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トビオリ
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今日、日本は少子高齢化社会となっている。死亡率が出生率を上回る中、医療技術は日々進歩し続けるからなのだろう。
そんな中、密かに問題となっているものがある。
日本人の死因上位は「ガン・心臓病・脳卒中」の三つである。だが、十代後半から三十代の若い世代では違う要因が一位となっている。
それは……「自殺」だ。
年に四桁を超える人々がみづからの手で命を落とす選択をしている。
とやかく言う僕もその数の中の一人になるつもりなのだが。
放課後、人目につかないようにひっそりと階段を登り、立ち入り禁止の屋上へ向かう。
外につながるドアには「キケン入るな!」と書かれている紙が貼られていた。だが、僕は臆することなく、すぐに取手に手をかけた。鍵がかかっていたが、老朽化のせいか、少し力を加えただけで、鍵としての役割を失っていた。
ドアを開けると何かを訴えたいようなひどく冷たい風が吹いていた。野球部の掛け声らしき音も聞こえた。僕は一歩一歩端の方に移動した。周りに遮るものがないため四方から風が吹き、下を覗くとそこそこ高くて鳥肌が立った。
ポケットからスマホを取り出し、遺書ならぬ遺メモとして「ごめんなさい」と一言だけ打った。それ以上の言葉は思いつかなかった。
パスコードを使わなくてもスマホが開くように設定を変え、床に置いた。
裸足になって靴をスマホの横に揃えた。足裏からの感覚はあまりなかった。
ガードレールくらいの高さの壁とも言えないような何かに乗り、全身で風を受けた。もう何も感じなかった。
眼を閉じ、決心をつけ、飛び降りようとしたそのとき…
「あの……」
突然、僕を引き止める声が聞こえた。その声は低く、大人びているのだが、どこか弱々しく、自信がなさそうだった。
ゆっくり眼を開けると、ガイコツを模した神秘的とも言い難い仮面が目に入ってきた。その仮面はとにかく怖かった。
「うわぁぁぁぁーーー!!」
びっくりして、僕は尻から床に落ちた。
「大丈夫ですか?」
真っ黒なフードを被った顔が、空中に浮かんだ黒い穴から、首だけを出して僕を見ていた。その口調から心配しているのだとわかった。
穴から首だけでなく、体も出てきて、全身が明らかになったその人物は身長が僕の一・五倍ほどで、黒いローブを身に纏い、右肩に巨大なカマをさげていた。その姿は誰もが思い浮かべる死神そのものだった。
「驚かせてしまってすみません。実はお願いがありまして…」
僕が大丈夫そうだと悟った死神(仮)はおどおどしていた。とても謙虚な死神(仮)がするお願いとは何だろうかと考えてみたが、やっぱり死神だから命だろう、という考えにたどり着いた。元々死ぬつもりだったので好都合だと思い、YESをいつでも言えるように準備していた。
だが、次に死神(仮)が放った言葉には、驚きを隠せなかった。
「死ぬの、やめてもらえませんか?」
そんな中、密かに問題となっているものがある。
日本人の死因上位は「ガン・心臓病・脳卒中」の三つである。だが、十代後半から三十代の若い世代では違う要因が一位となっている。
それは……「自殺」だ。
年に四桁を超える人々がみづからの手で命を落とす選択をしている。
とやかく言う僕もその数の中の一人になるつもりなのだが。
放課後、人目につかないようにひっそりと階段を登り、立ち入り禁止の屋上へ向かう。
外につながるドアには「キケン入るな!」と書かれている紙が貼られていた。だが、僕は臆することなく、すぐに取手に手をかけた。鍵がかかっていたが、老朽化のせいか、少し力を加えただけで、鍵としての役割を失っていた。
ドアを開けると何かを訴えたいようなひどく冷たい風が吹いていた。野球部の掛け声らしき音も聞こえた。僕は一歩一歩端の方に移動した。周りに遮るものがないため四方から風が吹き、下を覗くとそこそこ高くて鳥肌が立った。
ポケットからスマホを取り出し、遺書ならぬ遺メモとして「ごめんなさい」と一言だけ打った。それ以上の言葉は思いつかなかった。
パスコードを使わなくてもスマホが開くように設定を変え、床に置いた。
裸足になって靴をスマホの横に揃えた。足裏からの感覚はあまりなかった。
ガードレールくらいの高さの壁とも言えないような何かに乗り、全身で風を受けた。もう何も感じなかった。
眼を閉じ、決心をつけ、飛び降りようとしたそのとき…
「あの……」
突然、僕を引き止める声が聞こえた。その声は低く、大人びているのだが、どこか弱々しく、自信がなさそうだった。
ゆっくり眼を開けると、ガイコツを模した神秘的とも言い難い仮面が目に入ってきた。その仮面はとにかく怖かった。
「うわぁぁぁぁーーー!!」
びっくりして、僕は尻から床に落ちた。
「大丈夫ですか?」
真っ黒なフードを被った顔が、空中に浮かんだ黒い穴から、首だけを出して僕を見ていた。その口調から心配しているのだとわかった。
穴から首だけでなく、体も出てきて、全身が明らかになったその人物は身長が僕の一・五倍ほどで、黒いローブを身に纏い、右肩に巨大なカマをさげていた。その姿は誰もが思い浮かべる死神そのものだった。
「驚かせてしまってすみません。実はお願いがありまして…」
僕が大丈夫そうだと悟った死神(仮)はおどおどしていた。とても謙虚な死神(仮)がするお願いとは何だろうかと考えてみたが、やっぱり死神だから命だろう、という考えにたどり着いた。元々死ぬつもりだったので好都合だと思い、YESをいつでも言えるように準備していた。
だが、次に死神(仮)が放った言葉には、驚きを隠せなかった。
「死ぬの、やめてもらえませんか?」
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