寂しいからそばにいて(仮)【『無冠の皇帝』スピンオフ】

有喜多亜里

文字の大きさ
284 / 349
砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)

266【挨拶回りの前後編18】臨時三班長の意向

しおりを挟む
【パラディン大佐隊・第三班小会議室】

エリゴール
「それでは本題に入る。……明日の訓練では、四班を十一位か最下位にする」

エリゴール以外
「うちはッ!?」

エリゴール
「うちも十一位か最下位だ。出撃するにはまだ早い」

副班長・クライン
「早いですか……」

エリゴール
「少なくとも、次の出撃は諦めろ。他の班の邪魔になる」

副班長・クライン
「邪魔……」

第二号艦長・ハミルトン
「でも、どうやって四班を〝留守番〟に? タイムを計るのは〈オートクレール〉……そうか、大佐にお願いを!」

エリゴール
「それは本当に最後の手段だ。まずは真っ当にやってみる。二回やって悪いほうのタイムを採用するから、四班の最初のタイムを越えるのがうちの第一の目標だ。第二の目標は十位以上にならないこと」

副班長・クライン
「二回目のタイムではないんですか?」

エリゴール
「普通は一回目のほうが悪いだろ。……まあ、逆の可能性もありうるが」

第二号艦長・ハミルトン
「万が一……もし万が一ですよ? うちが十位以上になってしまったらどうします?」

エリゴール
「そうだな。そのときには班長不在にして、強制留守番にする」

エリゴール以外
「班長不在……」

エリゴール
「つまり、俺は臨時班長をやめて、大佐は次の班長を決めない」

エリゴール以外
(……いずれにしろ、元四班長が班長でなくなるんなら、第一の目標だけ達成すればいいんじゃないか……?)

副班長・クライン
「でも、うち以外の班が四班より悪いタイムを出す可能性もありますよね?」

エリゴール
「まあ、完全にないとは言えないな。だから、明日の朝のミーティングで、うちよりいいタイムを出した班にはもれなく〝飴ちゃん〟をやると言うつもりだ」

エリゴール以外
「〝飴ちゃん〟……!」

副班長・クライン
「それでは、四班もやる気を出してしまいそうですね……」

エリゴール
「それはまあ、仕方がない。表向き、〝留守番〟決定戦であって、四班を〝留守番〟に追いこむ決定戦じゃないからな」

副班長・クライン
「あの……四班を〝留守番〟にというのは、大佐の意向ですよね……?」

エリゴール
「提言したのは俺だが、認めたんだから大佐の意向だ」

エリゴール以外
(提言してるんだから、やっぱり元四班長の意向……!)

 ハミルトン、真顔で。

第二号艦長・ハミルトン
「大佐の意向でしたら、絶対に叶えなければなりませんね」

エリゴール
「そうだ。絶対に四班を〝留守番〟に追いこめ」

副班長・クライン
「あの……うちは四班のタイムを越えても、〝飴ちゃん〟はもらえないんですよね……?」

エリゴール
「ああ、そうか。これじゃ肝心のおまえらのやる気が出ないな。じゃあ、最下位にならなかったら、三班に〝飴ちゃん〟十個やる」

エリゴール以外
「十個……!」

エリゴール
「各艦一個ずつだ。第一号の分は副長に預ける。……預けられたらな」

第二号艦長・ハミルトン
「それはそうですね」

エリゴール
「時間があったら自主練したかったんだが、まあ、行きで少しは練習できるか。訓練終了後は班長会議をするから、次の班内会議は明後日の午前中に行う。俺からは以上だが、何か質問は?」

第十号艦長・デイヴィッドスン
「はい! 班長!」

エリゴール
「何だ、十号」

第十号艦長・デイヴィッドスン
「以前から思っていたんですが、この席順だと自分がいちばん遠くて発言がしにくいです! 何とかならないでしょうか!」

デイヴィッドスン以外の艦長たち
(いちばん遠くて、元四班長が見にくいからだな……)

エリゴール
「ああ、確かにな。それなら、並び順を変えるか」

エリゴール以外
「え」

エリゴール
「今は昇順で固定してるんだろ。だから、一回おきに降順に替える」

第十号・第五号艦長
「班長! ありがとうございます! それでは、次回は降順で!」

クライン(第六号)・ハミルトン(第二号)
(元四班長……考え直して……!)

