寂しいからそばにいて(仮)【『無冠の皇帝』スピンオフ】

有喜多亜里

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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

14【引っ越しついでに演習編11】護衛艦が撃ちました

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【元ウェーバー大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

オペレータ(班員)
「班長! 『連合』、もう動き出してます!」

ハワード
「なるほど、そう来たか。確かに本物の『連合』は、律義にこちらの到着を待ってはくれないよな。……先鋒、大佐の〈オートクレール〉か?」

オペレータ
「そうです! まっすぐこちらに向かってきています! その後方に十一班と十二班! 並走しています!」

ハワード
「まさか、大佐を盾にするつもりじゃないだろうな。……仕方ない、〈オートクレール〉撃て……」

オペレータ
「班長! 〈オートクレール〉が砲撃してきました!」

ハワード
「何ィ!?」

クルーA(班員)
「護衛艦が撃った……」

クルーB(班員)
「この艦隊で初めて見た……」

フィリップス
「右翼ではダーナ大佐が護衛艦で撃ちまくってるよ!」

クルーA・B
「あ、そうだった」

ハワード
「オペレータ! 被害状況!」

オペレータ
「今ので十八隻退場アウト! うち七隻が班長艦です!」

ハワード
「七隻も? まさか、班長艦を狙いうちしたのか?」

オペレータ
「〈オートクレール〉、第二撃、来ます!」

ハワード
「回避して迎撃しろ! こっちはまだ八十隻以上残ってる!」

オペレータ
「班長! 〈オートクレール〉、左舷へ方向転換しました! そのまま高速離脱します!」

ハワード
「何!?」

オペレータ
「十一班と十二班、本隊の右方に展開! 砲撃開始しました!」

ハワード
「〈オートクレール〉の後を追わせない気か。……六班から十班は〈オートクレール〉を追え! 残りは十一班と十二班を砲撃! 一隻も残すな!」

オペレータ
「班長! 現在六十四隻退場アウト! 各班、再編に手間取っている間に被弾しています!」

ハワード
「『連合』は!?」

オペレータ
「まだ、四隻しか退場アウトしていません!」

ハワード
「〈オートクレール〉への追撃は!?」

オペレータ
「駄目です! 追撃に向かおうとした艦を狙い撃ちされています!」

ハワード
「〈オートクレール〉はどこまで行った!」

オペレータ
「……戦闘開始時の〈フラガラック〉の定位置で止まっています……」

ハワード
「そうか。……〈オートクレール〉の追撃はもうしなくていい。全艦、十一班と十二班を集中攻撃しろ。こちらは意地でも殲滅する!」

クルー全員
「了解!」




ハワード
「結局、たった八隻しか残らなかった……」

フィリップス
「やっぱり、最初に班長艦のほとんどを潰されたのが痛かったな」

ハワード
「さすがに〈フラガラック〉の最後の〝盾〟は強いな。砲撃艦のかわりに出撃してもらいたいくらいだ」

通信士(班員)
「……班長。〈オートクレール〉から映像通信です」

ハワード
「当然、大佐だろうな。……つないでくれ」

通信士
「了解」

パラディン
『一班長、お疲れ様。まだ私の軍艦ふねが生き残っているが、演習終了を宣言してもいいかな?』

ハワード
「もちろんです。……我々の完敗です。『連合』の軍艦ふねを一隻たりとも後ろに行かせないことが、我々の仕事ですから」

パラディン
『〝詐欺だ〟とは思わなかったかね?』

ハワード
「詐欺?」

パラディン
『君らが配置につく前に、こちらは攻撃を開始した』

ハワード
「ああ、そのことですか。……いえ。実戦でも『連合』はあの時間と距離で動き出しています。実戦を想定しない演習など、ただの遊戯でしょう」

パラディン
『ありがとう。君にそう言ってもらえると、私の罪悪感も少しは薄れるよ。ちなみに、なぜ十一班と十二班がそこに残ったのかわかるかね?』

ハワード
「は? 我々を足止めして、大佐殿の軍艦ふねの追撃をさせないためではなかったのですか?」

パラディン
『確かに半分はそれだが、残りの半分は〝訓練〟だ。彼らは砲撃の現場からかなり遠ざかってしまっていたからね。軍艦ふねが護衛艦で申し訳なかったが、ちょっとリハビリしてもらった。でも、やはり君たちに〝全艦殲滅〟されてしまったね。さすがは〝元アルスター大佐隊第二分隊〟』

ハワード
「大佐殿……」

パラディン
『まあ、反省会はそれぞれ基地に戻ってからしよう。とにかくお疲れ様。……私の〝遊戯〟に付き合ってくれてありがとう』

ハワード
「は……」




ハワード
「見かけによらず……と言っては大佐に対して失礼か」

フィリップス
「いや、俺も同感だ。……惚れ直した」

ハワード
「惚れていたのか」

フィリップス
「大佐は〝リハビリ〟だと言った。もしかしたら、今度は実戦で〝元マクスウェル大佐隊〟を〝リハビリ〟させるかもしれない」

ハワード
「そうなると、うちは二班、留守番させられることになるわけか。……うちの当面の敵は、アルスター大佐隊ではなく〝元マクスウェル大佐隊〟だな」

フィリップス
「そこはアルスター大佐隊だろ。悔しいのはわかるが、血迷うなよ、元第二分隊長」

ハワード
「悔しい……そうだな。俺は悔しい。うちと『連合』とでは〝勝つ〟の意味が違うことを、今の今までわかっていなかった。うちは必ず〝全艦殲滅〟しなくちゃならないが、『連合』は〈フラガラック〉を撤退に追いこむだけでもいいんだ。
 実戦では無人艦がいるから、今日みたいなことにはならないだろうが……〈オートクレール〉が〈フラガラック〉の定位置にいるのを見たとき、本当にぞっとした」

フィリップス
「……俺たちは、どうすればよかったんだ?」

ハワード
「どんな手を使ってでも、まず〈オートクレール〉を落とすべきだった。あれはあの〈フラガラック〉の護衛を任されていた軍艦ふねの一隻だ。ウェーバーやアルスターのとはスペックが違う。本気で高速航行されたら、俺たちには追いつけない」

フィリップス
「ダーナ大佐が軍艦ふねを変えなかった本当の理由が、今日やっとわかったよ」

ハワード
「〝護衛上がり〟は一筋縄ではいかないってことだな。……ああ、本当に今、アルスター大佐隊と戦いたい! パラディン大佐が指揮官なら、俺たちはきっと勝てる!」

フィリップス
「そうそう。それでよし」
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