無冠の皇帝

有喜多亜里

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【04】始まりの終わり(上)

05 実は引きこもりでした

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「このときばかりは、〈フラガラック〉がもう一隻あればといつも思うな」

 〈フラガラック〉の船長室。己の父とよく似た金髪碧眼の少年との亜空間通信を終えたアーウィンは、いつもの苦笑いを浮かべると、総司令部の執務室にあるものより高級な回転椅子の背もたれに背中を預けた。

「一隻は基地でキャルと一緒に待機。おまえはもう一隻で〝帝都〟に行く。で、俺はキャルを守るために基地に残る」

 もう何度も言われていることだ。アーウィンと一緒に映るため、彼の斜め後ろに立っていたヴォルフは、すまし顔で諳んじた。

「そういうことだ。キャルにもしものことがあれば、我が艦隊は戦わずして敗北するからな」

 まあ、そうしたのは私だが。
 アーウィンは自嘲すると、椅子から体を起こして、ここでもできる事務仕事を始めてしまった。
 そもそも、通信自体はここでなくともできた。それこそ、総司令部のあの執務室でも。
 だが、アーウィンはあの少年――「帝国」現皇帝にして自らが後見している少年と話をするときは、わざわざこの〈フラガラック〉の船長室まで移動する。
 実はそれにかこつけてここに来たいだけではないかとヴォルフは思っているが、今日のような休日でも軍服を着て何かしらの仕事はしているのだ、それくらいは大目に見てやろう。
 そして、休日返上でそれに付き合わされている自分は、もうあの応接セットのソファに座って居眠りをしてもいいはずだ。

