寂しいからそばにいて(仮)【『無冠の皇帝』スピンオフ】

有喜多亜里

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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

139【交換ついでに合同演習編44】訓練二日目:続々・三班先生(〝移動しながら縦〟編)

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【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「三班から何か鬼気迫るものを感じる……」

ハワード
「元四班長に何を言われたんだろうな」

フィリップス
「二班、四班、五班は、〝最初から縦〟で〝開き〟はほとんどできるようになっちまった……」

ハワード
「あとは〝移動しながら縦〟に挑戦してほしいが……まだいないな」

フィリップス
「〝開き〟の完成度を上げようとしてるのか、〝移動しながら縦〟は最初から諦めてるのか……どっちだ?」

ハワード
「元四班長のように〝最初から縦〟派かもしれないぞ」

フィリップス
「それでも一度は挑戦してみようよ! もしかしたらそこに未知の喜びが!」

ハワード
「あ、喜びで思い出したが、六班に頼まれてた昨日の椅子レースの映像、ダビングしとかないとな」

フィリップス
「おっと、そうだった。ついでに六班関連の映像、まとめてダビングしておこう」

ハワード
「……きっと、もう十一班は、〝魚〟も〝開き〟も〝移動しながら縦〟も、全部マスターしてるよな……」

フィリップス
「愚問だよ、おとっつぁん」

 ***

【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】

エリゴール
「まず、普通の移動隊形で飛ぶ。飛びながら〝魚〟になって、中央に三列目が入る。これを配置につくまでの間にやり終えて、あとは〝最初から縦〟のときと同じように〝開き〟になる。とにかく最大の難関は〝移動しながら縦〟になることだ。今回は副班長隊に先に挑戦させよう。もし一回で成功できたら、副班長隊に〝飴ちゃん〟五個やる。一隻一個計算な」

副長補佐
「そんな! もし副班長隊が一回でできてしまったら……!」

エリゴール
「それならそれで、今度は副班長隊に〝先生〟になってもらおう」

クルーA
「成功を祈りたいのに失敗を願ってしまう! そんな自分が嫌だけど失敗してくれ!」

クルーB
「正直だな」




クルーA
「結局……移動隊形のまま配置についちまったな……」

クルーB
「飛びながら〝魚〟になるのは、そんなに難しいのか……」

エリゴール
「そんなわけで、副班長隊は〝飴ちゃん〟はなしだ。……それでは班長隊。俺が『魚』と言ったら〝魚〟になる。『戻れ』と言ったら移動隊形になる。これを何も考えず、ただひたすら繰り返せ」

班長隊の艦長たち
『了解』

エリゴール
「……操縦士。俺が『魚』『戻れ』と言ってる間、少しずつこの軍艦ふねを前進させろ。通信士。このことは他の四隻には絶対知らせるな。文句を言われてもいっさい無視だ」

操縦士・通信士
「りょ……了解……」

エリゴール
「では、『魚』!」

班長隊の艦長たち
『了解!』

 ***

【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】

ヴァッサゴ
「あの副班長隊は、〝移動しながら縦〟に失敗したんだよな?」

ザボエス
「たぶんな」

ヴァッサゴ
「で、今度は班長隊が、〝魚〟と移動隊形になりながら、少しずつ前進していると」

ザボエス
「そういうことだな」

ヴァッサゴ
「……あれをいったいどれくらい繰り返せば、一班レベルになれるんだ?」

ザボエス
「さあ。でも、だんだんそれらしくなってきてるし、挫折した副班長隊も同じことを始め出したぜ」

ヴァッサゴ
「うちは……できるのか?」

ザボエス
「〝移動しながら縦〟をか? ……どうかな。とにかく一度試してみて、失敗したらまた三班先生に師事しよう」

 ***

【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】

副長補佐
「班長……何となく〝移動しながら縦〟になってきてるような……?」

エリゴール
「そうだな。じゃあ、もう一工程加えるか。……右翼三列目、第五号!」

第五号艦長
『はい、班長!』

エリゴール
「今度は『魚』と『戻れ』の他に『切りこみ』が入る。『切りこみ』と言われたら〝最初から縦〟のときのように中央に入れ。すみやかに、正確にだ。わかったな?」

