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第1章
敗北感
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「夏休みも終わり、みんなは受験モードに切り替わっていることだと思うが、三年生にとって最後の文化祭が一ヶ月後に迫っている。ということで、今日のホームルームは文化祭で何をするかを決めてもらう。先生はお金関係のことにしか関与しないから、自分達の力で作り上げてくれ。じゃあ後は頼んだぞ!班目!」
「はい!」
廊下まで響き渡るその返事が来るとわかっていた僕らは、衝撃に備えて耳栓をしていた。
班目学。僕のクラスの学級委員。簡単に説明すると、みんなが思う学級委員に百を足して二乗したような存在だ。悪いやつではないのだが、ここまでくると…ああ…もう……慣れたもんだからまあいいのだが。
「さあみんな!何をやりたいか意見を出してくれ!…とまあ言ってみたものの、大勢の中で意見を出すには勇気がいるだろう。そこで四人班となって少人数で話し合い、出た意見をクラス全体で発表しよう!では五分間でいこう!よーいスタート!」
班目勉とはこういうやつなのだ。弱者の心も考え、かつ合理的な判断も下せる。だから憎めん。そう思ってるのは僕だけではないだろう。
「班長だから私進行するね。私から時計回りで意見言ってこ。私はお化け屋敷がいいかなって。お化け役やってみたいし」
「お化け屋敷いいね!」
「私もおどかしたい!」
甘い。甘過ぎる。高校生が作るお化け屋敷などただの自己満に過ぎない。
そんなことより今流行りのアレがあるじゃないか。
「本当?!じゃあ次は千堂くんね。千堂くんは何やりたいの?」
「リアル脱出ゲーム」
「リアル脱出ゲーム?なにそれ?」
「私聞いたことあるよ。謎を解いて制限時間以内に脱出するんでしょ。あれ面白そうだよね」
わかってくれる同士がいたか。夏休みに一度、友達と行ってみたら見事にハマってしまい、この楽しさを伝えたいと思っていたのだ。文化祭のために密かに謎も作ってある。我ながらいい出来なのだ。早く解いてもらいたい。いいぞ。もっと良さを説明してやるんだ。
「でもあれムズそうだよね。問題作るの」
はあ?!
「同じ問題ばっかりだったら後半の方になると答え教えられちゃいそうだしね」
「結局問題をどっかから引用するとなるとオリジナリティなくなるんじゃね?」
オリジナリティもクソもあるか。どうせお化け屋敷だってお化け役は髪の長い女子だろ?だったらオリジナリティ出すために髪の少ないおじさんのお化けでも出すのか?出さないだろう。
「まあまあ。じゃあキミちゃんはなにしたい?」
「何だかんだお化け屋敷かな」
「細田くんは?」
「俺もお化け屋敷」
なっ、んだと。
「千堂くんには申し訳ないないけど多数決でうちの班はお化け屋敷を意見として出すね。まだクラスで決まったわけではないからね」
そうだまだ決まってない。ここからが本当の勝負だ。
「ストーーーーーップ!!」
若干名耳栓をつけ忘れて悶絶しているやつらもいたが、ほとんどの班が話し合いを早めに切り上げ、耳栓をして班目の人間アラームが爆発する時を待っていた。
「五分が経った。では一班から出た意見を発表してくれ」
俺は九班なので順番は最後だろう。
「はい。一班はリアル脱出ゲームが出ました」
おおおおお!いいぞ。希望が見えてきた。このまま行け、行くんだ。
「二班はお化け屋敷で~す」
なっ!まだだ。まだ大丈夫だ。
「三班もお化け屋敷でした」
にっ?!
「うちも同じです」
ぬっ?!
「四班もっす」
ねぇえ?!
