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Honey trap

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    「場所はまだ決まってないんだ。今日連絡が入る予定なんでね」

    「今日は宿泊ステイなんだし、時間はあるわ。一杯楽しみましょ。連絡もそのうち来るんじゃない?あ、そうか。明日も私達一緒ってことね。素敵じゃない?」

    話しかけながら、田崎の左腕に自分の右腕を絡め、肩に枝垂しだれ掛かる……。

    『そう、時間はたっぷりある』私は田崎にとって最後の夜を共に過ごしながら連絡が入るのを待つことにした。

    静かに時間が過ぎていく。

    高層階の窓の外は眠ることのない、私と同じけがれた街、東京の夜景が広がっている。

    静寂に包まれたこの空間に漂うのは、オードパルファムの薔薇ローズの香りと二人、田崎と私のわずかな吐息と互いの体温ぬくもりだけ……。

    二人は自然と互いを見詰めあい、再び唇を重ねた。

    ソファの上で口付けと抱擁を交わし、互いの気持ちがたかまるのを感じた頃、田崎が耳許でささやいた。

    その声は男性的な強さを感じる甘いものだった。

    「ベッドへ行こうか……」

    「シャワーがまだよ……焦らないで。朝まで、まだ長いわ……」
   
    私は田崎をバスルームへ誘い、ソファから立ち上がった。田崎も立ち上がり、互いを見詰める。

    私は後ろに手を回し、ドレスの背中のホックとファスナーを降ろした。

    スッと肩からスカーレットのドレスが脱げ足下に落ちた。

   

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