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しおりを挟むアルバと過ごしていく内にいくつか分かってきたことがある。
まず、ボクの容姿は目立つこと。常に顔は隠しとかないと面倒なことになる。
この間なんて、盗賊の一人に襲われかけたからね。強めに反撃したせいで後処理が大変になったけど…
次に、敬語は止めること。ボクの場合、復讐手助けして貰うために此処にいる感じだから、『仲間』ではない。
境界線はハッキリさせないとらしい。
***
「リオ、お前の目的は――」
「もちろん、復讐することだよ」
食いぎみに答えた。
「お、おう。で、その…精霊神殿だっけか? 異世界から聖女を喚んだらしいぜ」
…ボクが追放された原因かな? でもその人には何にも恨みはないんだよね。
むしろ感謝してるくらい。地獄から追い出してくれたんだもん。
自然と口角が上がる。
「一応言っとくが、聖女は殺すなよ? 一番面倒なことになる」
え?
キョトンとしたのが、表情に出たのかアルバは首を傾げた。
はぁ…分かってないな~。
「アルバ。ボクが復讐したいのは神官とかで異世界から来た聖女は全く関係ないんたよ?」
「いやそれは知ってるけどな…」
「ああ。そういうことか。
その聖女のせいで追い出されたとかでしょ?」
アルバが頷いたのを確認すると、話を続けた。
「追い出されたってアルバはとったけど、ボクは追い出してくれたって考えてるんだよ。
だってその人がこっちに来なければ、ボクはずっとあの地獄の中。
…アルバには話してなかったけど、ボクが負ってた傷は魔物の攻撃じゃないの」
「………は!?」
盗賊の一人で、回復魔法が使える人が痕残さずに治してくれたけど、怪我の原因まで説明していなかったのを思い出した。
魔物だと思ってると予想していたら案の定だったね。
「全部、全部ね。神殿でやられた傷なんだよ? ふふふっ。人為的につけられた傷。8年間ずっとずっとずっと! 笑い者にされて、大怪我を負っても放置。絶対に致命傷にならないところで。
……2年ぐらいで痛みなんて忘れた。でも今思うとすごく苦しいんだ。抵抗なんてしてもどうにもならなかったからされるがままだったけどね」
アルバの表情が痛々しいものを見るように変わっていたことに気づかなかったボクは、そのまま話を進めた。
左腕を見せるために、袖をまくる。治す前は傷と痣だらけだったけれど、今は何事もなかったかのような肌だ。
「傷も痣もなくて、綺麗でしょ? でもね、ボクには傷だらけに見えるんだ。ボロボロに見える。
治ってるのに、不思議だよね。長年の感覚なのかなー?
だから、もう憎いなんて言葉じゃ足りないくらいなんだ。これは復讐。邪魔者は絶対に消す! あはっ♪ あはははっ! アルバも邪魔だけは絶対にしないで、ね?」
邪魔をするなら誰だって消すから、ね?
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純粋なリオがいい方はお引き取りを…。本編と大分キャラが壊れています。
これはまだましな方なので、引き返すなら今です。
次回、アルバ視点です。
応援ありがとうございます!
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