チャラ男は愛されたい

梅茶

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新入生歓迎会

流石にライン超では?


「今更知らないフリかよ?!……くそっまどろっこしいのは嫌いだから聞くけど、お前転生者だろ…?!」
「…ぐずっ…てんせい、しゃ…?な、なにそれ…」
「ッこの際教えてやるけど俺の目的はさっさとこのゲームをクリアしてこの世界からおさらばすることなんだよ!!!原作通り進めなきゃ出られないかもだし、お前の推しとかには手を出さないでやるから、いい加減好き勝手動きまわるのやめろよ!!!」


 そう物凄い剣幕で怒鳴る茜くん。
 握られた手は怒りからか震えている。その心からの叫びは怒りと…悲痛さで満ちていた。茜くんの切実さに気圧され、思わずたじろいでしまう。



 …いや茜くんは大真剣なんだよね。それは分かる。わかる…んだけど…
ちょっと何言ってるか分からないっていうのが本音である。思わず涙も止まってポカーンとした間抜け面を晒してしまう。

 げ、げーむをクリア?この世界からおさらば…??

わかんないわかんないわかんない。さっきの美緒先輩以上に意味不明かもしれない。それに手を出さないでやるって言い方物騒すぎるだろ。
もしかしてだけど茜くんってなんか思ってた以上にヤバいやつなんでは…??と自分がメンタルよわよわでギャン泣きしちゃうタイプの高校生であることを棚に上げて思う。思うだけなら自由だからね!


「あ、あの、茜くん、(頭)大丈夫…?」
「あぁ!?大丈夫な訳ねぇだろ!!だいたいずっと言おうと思ってたけど、あの粘着性悪野郎の三枝を攻略しようとするとか趣味悪すぎるんじゃねぇの!?」
「え、口調変わってない…?いや、というか、る、ルイくんを悪く言うなよぉ…!お、おれそんな攻略?とかじゃなくて、仲良くなりたいだけだし、ルイくん粘着質でも性悪でもないもん!爽やかだもん…!!」
「はぁ!!??おいおいお前にわかファンかよ!!!なに?久遠このゲーム全クリしてない感じ?いや全クリしてなくてもオタクならわかんだろああいうタイプの本性みたいなの。知らねぇけど。というかイケメン侍らしてたし面食いなだけなのか?この八方美人のビッチ野郎がよぉ…全方位に矢印ばら撒くなよ俺が攻略できねぇだろ…!!」
「う、うぇぇぇん、いみわかんないけど貶されてるのは分かるよぉこわいよぉ…!!!」


 何語だよそれ~…!(泣)
 でもなんとなく貶されてるのはわかって意味もわからず傷ついた。メンタルよわよわすぎてむり……おれが何したってんだよ…!!


「チッまた知らねぇフリしやがって…!だいたい久遠が俺様会長の義弟じゃない時点でおかしいと思ったんだよ。仲も悪くないみたい…というか初対面っぽいし。だいたい久遠のあの父親と母親なのにお前の性格が明るいなんてありえねぇし絶対原作改変タイプの転生者だと思った。」
「……???な、なんでそこに会長と俺の父さんと母親が出てくるわけぇ…?」
「は…?そんなもん………って、え……?い、いやまてよ、今久遠『父さんと母親』って言ったか…?」
「い、いったけどぉ…?」


おれがそう答えると動揺したように口元を手のひらで覆う茜くん。なんかおかしいそんなはずないとか言ってるけどなに?俺の見た目だったらパパとかママとか呼んでそうとかそういうこと言ってる???さすがにチャラ男への偏見がすぎるだろそれは。…昔は呼んでた気がしないでもないが。


「ゲームでは久遠は父親に捨てられて仕方なく母親に引き取られてたはず……それにもっと影のあるチャラ男だったはずなのになんかギャルみたいになってるし転生してなかったらそんなのおかしすぎるだろ…いやでも今呼び方が、まさかとは思うけど…いやいや流石にそんな…全く原作知らないとか…いやでもそれならそれで…」


そうブツブツ言い出した茜くんに恐怖を感じるが…それ以上に、少し聞こえた内容に対して憤りを覚えざるを得なかった。

い、今茜くん、もしかしてだけど俺が父さんに捨てられたって言った…!?はぁ!?!?!?うちの父さんはいい父親選手権があれば優勝間違い無しの世界一素晴らしいパパなので子どもを捨てるような非人道的なことしませんが!!?どこかの母親と違ってね!!!!!!

