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雨の日に…
しおりを挟む「え~…うそぉ……」
下駄箱の前に広がる風景は、天気予報の晴れと打って変わってどしゃ降りの雨が続いている。
天気予報を信じていたわたしは、当然傘はおろか折り畳みも無い。いつもは常備しているのだが、なぜか今日は「大丈夫っしょ」とか思っておいてきてしまったのだ。
「はあ…仕方ない。行くしかないか…それにしても何で今日に限って忘れちゃうかなあ。わたし、そう言うところあるからダメなんだよね…」
諦めてバックを盾にでもして帰ろうと思った…その時だった。
「広瀬、傘忘れたの?」
「!」
声を掛けてきたのは同級生・蔵橋 龍生。一応クラスメイトだけど運動神経抜群、成績優秀、礼儀よしで女の子に大人気だから、どことなく遠い人のイメージ。
「あ、うん…仕方無いから、このまま帰ろうと思って」
あはは、と笑うと、蔵橋くんは小さくため息をついて「確かに。…仕方ないな、それは」と言って、傘をボフッと広げた。
なんとなくその背中を見守っていたら、蔵橋くんが振り返った。
「何してんだ。早く入れよ」
「えっ……」
――その日は寒くて雨も冷たかったけれど、蔵橋くんと入った傘は少しだけ…暖かかった。
え、何ソレ便利。保温機能がついてる傘なんて見たこと無いんだけど。
蔵橋くぅーん!良かったらソレ譲ってくれない?このキザ野郎が!!
なんやねん?!「見守っていたら、」っておかんか!!お前はオカンなんか!!
それと前のパン女(あだ名)もそうだけどわざわざ言う必要あるか!?目の前で忘れたってよぉ!!
それに今のご時世ご丁寧に職員及び教員の先生方が傘を拝借させて頂けると言う事ではありませんか借りろよボケィ!!
プラス行くかって決めたらバック盾にすると邪魔だからダッシュやろが!!この○○○○○!!
「あれ、裕じゃん!」
「!!」
…こ、この声は……
「ひ、宏樹……!」
この男はなんと、リア充(と、トゲアリトゲナシトゲトゲ)大嫌いのこの俺のことが好きらしく、昨日告白してきたのだ。
俺は確かにヤツを振ったんだが、なんらかの手違いで「チャンスがある」と思ってしまったらしく笑顔で「振り向かせるから!」と退散していった。
「よぉっ!俺傘忘れたから一緒に帰ろうぜ!」
俺の危険センサーが頭の中でビービーと鳴り響いている。
「い、いや、俺も忘れたから…」
高校生二人がじりじりと間合いを取り合うこの光景。ふっ…俺が傍観者だったら真顔で通りすぎていただろうな。
「ほんとか!じゃあなおさら一緒に帰ろうぜ!!」
「いやなんでそうなる?!俺はかえッ…」
俺の馬鹿野郎。
足を滑らせて転ぶなんてなんて典型的なアホなんだ。
バシャン!!
「うわっ、ペッペッ!最悪だ…ぁあ…」
くそ…このシャツこの前買ったばっかなのに…。
新品のシャツは泥だらけになり、鬱な表情をしていると、宏樹は逆に頬を赤く染め、笑みを溢していた。
「あ、あ、ごめんな!俺のせいだよな…。じゃあとりあえずうちに来いよ!」
「え?」
ああ、なんと俺はバカだったのだろうか。
よりによって学校から家が近いコイツと帰る時間帯が被るだなんて。
…ああそうだ。今日は雨なんだった。
「男なら男らしくどしゃ降りの中だとしてもッ…自分の使命(部活兼サッカー)……突き通せよッッ!!」
と、若干厨二くさい台詞を吐きたい衝動にかられるも、新品のシャツが使って初日でダメになるのは流石に嫌なので全力で嫌な顔(具体的に言うとクソ不細工な変顔)をしつつ、ついていくことにした。
「ふぅっ、とりあえず凌げるな。いやあ、学校から家が近くて良かったよホント!!」
ヤツは満面の笑みを浮かべている。
「裕は俺よりずぶ濡れだし、このままだと風邪引くし、そ、その…ふ、風呂入っていいよ…」
少しだけ頬を赤くして斜め45度を見つめる宏樹。……このスケベ野郎が。あわよくば展開期待してんじゃねえ馬鹿。
「…いや、シャツだけ脱いで体操服に着替えたら帰るんで…」
いくら俺が同性愛者を不快に思わないとはいえ、もしそれで襲われたりしたら敵わない。
ここはそそくさと帰るとしよう。
「いいって~遠慮すんなよ裕!俺とお前の仲だろ☆」
「今それ言うと誤解を招きそうだから親友っていってくんない?」
「親友……!」
なぜか宏樹は効果音に「ジ~ン…」という音がつきそうな位乙女チックな顔をして、目を輝かせている。
…つくづく変なヤツだな。
「ま、風呂まで借りるのは悪いってのもあるけど、俺んちもさほど遠いって訳でもないし。いいよ、ここで着替えて帰るわ」
「………」
「…宏樹?聞こえてる?死んでないよね?」
「…ゆ、裕ッ………」
「……え、おい…」
…やべえ。コイツの獣魂が解放したかもしれない。
………helpme~!!!!!
…皆も雨の日は気を付けるんだぞ☆
おわり♥
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