夜櫻に輝く君を想う。

20話

緑色の『0』という数字

値段表示や、ポスターとかで多く見る。
普通の数字で、特に大したことも考えることは無い。


『ただの数字』と『命の数字』


それが同じように緑色の0でも、こんなにも差があるものになるなんで思っていなかった。


友達が亡くなる。


こんなの初めてだ。
高校生で同級生の親友を病気で亡くすなんて、普通はありえない事だ。
そんな不幸。
いや、不幸ではない。運命というのか。
何も悪いことしてないのに、神様が与えた運命だ。
なんで、和樹なんだ。
なんで、俺らなんだよ。
酷い。憎い。

何一つ不自由せず、仲いい友達とずっと一緒に居られるって当然のように思っている人たちがいる。

そんな人が羨ましいよ。
和樹とまた遊び行きたい。


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「櫻野くん。」
「どうも。」

放心状態で、もう十数時間も食べ物を口にすることが出来なかった。
その時、和樹のお母さんが挨拶をした。

「ありがとう。和樹の側にいてくれて。」
「いえ。僕は居れて良かったです。和樹と最期に話すことが出来て。」
「良かった。面会時間のすぐ後だって聞いた。きっと和樹は櫻野くんのことを待ってたんだと思うの。きっと、櫻野くんに言いたいことがあって。」
「僕も言いたいことが言えました。和樹に。」
「そっか。そういえばお家帰らなくていいの？もう夜だけど」
「あ、」

病院の廊下の窓を見ると、道を照らす街灯が白く光り太陽が月へと変わっていた。

「もうこんな時間だったんですね。そろそろ帰ります」
「そうだね。ありがとう。」
「いえ、こちらこそ。すみませんこんな長くまで居て」
「ううん。」
「じゃ、失礼します」

病院を去る足取りは、誰が見ても遅く重いものだった。

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それから1週間

和樹の葬儀も終わり、あとは四十九日のみ。
だんだんと和樹の死を受け入れないと行けなくなってきた。
火葬場には入れなかったけど、和樹のお母さんが抱えている壺は俺にとってとても大きなものに見えた。
あの中に、和樹がいるんだ。そう思った。
悲しかった。元気で笑顔で…。そんな和樹に何度助けられてきたことか。
ありがとう。

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俺は、和樹の死を受けいれた。
そして前を見ることにした。
和樹がいなくても、いなくても。友達を作る。話しかける。


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今日は、久しぶりに散歩がてらあの公園に行くことにした。
彼女がいるという確証はなかったけど、

「大翔くん。久しぶりだね」