第五号艦長
『了解!』

エリゴール
「よし、ではまず『戻れ』」

 ***

【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】

ザボエス
「三班先生、今度は中央への移動を入れ出したぞ」

ヴァッサゴ
「俺は一班と六班のすごさに、今さら気づかされた……」

ザボエス
「あの二班に関しては、少なくとも〝凡人〟じゃねえよな」

ヴァッサゴ
「きっともう十一班はとっくの昔にできてる……」

ザボエス
「そのことについては考えるな。精神衛生上悪い」

 ***

【パラディン大佐隊・第三班第一号ブリッジ】

エリゴール
「『戻れ』。……そろそろいいか。通信士、副班長隊に移動隊形をとってうちの下に入るように言ってくれ。試しに一度、二隊同時に〝移動しながら縦〟になって、最後に〝開き〟までなってみる」

副長補佐
「つ、ついに……!」

エリゴール
「『ゴー』で発進、『魚』で縦に、『切りこみ』で三列目が中央に移動、『ストップ』で配置についてそのまま〝開き〟。副班長隊はこっちにタイミングを合わせるように」

通信士
「了解」

エリゴール
「まあ、一度で成功できるとは俺も思ってないが、せめて〝魚〟にだけはなりたいな。……副班長隊、来たか?」

通信士
「はい。いつでも発進できるそうです」

エリゴール
「じゃあ、『ゴー』だけ副班長に伝えてくれ。あとはこっち見てりゃわかるだろ」

通信士
「え、そこで放任?」

エリゴール
「こっちの準備は?」

操縦士
「……OKです」

エリゴール
「よし、ならとっとと行くぞ。……『ゴー』」

 ***

【パラディン大佐隊・第十二班第一号ブリッジ】

ザボエス
「三班先生が〝移動しながら縦〟に挑戦だ」

ヴァッサゴ
「あの三班で……ものすごい勇気ある挑戦だ……」

ザボエス
「移動隊形でスピードに乗ってから〝魚〟になって最後尾が中央に移動……」

ヴァッサゴ
「何で一班じゃなくて三班見て学習してんだよ……」

ザボエス
「一班はうますぎるから、初心者にはかえって真似しにくいんだ。……配置についたと同時に、副班長隊が旋回……」

ヴァッサゴ
「……多少不格好だが、一応、できてるよな?」

ザボエス
「できてるな。すげえな、三班先生。うちにも来てくれねえかな」

ヴァッサゴ
「たぶん授業料ぼったくられるぞ。高級車買えるくらい」

 ***

【パラディン大佐隊・第四班第一号ブリッジ】

副長
「あの三班が……!」

四班長・ワンドレイ
「あのとき〝三班待ち〟したかいがあった……!」

副長
「いや、うちの〝開き〟、完成度低いですし。正直、今の三班と大差ないくらい」

 ***

【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】

フィリップス
「いやあ! 二班、四班、五班より先に、ほんとに三班が〝移動しながら縦〟で〝開き〟までしてしまったああ!」

ハワード
「でも、まだ時間はかかってるし、完成度も……」

フィリップス
「そんなのは、これから練習重ねればよくなってく! 三班長の場合はなぜか悪くなっていったけど、元四班長だったら……!」

ハワード
「じゃあ、もう二班、四班、五班は、合格ってことにしちまうか? そのかわり、タイムを計るまでもなく、演習では〝最初から縦〟になっちまうぞ。もしかしたら実戦でも」

フィリップス
「何で三班以外は〝移動しながら縦〟してくれないんだよー、かっこいいだろー!」

ハワード
「……今ふと思ったが、あそこは〝蛇〟で〝ファイアー・ウォール〟作ったほうが、あとで砲撃隊形に移行しやすい……」

フィリップス
「今さらそんなこと言うなあー!」

ハワード
「……お、フィリップス! 今度は十二班が〝移動しながら縦〟に挑戦してるぞ!」

フィリップス
「え、三班の追っかけしてた十二班が!?」

ハワード
「……さすが、〝ロールケーキ〟に押されていても〝護衛隊〟」

フィリップス
「各班に確認して、もうタイム計測に入るか……」

ハワード
「そうだな……六班の〝生徒〟たちのほうに期待」
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