「用があったら声をかけてくれ」

 そう言い置いて、ヴォルフはアーウィンのそばを離れ、執務室にある自分専用のソファよりも華美だが頑丈なソファに腰を下ろした。
 アーウィンはちらりとヴォルフを見やったが、何も言わずに端末を操作しつづけた。承知したということだろう。勝手にそう解釈して、金色の目を閉じる。
 アーウィンには最優先でキャルを守れと命じられているが、そのキャルは今、基地内で三番目に安全な場所で定期点検中だ。公私の別なくアーウィンを守らなければならないヴォルフに退室という選択肢はない。
 かつて帝城にあったアーウィンの私室――実用重視で飾り気がなく物が少ない――をそのまま再現したかのようなこの船長室は、まさしく彼の現在の私室である。もっとも、そうとわかるのは今ではヴォルフくらいのものだろう。あの部屋に入ることをアーウィンが許したのは、彼の父とヴォルフとほんの数人の世話係だけだった。
 一応、皇帝軍護衛艦隊司令官用の公邸も別邸もあるにはある。しかし、いずれも基地の外にあったため、アーウィン自身はろくに使用しないまま、身元が確かな人間たちに有料で貸し出してしまった。ドレイクには無人艦を無駄遣いしていると説教されたが、基本、アーウィンは無駄を嫌う。ある意味、ドレイクよりも激しく。
 基地内に新たに建てさせた表向きは新公邸も、実質、キャルの保全機関だ。そこに常駐しているのは、医療関係者や技術者がほとんどで、今はキャルの定期点検をしている。
 もちろん、アーウィンもヴォルフも、通常はその公邸で寝起きしている。だが、アーウィンは何かと理由をつけてはこの〈フラガラック〉に留まりたがる。宇宙船としての〈フラガラック〉はキャルを必要とするが、地上にいる間は船の形をした高級ホテルだ。たとえアーウィン一人でも快適に過ごせる。
 アーウィンの前では親馬鹿以外の何者でもなかった彼の父――「帝国」前皇帝は、ありとあらゆるものを息子に与えたが、おそらく、アーウィンが掛け値なしに感謝して受け取ったのは、遊学のため〝帝都ケテル〟を離れる際、餞別として贈られたこの大型汎用宇宙船――〈フラガラック〉だけだった。
 前皇帝としては、単なる〝乗り物〟のつもりだったのだろうが――しかし、建造費用は小惑星一個買えるくらいかかっている――当時、すでに帝位継承権を放棄することを考えていたアーウィンにとって、それはもはや〝我が家〟に等しかった。
 〝我が家〟が手に入れば、今度はそこの居住性を上げようとするだろう。その点はアーウィンも例外ではなく、自分の資産の大半をこの船のカスタマイズに注ぎこんだ。さらに、遊学先で知り合ったキャルのまで引き継いでしまったため、望みどおり〝元皇太子〟となった三年前にはもう〈フラガラック〉は〝ノン・オペレータ・システム〟を搭載した空前絶後の戦艦と化していた。
 明言したことはなかったが、帝位継承権を失った後は、この〈フラガラック〉で「帝国」領内を漫遊するつもりでいたのだろう。〈フラガラック〉の過剰なまでの武装化も、無人護衛艦の開発も、そのためのものだった。
 だが、前皇帝はアーウィンの帝位継承権を剥奪するのと引き替えに、厄介なものを彼に押しつけていった。
 記録上、歴代皇帝と皇太子は父子ということになっているが、実際はどちらも初代皇帝のクローン――遺伝子的には同一人物だ。そのクローンの製造を直接管理しているのが、「連合」からの独立を勝ち取った最大の立て役者とも言えるメガコンピュータ――通称〈智天使ケルビム〉だった。
 つまり、皇帝および皇太子は、〈智天使ケルビム〉によって選定されているのだ。初代皇帝のクローンではないアーウィンが皇太子になれたのは、結局のところ、前皇帝が〈智天使ケルビム〉に異常に気に入られていたからに他ならない。
 同じクローンでも多かれ少なかれ差異は生じる。アーウィンの古馴染みの科学者の口癖だが、ならば、前皇帝はよほど初代に似ていたのだろう。初代のクローンを皇帝にしなければならないのは、ひとえに〈智天使ケルビム〉が初代の命令にしか従わないよう設計されていたためなのだから。
 理由はともかく、〈智天使ケルビム〉はアーウィンを皇太子として認めたのだ。そのまま行けば、アーウィンは父と同じ皇帝になれたはずだった。
 しかし、彼は初代のクローンではない自分にはその資格はないと、帝位継承権の剥奪を父に求めた。クローンではないそもそもの原因を作った父に。
 そういう後ろめたさもあったのだろう。表向きは体調不良のため退位を表明した前皇帝は、今度こそ自分と同じ初代のクローンに帝位を譲った。だが、皇太子ではなくなったアーウィンには、〝レクス公爵〟という一代限りではあるが皇帝の臣下として最高の爵位を与えた上で、現皇帝の後見人を務めるよう命じたのだった。
 あの前皇帝ならば、後見人などいらないを用意させることも簡単にできたはずだ。わざわざを皇帝にした理由はただ一つ。皇帝になることを拒んだアーウィンに、皇帝同然の権力を与えるためだ。誰もすぐにそうとわかったが、前皇帝の決定に異を唱えられる者は一人もいなかった。
 一応、皇帝が成人するまでという期限はつけられていたものの、そんな命を下した前皇帝はといえば、〝帝都〟から遠く離れた惑星いなかで〝新婚生活〟を送っていた。このときのアーウィンはやさぐれて自暴自棄になったとしても許されたと思う。少なくとも、ヴォルフは許す。
 しかし、実は極度のファザコンで、父に恥をかかせるような真似は絶対にしないと誓っていた彼は、ヤケ酒は多少あおったが、ヴォルフたちの前以外では愚痴ひとつ零さず、皇帝としての父の最後の命令に従った。
 後見人とは言っても、皇帝軍護衛艦隊の司令官かつコクマーの領主でもあるアーウィンは、帝城に留まることはできない。
 そのため、信頼の置ける優秀な人材を短期間で掻き集め、自分が四六時中そばにいなくとも安心して暮らせるよう、皇帝の身辺に配備した。
 それでも、せめて月に一度くらいは登城するつもりでいたのだ。
 何と言っても、皇太子時代を経ずにいきなり皇帝にさせられた少年はあまりにも幼かった。容姿が似ていて血縁もあると言えばあるアーウィンを、父か兄のように慕っていた。その意味で、アーウィンを後見人にしたのは正しい判断だったと言えるだろう。
 アーウィンにはいろいろ問題はあれど家族と呼べる父がいた。だが、あの少年には最初からいない。アーウィンはあまり感情を表に出さないが――もっとも、近頃はそうでもなくなってきたが――決して情がないわけではない。父と同じ名と遺伝子を持つ少年に深い同情を寄せていた。
 しかし、アーウィンが護衛艦隊の司令官に就任したのを見計らったように、あの忌まわしい「連合」が、三百年前と同じように〝ゲート〟から「帝国」領内に侵入してきた。
 あのとき、アーウィンが司令官でなかったら、〈フラガラック〉と無人艦がいなかったら、さすがに〝帝都〟は落とされなかっただろうが、甚大な被害は被っていたはずだ。
 前皇帝はそこまで見越してアーウィンを〝レクス公〟にしたわけではないだろう。だが、結果的には最高の任命となってしまった。「連合」の最大の狙いである〝帝都〟へは、アーウィンの護衛艦隊を突破しなければ到達できない。
 しかし、護衛艦隊の旗艦〈フラガラック〉は、護衛艦隊最大の戦力であると同時に最大の急所でもある。
 とにかく、常に万全でなくてはならない。
 今の護衛艦隊は八割が無人艦で、彼らを遠隔操作できるのは〈フラガラック〉だけなのだ。「連合」との定期的な戦闘に参加するのは無論のこと、いかなる理由があろうとも、無人艦の遠隔操作はできるようにしておかなければならない。
 そのため、〈フラガラック〉が戦闘目的以外に基地を離れることは滅多にない。ドレイクの〝採用試験〟を見にいったのは、その滅多にないことの一つだった。
 アーウィンがまだ帝城にいた頃の皇帝は、皇帝として必要な知識こそ刷り込まれてはいたものの、アーウィンの顔を見れば抱っこをねだるような、子供らしい子供だった。
 だが、今ではすっかり落ち着いて、たまには会いにこいと我が儘を言うどころか、私のことは気にするな、司令官としての職務を果たせと諭してくる。
 無論、それが皇帝の〝演技〟だということは、少々鈍感なところもあるアーウィンもさすがに気づいている。だからこそ、皇帝との通信――ディスプレイには映っていないが、皇帝の周囲には侍従たちも控えているため、通信内容は当たり障りのない近況報告――を終えるたび、〈フラガラック〉がもう一隻あればとぼやいているのだ。〈フラガラック〉ならば、このコクマーと〝帝都〟とを短時間で往復できる。
 しかし、実際問題、皇帝に会いにいくためだけに〈フラガラック〉級の戦艦をもう一隻造ることなどできない。そんな金があったら、無人艦を一隻でも多く造らせたほうがよほど有意義だ。
 と、アーウィンも思っているから実行はしていないのだろうが(どれほど金がかかろうが、必要だと思えばアーウィンはする。たとえばドレイクの〈ワイバーン〉のように)、それでも毎回同じことを言うのは、皇帝に対してある種の罪悪感を抱いているからだろうか。
 前皇帝の望みどおり、アーウィンが皇帝にさえなっていれば、あの子供はいきなり皇帝にはさせられずに済んだ。皇帝が子供でいられた時間はアーウィンよりもはるかに短く、前皇帝のような親馬鹿な、そしてあまりに身勝手な父親もいない。

