大会に誘ったことを後悔しながら先を進む。
ずっと下を向いていたせいかいつの間にか人混みを抜けていて大虎くんが立ち止まったことに気づかず鼻の頭を背中にぶつけた。
少し痛い思いをしながら大虎くんに問いかける。
「……どうしたの?」
「それはこっちのセリフ。莉恵さんが楽しくないんじゃ来た意味ないじゃん」
「え?」
「なんでずっと下向いてるのかちゃんと理由言ってくれないと分からない。俺、落ち込ませるようなことした?」
私の方を向きそう聞かれて慌てて首を横に振った。
「ち、違うの!大虎くんも着慣れない浴衣着て歩きにくい下駄履いてるのに私を庇うように歩いてくれるから申し訳なくて……」
「……あのねぇ……俺は莉恵さんの彼氏なんだから莉恵さん庇って歩くのは当たり前でしょ。というか、庇いながら歩いてるつもり無かった。なるべく正面から莉恵さん見せないようにしてただけ」
「……え?」
「気づいてなかったと思うけどすれ違う男ども全員莉恵さんのこと二度見以上してたからね?これ以上、他の野郎に莉恵さん見せたくなかっただけだよ。本当は帰って独り占めしたかったけど莉恵さん、花火大会すごく楽しみにしてたから我慢したのに……全然楽しそうじゃないから俺は今ちょっと機嫌が悪い」
「えぇっ!?だ、だって……!え?大虎くんもすれ違う女の子たちに二度見されてたわよね!?」
「莉恵さん以外の女の視線なんてどうでもいい。それで、これからどうする?正直、俺はもう帰りたい。莉恵さんが楽しくないなら俺が我慢する必要ないよね?早く莉恵さんを独り占めさせて」
「~~っ!!」
そんなこと言われたらうなづきそうになるでしょ!
とは言えず。
私は繋いでくれてるままの手を自分の方に引き寄せて上目遣いで口を開く。
「あの、ね?家でも花火が見られるなら、帰ってもいい、よ?私も、大虎くんを独り占めしたいから」
「……だめ。花火を見るか俺を独り占めするか選んで」
「……意地悪」
「俺の機嫌良くしてくれたら両方許すかもね?」
「~~っ!!」
意地悪な笑みを浮かべる大虎くんの顔を引き寄せて自分からチュッとキスをし口を開いた。
「大虎くん、好き、大好き。普段着もカッコ良くて好きだけど浴衣も似合っていて素敵。惚れ直し……」
最後まで言い終わる前に片手で口を塞がれる。
「……待って。それ以上は言わなくていい」
暗くてよく見えないけれど顔が赤くなってるといいなーと思いながら大虎くんをじっと見つめた。
私の視線に気づいたのか大虎くんは小さくため息を吐く。
口を塞いでた手を離すと口を開いた。
「……俺の負け。屋台で色々買ってここで花火見よう」
「うん!」
私はうなづいて大虎くんの手を改めてギュッと握る。
大虎くんも握り返してくれて屋台を再び回った。
美琴さんが着付けの手伝いと私の髪を結んでくれると言うのでお言葉に甘えて手伝ってもらう。
「さて、どんな髪型が良いですかねー?」
「うーん……私でも出来る簡単なのが良いです」
「そうですね……あ、じゃあ、三つ編みとねじりアップにしましょうか。ヘアゴム二本とヘアピン数本あればできます」
そう言って美琴さんは準備すると説明しながら髪を結んでくれた。
「まず、両サイドの髪は残して一つに結びます。結んだ髪を三つ編みにしてゴムで結んだら結んだ三つ編みを右寄りにお団子にします。お団子にしたら残したサイドの髪をねじりながらお団子に巻き付けてヘアピンで止めて完成です。どうですか?緩かったりキツかったりしません?」
「大丈夫です!ありがとうございます」
「良かったです。あ、髪飾りも付けますね。ふふっ、これ、ピンクの蝶と白い花飾りなんですね。可愛いです」
「あ、ありがとうございます……美琴さんは花火大会行かないんですか?」
「知り合い多いんで行かないですね。知り合いがほとんどいない花火大会なら行きますよ」
「そうなんですね。あ!お土産いりますか?」
「気を遣わなくて大丈夫ですよ。トラとのデート楽しんでくださいね。あと、襲われないように気をつけてください」
「?はい!楽しんできますね!」
美琴さんと一緒に部屋から出ると大虎くんはすでに着替えを終えて待っている。
「ご、ごめんね、大虎くん。お待たせ」
私は謝りながら大虎くんに駆け寄った。
