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回廊
しおりを挟む暗い、暗い廊下を行く。
装飾と共に壁にあしらわれた蝋燭の火が、薄暗い現実を淡く、淡く照らす。
あんまり暗いので定かでは無いが、暗い廊下の床には赤い絨毯が引かれている。長い、長い絨毯が。
かれこれ随分歩いている。しかし一向に着かない。着かない…着かない?私は、一体どこに向かっているのだろうか?漠然とした不安は、やがて酷い倦怠感に攫われていった。かつては思考することが好きだったと思う。何でも考えたかったし、何でもしてみたかった。そう、私は生きる事に絶望してはいなかったはずだ。相変わらず長い絨毯が続いている。あぁ、この絨毯は、赤じゃ無くて、白かったらしい。
薄暗い廊下の天井には、雲ひとつ無い晴天が広がっている。あぁ、晴天なのだから、廊下は薄暗くはないね。晴天なのだから。
私はまた、進もうと脚を前に出す。しかし、何時まで待とうと、ついにその脚が前に出ることは無かった。
なぁに、そんなことを言ったら、手だって無いさ!腕も、胴体も、腰も、頭も!
そうだった。私は、そもそも存在などしていないのだから!
なんと滑稽なことか!あぁ、愉しい。愉快だ。
その様子を、廊下の天井の、酷く澄み切った晴天から、怪訝な目で見つめる私がいた。
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