もう転生とか原作とかよく意味がわからない言葉や人をギャル呼ばわりしている事なんかもすぽーんと抜けて、茜くんを睨みつける。


「!??は、はぁ!?お、っおれ、と、とうさんにすてられてないしっ…!め、めっちゃ仲良しですけどぉ…!?」
「え、仲良しって……ん?え、あ?く、久遠今、父親と住んでるってこと…?」
「??そ、そうだけど…」
「はぁ!!??えっでもあの母親は原作通りだったよな…?!(流石に原作初期設定と違いすぎるだろ…!え、まさかだけどこれ俺の勘違いだったってことか…?!)」
「と、というか、お、おれのこときらいだからって、そ、そんなうそ…!!ら、らいんごえじゃない!?す、す"てられてないも"ん"おれぇ"…!う、う"わ"ぁぁぁん!!!」
「(ぜ、絶対勘違いだこれ…)っが、ガチごめん久遠!!!うわっそうだよな、俺今最低なこと言ったよな本当ごめん……!!」


怒りやら何やらと同時に涙まで溢れ出してしまったけど俺の涙腺本当にどうなってるんだよ…
ブツブツ言ったと思ったらなんだか急にオロオロしだして優しくなった茜くん。何らかの誤解を受けていたのが解けたらしいが、俺はまだ何一つわかってないからね。先程の発言は流石にライン超だったと茜くんも思ったのか頭を撫でながら宥めてくれるが情緒不安定すぎて涙が全然止まらない。

……それに、なんかさっきから…というか前から茜くんといると落ち着かない気分になって些細なことでも感情をチクチク刺激されてしまうんだよな…。父さんと普通に仲がいいはずなんだから捨てられたって言われてもなわけ!ってそんなに気にしなくていいのに、茜くんに言われたら父さんは俺を引き取ってどう思ってるのかな?とか母さんのことが無理ならよく似てる俺も実は苦手なんじゃ…とか、心の奥底で少しだけ悩んでたことを引き出されるというか……


「と"、と"うさんおれのことすきだも"ん"…!お、おれ、おれ"のこと"、だっ、だいじだって…いって、っふ、う、ぅぅぅぅ…!
「……ぐっ、そ、そうだよな。絶対久遠の親父さんも久遠のこと大事だと思ってるだろうな。俺が100%悪かった!ごめん久遠!…(やばい、久遠が転生者じゃないってわかったらめっちゃ可愛く見えてきたんだけど…!?)」
「ヒック、ぐす…ううぅぅ…!!」
「あ、あの、久遠…」
「久遠様ーーーーッッ!!!!!!!!!」
「「っ!?」」


な、なに!?なにごと!?声デッカ!!

茜くんに必死に慰めてもらったからか少し落ち着いてきていた涙が、突然の腹からの大声量で完全に止まった。茜くんとふたりでビクつきながらドアを見ると、よっぽど急いできたのか髪がいつもより顔にかかって怖いことになってしまっている俺の親衛隊副隊長、宍戸先輩がそこにはいた。


どうやらなかなか現れない俺に心配になって体育館から迎えに来てくれたらしい。美緒先輩に泣かされてそのまま茜くんが慰めてくれていたのを知っているからか(まあ今は茜くんに泣かされてたんだが…)保護者のように茜くんにお礼を言っている。お前は俺のなんだよ。いや親衛隊ではあるんだけど…!