五班も、六班も、俺らも、八班も。
「九班もお化け屋敷屋敷でした」
ノォぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
こうして僕のクラスはお化け屋敷になった。と、思ったら、まだチャンスはあった。
「例年お化け屋敷が多く、今年からお化け屋敷ができるクラスは二つまでという制限が追加されたらしい。三つ以上のクラスが希望した場合はジャンケンになるみたいだ。だからもし、負けた時何にするかは……リアル脱出ゲームでいいかな?千堂くん」
僕は大きくうなずきながら親指を立てて上に挙げた。ありがとう班目。これからは耳栓を外してお前の生の声を聞くよ。耳が持つ限り。
「はい!」
廊下まで響き渡るその返事が来るとわかっていた僕らは、衝撃に備えて耳栓をしていた。
班目学。僕のクラスの学級委員。簡単に説明すると、みんなが思う学級委員に百を足して二乗したような存在だ。悪いやつではないのだが、ここまでくると…ああ…もう……慣れたもんだからまあいいのだが。
「さあみんな!何をやりたいか意見を出してくれ!…とまあ言ってみたものの、大勢の中で意見を出すには勇気がいるだろう。そこで四人班となって少人数で話し合い、出た意見をクラス全体で発表しよう!では五分間でいこう!よーいスタート!」
班目勉とはこういうやつなのだ。弱者の心も考え、かつ合理的な判断も下せる。だから憎めん。そう思ってるのは僕だけではないだろう。
「班長だから私進行するね。私から時計回りで意見言ってこ。私はお化け屋敷がいいかなって。お化け役やってみたいし」
「お化け屋敷いいね!」
「私もおどかしたい!」
甘い。甘過ぎる。高校生が作るお化け屋敷などただの自己満に過ぎない。
そんなことより今流行りのアレがあるじゃないか。
「本当?!じゃあ次は千堂くんね。千堂くんは何やりたいの?」
「リアル脱出ゲーム」
「リアル脱出ゲーム?なにそれ?」
「私聞いたことあるよ。謎を解いて制限時間以内に脱出するんでしょ。あれ面白そうだよね」
わかってくれる同士がいたか。夏休みに一度、友達と行ってみたら見事にハマってしまい、この楽しさを伝えたいと思っていたのだ。文化祭のために密かに謎も作ってある。我ながらいい出来なのだ。早く解いてもらいたい。いいぞ。もっと良さを説明してやるんだ。
「でもあれムズそうだよね。問題作るの」
はあ?!
「同じ問題ばっかりだったら後半の方になると答え教えられちゃいそうだしね」
「結局問題をどっかから引用するとなるとオリジナリティなくなるんじゃね?」
オリジナリティもクソもあるか。どうせお化け屋敷だってお化け役は髪の長い女子だろ?だったらオリジナリティ出すために髪の少ないおじさんのお化けでも出すのか?出さないだろう。
「まあまあ。じゃあキミちゃんはなにしたい?」
「何だかんだお化け屋敷かな」
「細田くんは?」
「俺もお化け屋敷」
なっ、んだと。
「千堂くんには申し訳ないないけど多数決でうちの班はお化け屋敷を意見として出すね。まだクラスで決まったわけではないからね」
そうだまだ決まってない。ここからが本当の勝負だ。
「ストーーーーーップ!!」
若干名耳栓をつけ忘れて悶絶しているやつらもいたが、ほとんどの班が話し合いを早めに切り上げ、耳栓をして班目の人間アラームが爆発する時を待っていた。
「五分が経った。では一班から出た意見を発表してくれ」
俺は九班なので順番は最後だろう。
「はい。一班はリアル脱出ゲームが出ました」
おおおおお!いいぞ。希望が見えてきた。このまま行け、行くんだ。
「二班はお化け屋敷で~す」
なっ!まだだ。まだ大丈夫だ。
「三班もお化け屋敷でした」
にっ?!
「うちも同じです」
ぬっ?!
「四班もっす」
ねぇえ?!
五班も、六班も、俺らも、八班も。
「九班もお化け屋敷屋敷でした」
ノォぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
こうして僕のクラスはお化け屋敷になった。と、思ったら、まだチャンスはあった。
「例年お化け屋敷が多く、今年からお化け屋敷ができるクラスは二つまでという制限が追加されたらしい。三つ以上のクラスが希望した場合はジャンケンになるみたいだ。だからもし、負けた時何にするかは……リアル脱出ゲームでいいかな?千堂くん」
僕は大きくうなずきながら親指を立てて上に挙げた。ありがとう班目。これからは耳栓を外してお前の生の声を聞くよ。耳が持つ限り。
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