「ヴォルフ」

 そんなことをつらつらと考えていたら、いきなりアーウィンに名前を呼ばれた。
 まるで心を読まれたかのようで肝が冷えたが、用があったら声をかけてくれと言ったのはヴォルフだ。ならば、自分に何か用事があるのだろう。
 だが、瞼を上げるのは、その用事の内容がわかってからでも遅くはない。正直言ってヴォルフは今、かなり眠たかった。

「……何だ」

 とりあえずそう答えて、自分は寝てはいないぞと言外に主張してみたが、なぜかアーウィンはそれ以上何も言わなかった。
 眠りかけていたのを見抜かれたか。だが、そんな遠慮をするような奴ではなかったはずだ。怪訝に思ったヴォルフは、ついに瞼を開けてアーウィンを見た。
 ヴォルフが目を閉じる直前と同様、アーウィンは執務机にいた。しかし、その手は完全に止まっていて、視線は端末のマルチディスプレイではなく、ヴォルフに向けられていた。

「何だ?」

 もう一度、今度は促すように言うと、アーウィンにしては珍しく、少しためらった。

「すまなかったな」
「何が?」

 ヴォルフは白銀の眉をひそめた。アーウィンが謝るのも珍しいと言えば珍しいが、何に対する謝罪なのかがわからない。ドレイクではないが、心当たりがあまりにも多すぎる。
 アーウィン自身もそう思ったのか、軽く溜め息を吐き出した。

「おまえを皇帝の側近にしてやれなかった。帝位につかなかったことはまったく後悔していないが、その点だけは今でもすまないと思っている。……私が死なないかぎり、おまえは主を変えられないのに」

 眠気などもう完全に吹き飛んでいた。ヴォルフはぽかんとしてアーウィンを見つめた。
 アーウィンは決まり悪そうに青い目をそらせたが、仕事は再開しなかった。誠心誠意、本心からの謝罪らしい。
 今さらそれを謝られても……と思わないでもないが、それだけアーウィンには言いにくいことだったのだろう。というより、アーウィンでなかったら、すまないという気持ちさえ抱かなかったに違いない。

「何かと思ったら、そんなことか」

 なるべく自然に見えるように、意識してヴォルフは笑った。

「そもそもそんなもの、最初からなりたいとも思っていなかった。おまえの父上も、『我が子、アーウィンに仕えよ』と言った。皇太子でも次期皇帝でもない。『我が子、アーウィン』だ。おまえの肩書がどう変わろうが、最悪、名前も変わろうが、俺には関係ない。まあ、さすがに給料なしは困るがな」