大虎くんは私を見るなり美琴さんの両肩をガッと掴む。
それから絞り出すように口を開いた。
「……美琴、お前……ふざけんなよっ!ありがとう」
「トラ、日本語大丈夫?どういたしまして」
「大丈夫じゃない。今度美琴たちに旅行プレゼントするわ」
「え!本当!?やったー!!楽しみにしてる!!」
大虎くんが美琴さんにとんでもない約束をしているのを聞きながらも聞いてないフリをする。
大虎くんの浴衣姿は思っていた以上に似合っていて直視出来ない。
思わず顔を逸らすと大虎くんが手を差し出してくれる。
「ごめんね、待たせて。それじゃあ、行こうか」
そう言って笑いかけてくれる大虎くんの手を取って花火大会に向かった。
結構早い時間に行ったのにも関わらずすでに人で溢れている。
大虎くんとはぐれないように必死になっているとクスッと笑う声がした。
「はぐれないでね。俺の腕にしがみついてもいいよ」
「え、でも、歩きにくくなっちゃうでしょう?」
「平気。何食べる?たくさん買って花火見れる場所確保しに行こう?」
ね?と言いながら大虎くんは恋人繋ぎに変えて私を引き寄せる。
歩調も私に合わせるように一歩前を歩いてくれるおかげで歩きやすい。
大虎くんも浴衣だし下駄履いてるし歩きにくいのは同じはずなのに……
少しだけ花火大会に誘ったことを後悔しながら先を進む。
ずっと下を向いていたせいかいつの間にか人混みを抜けていて大虎くんが立ち止まったことに気づかず鼻の頭を背中にぶつけた。
少し痛い思いをしながら大虎くんに問いかける。
「……どうしたの?」
「それはこっちのセリフ。莉恵さんが楽しくないんじゃ来た意味ないじゃん」
「え?」
「なんでずっと下向いてるのかちゃんと理由言ってくれないと分からない。俺、落ち込ませるようなことした?」
私の方を向きそう聞かれて慌てて首を横に振った。
「ち、違うの!大虎くんも着慣れない浴衣着て歩きにくい下駄履いてるのに私を庇うように歩いてくれるから申し訳なくて……」
「……あのねぇ……俺は莉恵さんの彼氏なんだから莉恵さん庇って歩くのは当たり前でしょ。というか、庇いながら歩いてるつもり無かった。なるべく正面から莉恵さん見せないようにしてただけ」
「……え?」
「気づいてなかったと思うけどすれ違う男ども全員莉恵さんのこと二度見以上してたからね?これ以上、他の野郎に莉恵さん見せたくなかっただけだよ。本当は帰って独り占めしたかったけど莉恵さん、花火大会すごく楽しみにしてたから我慢したのに……全然楽しそうじゃないから俺は今ちょっと機嫌が悪い」
「えぇっ!?だ、だって……!え?大虎くんもすれ違う女の子たちに二度見されてたわよね!?」
「莉恵さん以外の女の視線なんてどうでもいい。それで、これからどうする?正直、俺はもう帰りたい。莉恵さんが楽しくないなら俺が我慢する必要ないよね?早く莉恵さんを独り占めさせて」
「~~っ!!」
そんなこと言われたらうなづきそうになるでしょ!
とは言えず。
私は繋いでくれてるままの手を自分の方に引き寄せて上目遣いで口を開く。
「あの、ね?家でも花火が見られるなら、帰ってもいい、よ?私も、大虎くんを独り占めしたいから」
「……だめ。花火を見るか俺を独り占めするか選んで」
「……意地悪」
「俺の機嫌良くしてくれたら両方許すかもね?」
「~~っ!!」
意地悪な笑みを浮かべる大虎くんの顔を引き寄せて自分からチュッとキスをし口を開いた。
「大虎くん、好き、大好き。普段着もカッコ良くて好きだけど浴衣も似合っていて素敵。惚れ直し……」
最後まで言い終わる前に片手で口を塞がれる。
「……待って。それ以上は言わなくていい」
暗くてよく見えないけれど顔が赤くなってるといいなーと思いながら大虎くんをじっと見つめた。
私の視線に気づいたのか大虎くんは小さくため息を吐く。
口を塞いでた手を離すと口を開いた。
「……俺の負け。屋台で色々買ってここで花火見よう」
「うん!」
私はうなづいて大虎くんの手を改めてギュッと握る。
大虎くんも握り返してくれて屋台を再び回った。
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