「く、久遠様、こ、このまま体育館に行かれますか?あっでもちょっと目元が赤くなっていますし、あ、あんな有象無象の前にこのエンジェルフェイスを出す訳には…!うっ、うぅ久遠様が襲われてたのに俺が役立たずすぎてあぁやっぱりあのクソ野郎消さなきゃ消さなきゃ消さなきゃ…」
「いっ、行く行く行く!!俺体育館行きたいなぁ!!お、鬼ごっこ自体は楽しかったしさぁ、最後までこのイベント満喫したいなぁって……だめ?」
「グッ!!!も、もちろん大丈夫です!!!」


怖い。頼むから突然闇堕ちしないで欲しい。
俺がイベントみたいってお願いしたら突然顔真っ赤にして涙まで流してしまったんだが、怖すぎるだろ。今まで周りにいたことがないタイプすぎて本当に俺の親衛隊との付き合い方が分からないんだよな…
とにかく今から体育館に行くことになったので、その間に少しでも目の赤みを取ろうと何故か小屋に置いてあった保冷剤で目元を冷やす。ここ本当になんでもあるな。

…落ち着いたところで今日でだいぶ印象が変わった茜くんをチラッと見ると、しっかりと目が合ってしまった。


「……あ、茜くん、あの…さ、流石にさっきの俺幼児退行しすぎてたというか…今までも俺酷いこと言っちゃってたのに、あの…いっぱい迷惑かけて、ごめんね…?」
「!ッいや、俺は全然気にしてないから!むしろ俺がお前のこと誤解してて突っかかっちゃってたっていうか、全部俺が悪いというか…!!本当に久遠はなんにも気にしなくていいから!!!今日なんて俺こそ普通に言っちゃいけないこと言ったし、なんというか…本当にごめん!!」
「…っふ…はは、なにそれ…!」


平謝りしてくる茜くんになんだか笑いが込み上げる。茜くんってこんな面白かったんだ。なんか俺最初の印象良くなさすぎて色眼鏡で見すぎてたのかもなぁ。
何故か俺の顔を見て真っ赤になっている茜くんに首を傾げて、そのまま宍戸先輩に連れられて体育館に向かう。



『ヒィ~~wwwwwwこれは大会ベストショットすぎるでしょ!!見てこの会長の間抜け面!!wいや~さすが俺様何様会長様、お姫様抱っこも似合ってるね~まぁ今回はされる方だけど!あっはっはwwwwww』
「………おい誰かあいつを黙らせてくれ」
「無理でしょう。あの燈李に餌を与えてしまったあなたの自業自得ですね。」
「とうりっちってマジでゲラだよね~」
「あの性格じゃなければ抱いてたんだけどなぁ~」
「……はぁ…笑い声うるさい…」


たどり着いた体育館では舞台上のスクリーンいっぱいにガチムチなマッチョにお姫様抱っこされて呆然としている会長の顔が写っており、それを見ながら今回の鬼ごっこの説明役でもあった超絶美声で美形な渡會燈李先輩が爆笑していた。

な、なんかだいぶ愉快なことになってる…!!!
感想 22

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みんなの感想(22件)

ぴーや
2026.03.18 ぴーや

続きずっと待ってました!!更新当日に見れなかったのは残念でしたが…相っ変わらず遥の泣き方が好きすぎて!俺最低じゃね??ってなる茜くんもすっっごく面白かったです!いつまでも更新待てますんで!主さんペースでこれからも頑張ってください!!連載当初から見てますが何気に初コメ失礼しました!

解除
夕陽海月
2026.03.12 夕陽海月

茜くんが、かっわいすぎる久遠くんに、全力で謝って惚れかけてるところ好きすぎるんですが!?あと幼児退行久遠くん好き!
全力王道学園応援派閥(?)なので、どうぞこれからもよろしくお願いします!最高です!マジLOVEです!!久遠くん推しですが、副会長様も、茜くんも、ほかの生徒会メンバー様や、ルイくんたちもめっちゃ好きです!!これからも頑張ってください!最高すぎる作品をありがとうございます!!

解除
ななし
2026.02.02 ななし

面白すぎます!!王道学園もチャラ会計主人公もめちゃめちゃ好きなのでもう神作品です……主人公可愛すぎます🥺🥺🥺❣️❣️続きも楽しみにしてるので、まったり更新頑張ってください🍀🍀

解除

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