 嘘ではないが完全に真でもない。きっとアーウィンもそうとわかっていただろうが、それでもほっとしたように表情をゆるめた。
 「帝国」において、皇帝の命令は絶対だ。だが、文字どおり生涯仕えなければならない主がアーウィンでよかったと、今は心の底から思っている。もし前皇帝だったら……辞職のための自決さえできなそうだ。

「そうか。おまえも金か」

 生真面目に呟くと、アーウィンは中断していた作業を再開した。冷やかしだと思いたいが、アーウィンの場合、本気で言っている可能性もある。そこはヴォルフでも見極めがたい。

「おまえもって……誰でもそうだろ」

 ヴォルフとしては、給料なしは照れ隠しでもあった。ふてくされて言い返せば、アーウィンはディスプレイを見つめたまま口角を上げた。

「確かにな。金がなくては、私でもどうにもならん。キャルにアイスも食わせてやれん」
「キャル?」
「今、メールが届いた。キャルの定検が終わったそうだ」
「そうか。今回は短かったな。夕飯は一緒に食えそうだ」

 自分の腕時計――キャルなら首にもはめられる――を見ながら、思ったことをそのまま口にする。と、アーウィンがぴたりと動きを止めた。

「ヴォルフ」
「駄目だ。泊まりはなしだ。今すぐ帰るぞ」

 皆まで言わせず一気にまくし立てると、アーウィンは腹立たしいというより悲しげに眉根を寄せた。

「たまにはここの寝室で寝させてくれ……」
「出撃前には必ず泊まりこんで寝てるだろ。平時でも、おまえがあの屋敷にいないといろいろ不便なんだよ。特にキャルが」
「それはわかるが……『連合』め、まったくもって忌々しい……」

 ぶつくさ言いながらも、流れるように端末を操作してディスプレイを消していく。その手際のよさを見るに、メールが届いた時点で終了準備は始めていたのだろう。それなら素直に帰ればいいものを、毎回悪あがきする。
 ――隙あらば引きこもりたい。この〈フラガラック〉の中で寝て暮らしたい。
 ドレイクも〈ワイバーン〉を与えられた夜には泊まっていったが、あれは嬉しさからで、アーウィンのこれとはまったく質が違うだろう。はっきり言って、ドレイクのほうが〝まとも〟だ。
 しかし、アーウィンの過去を知っているだけに、一概に非難することもできない。

「まあ……せめて長旅ができるようになれればいいな」

 何の慰めにもならないが、嘆息して立ち上がったアーウィンにそう声をかけると、彼は目を見張ってから、〈フラガラック〉を得たばかりの頃のように楽しげに笑った。

「そうだな。あの星へも行かねば。キャルにもそう約束した」

 一瞬、ヴォルフは言葉に詰まった。が、苦笑まじりに何とか答えた。

「それはものすごい長旅になりそうだな……」
「そうだ。実現するには様々な障害がある。だが、今いちばんの障害は『連合』だ。できるものなら『連合』自体滅ぼしてやりたいが、せめて私の旅の邪魔はできないようにしておきたい」
「……どうやって?」
「とりあえずは〝全艦殲滅〟。しかし、そろそろ『連合』もやり方を変えてくるだろう。以前、あの変態が言っていたように、艦艇数を増やしてくるかもしれん。それならこちらも無人艦を増やせばいいだけのことだが、無能な有人艦がいては焼け石に水だ。……現状、『連合』の次に大きな障害だな。しかも、その障害をのは私だ。……私がいちばんの無能だな」

 アーウィンは自虐的に笑うと、ヴォルフが立ち上がるのを待たず、足早に船長室を出ていった。
 名前こそ出さなかったが、〝無能な有人艦〟がアルスター大佐隊の有人艦――すなわちアルスターであることは疑いようもなかった。今のアルスターを見るかぎり、そう言われても仕方がないが、つい先日までこの艦隊でいちばん信頼できる〝大佐〟が彼だったことを思うと少々切なくなる。
 だが、皇帝の最後の盾たる護衛艦隊に敗北は決して許されない。特にアーウィンは無人艦導入に反対した人間を片っ端から排除している。一度でも撤退すれば、たとえ元皇太子にして現皇帝の後見人であっても、ここぞとばかりに誹られるだろう。そして、またあの陰口を叩かれるのだ。――しょせんは〝狂帝〟の子。半分だけでも血は争えん。

「さんざんやらかしといて、自分はしっかり引きこもって、自分のせいで引きこもりになった息子は外に引きずり出すって。……確かに狂ってるわ」

 アーウィンの前では絶対に言えない本音を呟くと、ヴォルフは勢いをつけて、ようやくソファから立ち上がった。
 本当に、ここのソファの座り心地はよさすぎる。
 このまま、ここに引きこもりたくなるくらい。
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