寂しいからそばにいて(仮)【『無冠の皇帝』スピンオフ】

有喜多亜里

文字の大きさ
30 / 349
砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

17【引っ越しついでに演習編14】再びパラディン大佐隊旗艦にて

しおりを挟む
【パラディン大佐隊・旗艦〈オートクレール〉ブリッジ】

エリゴール
「相変わらず、いい性格をしてらっしゃいますね。大佐殿」

パラディン
「うーん。君の言う〝ごめんね〟をぜひ試してみたかったんだが、一班長に素直に負けを認められてしまったから、言いたくても言えなくなってしまったよ」

エリゴール
「言わなくて済むことなら言わなくていいです。それと、余計なことも言わなくていいです」

パラディン
「余計なこと?」

エリゴール
「何が我々のリハビリですか。いたずらに元ウェーバー大佐隊を刺激するようなことはおっしゃらないでください」

パラディン
「そうかい? 彼らも適度な刺激はあったほうが、日々の生活に張り合いが出ていいんじゃないかな」

エリゴール
「我々は彼らと無用な揉め事は起こしたくありません」

パラディン
「君がそう考えているなら〝無用な揉め事〟は起こらないよ。私はね、エリゴール中佐。元ウェーバー大佐隊にもっと危機感を持ってもらいたいんだ。〝栄転〟だけはしたくないからね」

エリゴール
「……なるほど。確かに元ウェーバー大佐隊に、危機感はなかったかもしれませんね」

パラディン
「〝栄転〟にならないためにも、アルスター大佐隊にだけは勝たなければ!」

エリゴール
「『連合』にでしょう?」

パラディン
「アルスター大佐隊に勝てれば、『連合』にも勝てる!」

エリゴール
「……具体的にどのような方法でアルスター大佐隊に〝勝つ〟おつもりですか?」

パラディン
「そうだね。それが問題だね。下手に合同演習など持ちかけては、後々面倒なことになりそうだ。……エリゴール中佐、どうしよう?」

エリゴール
「考えていなかったんですか? 自分はすでに考え済みだとばかり思っていました」

パラディン
「そんなはずないだろう。私は君たちに今回の作戦も丸投げした!」

エリゴール
「威張れないことを堂々と威張らないでください」

パラディン
「ところでエリゴール中佐。今回の〝詐欺〟作戦。もし君が一班長だったら、どう対処していた?」

エリゴール
「大佐殿に今回の演習の話をされた時点で、退役願を提出していたと思います」

パラディン
「受理は拒否する!」

エリゴール
「ああ、そうですか。……それなら、この軍艦ふねからの攻撃を何とか回避して、そのまま通過させます」

パラディン
「……何?」

エリゴール
「それからただちに反転して、後方から攻撃をしかけます。当然、第一目標はこの軍艦ふねです。ここの艦艇は追撃されたことがないですから、すぐには対応できないでしょう。その間に〝全艦殲滅〟します」

パラディン
「……面白い。今度はそれで試してみようか?」

エリゴール
「どうやって? 今度は元ウェーバー大佐隊に『連合』役をやらせるんですか? それこそ本当に〝遊戯〟でしょう」

パラディン
「うーん。〝ごめんね〟と同じくらい試してみたいのにな。実際、後方からの急襲にどれくらい弱いのか」

エリゴール
「それより、早く実戦用の訓練をすべきだと思いますが」




副長
「大佐、超ご機嫌ですね……」

モルトヴァン
「ええ……軍艦ふねの中ならエリゴール中佐に逃げられないから、超々ご機嫌です……」

副長
「何でしょう……大佐はエリゴール中佐にいったい何を求めているんでしょう……」

モルトヴァン
「今はとにかく、エリゴール中佐を自分のそばにおいて、長話をしていたいみたいなんですが。……あのように」

副長
「役職につけるとしたら何になるんでしょうね……副官補佐?」

モルトヴァン
「正確には大佐補佐だと思いますが、もしそれが実現したら、きっと大佐はいっさい仕事をしなくなります」

副長
「ああ……それは間違いありませんね」

モルトヴァン
「それに、エリゴール中佐も承諾はしないと思います。大佐が姑息に引き留めようとしても、用事が済んだら容赦なく十一班の待機室に戻っていますから」

副長
「大佐……嫌われているんですか?」

モルトヴァン
「嫌われてはいないでしょうが、うざがられてはいると思います」

副長
「え、その二つは同じではないんですか?」

モルトヴァン
「うざがられているほうが、まだ救いはあると思います」

副長
「そうでしょうか……?」

モルトヴァン
「エリゴール中佐も、大佐と戦略上の話をするのは好きなようですから。大佐がエリゴール中佐を……その、気に入っているのは、彼が自分とほぼ同じ答えを出してくるからでもあるんです。何しろ〝いい性格〟をしていますからね。護衛以外のことはわからないようなふりをして、エリゴール中佐や元マクスウェル大佐隊を試しているんです。今回の〝詐欺〟も、エリゴール中佐が報告してくる前に、すでに口にしていました。ただ、エリゴール中佐がこの軍艦ふねに乗ってくれるとは思っていなかったようで、本当に驚いていました。大佐にとっては嬉しい誤算だったようです」

副長
「確かに、エリゴール中佐が乗艦する必要はなかったですよね」

モルトヴァン
「作戦の詳細な説明係としてとは言っていましたが、エリゴール中佐もできたら断ってくれって顔をしていましたよ。大佐に二つ返事で了承されたときには、明らかに落ちこんでいました」

副長
「しかし、さすが元ウェーバー大佐隊。第一撃で班長艦はすべて落とすつもりでいましたが……我々もリハビリしなくては」

モルトヴァン
「え、実戦での攻撃参加はないでしょう?」

副長
「あのときの大佐の得意げな顔を見たかぎり、かなりの確率でありそうな気が……」

モルトヴァン
「ということは、そのときにはまたエリゴール中佐はこの軍艦ふねに強制搭乗させられることに?」

副長
「あると思います……」
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 毎日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

その捕虜は牢屋から離れたくない

さいはて旅行社
BL
敵国の牢獄看守や軍人たちが大好きなのは、鍛え上げられた筋肉だった。 というわけで、剣や体術の訓練なんか大嫌いな魔導士で細身の主人公は、同僚の脳筋騎士たちとは違い、敵国の捕虜となっても平穏無事な牢屋生活を満喫するのであった。

人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない

タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。 対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──

処理中です...