第三号・第四号・第七号・第八号・第九号艦長
(端っこは、天国と地獄の繰り返し……)

エリゴール
「他には?」

第二号艦長・ハミルトン
「はい! 班長!」

エリゴール
「何だ、〝死んだふり〟」

第二号艦長・ハミルトン
「……いや、もう〝死んだふり〟でいいですけどね。班長と直接連絡を取りたいときにはどうしたらいいですか!」

ハミルトン以外の艦長たち
(くそ! 性格アレでもやっぱり頭はキレる!)

エリゴール
「ああ、それなら三班員用の携帯使え。俺も今は持ってる」

エリゴール以外
「え」

エリゴール
「ただし、本当に緊急以外はメールにしろ。緊急じゃない電話してきた奴は、以後着信拒否する」

第二号艦長・ハミルトン
「あの。ちょっと試しにかけてみてもいいですか?」

エリゴール
「ああ、今だけな」

 エリゴール、ポケットから携帯電話を取り出す。
 それを見てから、ハミルトンもポケットから携帯電話を取り出してかける。
 エリゴールの携帯電話が震えて、エリゴールが出る。

エリゴール
「これで気が済んだか」

第二号艦長・ハミルトン
「はい……はい……ありがとうございます……!」

エリゴール
「じゃ、切るぞ」

 すぐに切って携帯電話をしまうエリゴール。
 ハミルトンは感極まって携帯電話を握りしめている。

ハミルトン以外の艦長たち
(……あいつ、何かヤバくないか……?)

エリゴール
「他にはもうないな?」

エリゴール以外
(もう終わりにしたいんですね。了解です)

副班長・クライン
「はい。何かありましたら、メールを送らせていただきます」

エリゴール
「悪いがそうしてくれ。それでは解散……っと。このミネラルウォーター、飲みきれなかったから持って帰ってもいいか?」

副班長・クライン
「あ、はい。どうぞお持ち帰りください」

 ハミルトン、何か言いたそうにするが、結局、何も言えずにミネラルウォーターをあおる。

ハミルトン以外の艦長たち
(ハミルトン……おまえ、何しようと思ってた……?)
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

うちの前に落ちてたかわいい男の子を拾ってみました。 【完結】

まつも☆きらら
BL
ある日、弟の海斗とマンションの前にダンボールに入れられ放置されていた傷だらけの美少年『瑞希』を拾った優斗。『1ヵ月だけ置いて』と言われ一緒に暮らし始めるが、どこか危うい雰囲気を漂わせた瑞希に翻弄される海斗と優斗。自分のことは何も聞かないでと言われるが、瑞希のことが気になって仕方ない2人は休みの日に瑞希の後を尾けることに。そこで見たのは、中年の男から金を受け取る瑞希の姿だった・・・・。

【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。

キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、 ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。 国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚―― だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。 顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。 過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、 気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。 「それでも俺は、あなたがいいんです」 だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。 切なさとすれ違い、 それでも惹かれ合う二人の、 優しくて不器用な恋の物語。 全8話。

女子にモテる極上のイケメンな幼馴染(男)は、ずっと俺に片思いしてたらしいです。

山法師
BL
 南野奏夜(みなみの そうや)、総合大学の一年生。彼には同じ大学に通う同い年の幼馴染がいる。橘圭介(たちばな けいすけ)というイケメンの権化のような幼馴染は、イケメンの権化ゆえに女子にモテ、いつも彼女がいる……が、なぜか彼女と長続きしない男だった。  彼女ができて、付き合って、数ヶ月しないで彼女と別れて泣く圭介を、奏夜が慰める。そして、モテる幼馴染である圭介なので、彼にはまた彼女ができる。  そんな日々の中で、今日もまた「別れた」と連絡を寄越してきた圭介に会いに行くと、こう言われた。 「そーちゃん、キスさせて」  その日を境に、奏夜と圭介の関係は変化していく。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。 彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。 ……あ。 音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。 しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。 やばい、どうしよう。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

処理中です...