悪役令嬢の長所はスタイルだけってあんまりですのよ!

神楽坂ゆい

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「では、コンテストの内容を説明しますわね」

 

 マリー・フォン・オルブライトによるビューティーコンテストの概要が、学園の生徒たちの前で披露される。どうやら参加者は自由にエントリーできるらしく、当日はドレスやヘアメイク、ウォーキングを含めた総合評価が行われるようだ。

「私からすると、ただの華美なパフォーマンスにしか思えないのですが……」

 

 アメリアはレナータの隣で小声でつぶやく。確かに、これほど派手な催しを学生が企画するのは珍しい。

「きっとマリーは、自分が有利になるようなステージを作りたいだけよ。あの人は普段から流行を先取りするのが上手いと評判だし、取り巻きも多い」

 

 レナータも慎重な姿勢を崩さない。とはいえ、あからさまに拒否すれば“レナータは勝負を恐れて逃げた”などと囁かれるのは目に見えている。

「レナータ様もエントリーなさるんですか」

 

 アメリアが問うと、レナータは少し表情を引き締めてうなずく。ここで引き下がれば、美容講習会に参加してくれた生徒たちの期待を裏切るようにも感じられた。

「もちろん。私の美容法を学んでいるみんなに、きちんと結果を見せたいわ。……それに、この機会に私自身がどこまでやれるか試してみたい」

 

 堂々と宣言したレナータのもとへ、マリーが優雅な足取りで近づいてくる。

「やはり参加してくれるのね。楽しみだわ。あなたと私、どちらが真に“美しい令嬢”なのかはっきりさせましょう」

 

 マリーの瞳は挑戦的だ。レナータは冷静な表情で彼女を見返す。

「私も楽しみよ。私が学んできたことを全てぶつけてみたいわね」

 

 その言葉に、周囲の生徒たちはざわめく。美を競う場となれば、当然ながら王太子や他の貴族も注目するだろう。学園での一大イベントとして、熱が高まりつつある。

「お嬢様、あのマリーという方のファッションセンスやメイク術は評判ですから、決して油断はできません」

 

 マリアナが耳打ちする。レナータはそれを受け、気合いを新たにする。勝負事が好きなわけではないが、ここで退けば自分の信念が揺らいでしまうと感じていた。

「私は私のやり方で“美”を表現する。勝ち負けはともかく、絶対に恥ずかしくない姿で臨むわ」

 

 レナータの言葉に、アメリアはふわりと微笑んで手を握る。

「私も応援しています。そして何か手伝えることがあれば何でも言ってくださいね」

 

 こうして、美の頂上決戦とも言えるビューティーコンテストは一気に注目の的となった。悪役令嬢のレッテルを貼られたレナータが、その名を返上するチャンスとなるか。それとも新たな波乱の予感を呼ぶのか――周囲の期待と不安が入り混じりながら、学園中が息を飲んで結果を待ちわびている。
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