『ENDROID〜溺れる魚〜』

杏忍 東風

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『 ENDROID 〜溺れる魚〜 』

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2×××年、アンドロイドがAi人格制御と共に人と同じ権利を持っていた。

時には自分のアバターとして、

時には家族として、仲間として、

Ai人格制御されたアンドロイドは

人々は受け入れられ普及するようになっていた。

だが、時代は必ずしも良い方向だけに向けられるとは限らない。

それと共にアンドロイドによる事件や事故が世界で増加の一途をたどった。

人として家族として受け入れられたアンドロイドは人と同じ権利として、

疑似人格専門の大法廷の裁判で裁かれることとなる。

もちろん、人間と全く同じ法律ではない。

アンドロイドのためのアンドロイド法が施工されたのだ。

人と同じ形をしたヒューマノイド型のアンドロイドは裁判所で裁かれる時代となった。

そして、時代に連れてアンドロイド専門の弁護士が増加していった。

だが、どのアンドロイドも弁護士を付ける経済力を持っているわけではなかった。

そして、国家公務員としてのアンドロイド専門の国選弁護人が、弁護士協会から選出されることとなった・・・



「今夜は遅いの?」

小さな少女はイスに座る男性に声をかけた。

二人とも綺麗な顔立ちをしている。

親子だろうか?

「そうだね。今日の裁判は始まったばかりだから、遅くなるかもしれないね」

セミショートで理的だがアジア系ハーフの顔立ちの男は言った。

「そっかぁ。それじゃあ、今日もお留守番かぁ」

「今回の裁判が終わったら、旅行にでも行こう」

男が少女に微笑みかけた。

「やったぁー!じゃあ、静かにお留守番してるね」

そう言うと、少女はイスに座った。

少女が目をつぶると、

ピーッという機械音のような音が鳴り響き少女は静かに停止した。

イスに座っていた男は、

テーブルにあるスーツとハットを取ると、

コーヒーカップを台所に置いて、

扉の方に向かった・・・



裁判が終わり、アンドロイドが騒ぎ出す。

「俺は言われたとおりに言っただけだ!!」

暴走した機械仕掛けのアンドロイドは人間の力では抑えきれない。

だが、

警備員もアンドロイドなのだろう。

法廷から力尽くで、扉の中へと連れて行かれた。

「あの型式は人気があったが、利便性を追求し過ぎて人間の都合のいいように改良されたモノが多い。元々、負け裁判だ。気にするな」

「そう言われても、慰めにはなりませんよ。人間に出来ないことをアンドロイドにさせようとすることに問題があるんですよ。型番しか名前のないアンドロイドに責任を押しつけようって言うのが間違ってる」

「まあそう言うな。どんな重い罪で裁判で裁かれたところで、アンドロイドは、データを消されれば終わりなんだ」

初老の男性はそう言うと悲しそうな目をした。

「持ち主からすれば、そう言う訳ではありませんよ」

そう言って、アジア系のハーフの青年は眉間に皺を寄せた。

そして、その裁判は幕を下ろした。

その夜・・・

ヒューマノイド型のアンドロイドが歩いている。

「くそっ!納得いかない!!何が裁判だ!!旧型アンドロイドだからと言って馬鹿にしやがって!!上告してやる」

そんな人間のような暴言を吐きながら、アンドロイドらしくないアンドロイドは独り言のように罵声を上げていた。

そのアンドロイドが裏路地に入って行き止まりのところで、足が止まった。

「誰だ?」

静かで暗い裏路地だが、アンドロイドだからなんだろう。人間では見えない暗い中でも見えるらしい。

「久しぶりだね。お昼の裁判以来かな?」

「き!貴様!!国選弁護人」

アンドロイドが表情を歪めた。

「データはまだ消されていないようだね。」

アジア系ハーフの青年は笑顔で答えた。

「貴様!なんのようだ!!こっちは機嫌が悪いんだ!上告するつもりだが、次の裁判は別の弁護士を変えてもらう!!貴様は首だ!!」

アンドロイドの形相は、まるで人間の怒り顔そのものだ。

「国選弁護人として申しますが、怒こらないで下さい。あなたは上告することは出来ません」

アンドロイドの怒り顔は変わらず、

「何を言っているだ!アンドロイド法でも上告の権利はあるんだぞ!!貴様は知らないのか?」

アンドロイドは怒り顔から、薄ら笑い顔になった。

「もちろんです。アンドロイドといえども、上告の権利はあります。それには手続きがあり、あと国選弁護人は変えることは出来ません。それもアンドロイド法で決まっています」

アジア系ハーフの男が静かな声でそう言うと、アンドロイドはまた怒り顔で叫びだした。

「そんな法律まで知るか!貴様は首だ!!仕事の出来ない能無し!!貴様なんか弁護士辞めてしまえ」

アンドロイドが怒り顔のまま、叫びだした!!

だが、アジア系ハーフの顔色を変えずに言った。

「アンドロイド法は変えることは出来ません」

「そんなこと知るか!!負けたお前の不始末だろうが!!」

アジア系ハーフの男は静かに答えた。

「あなたの罪はアンドロイド法以外にも恐喝罪が適応される。無罪にすることは無理です」

そう静かに言うと、アジア系ハーフの男は黒いロングハットで顔を隠した。

「そんなこと知るか!だいたいアンドロイドに恐喝罪は適応しないだろう」

男はニヤリとした。

「法で裁けない悪もあるのです。この世の中には。アンドロイドに言っても判らないことかもしれませんが・・・」

そう言い終わる前に、アンドロイドは胸ポケットから銃を抜いた。

「貴様、いったい何なんだ!貴様では役不足だ!!さっさと別の国選弁護人に変わって俺の前から消えろ!!」

アジア系ハーフは、

男がそう言い終わる前に、

手をまっすぐに伸ばし、

手を広げた。

「待って下さい。落ち着きましょう。」

だが、アンドロイドの銃口から弾が弾かれた。

アジア系ハーフの男は立ったままだ。

「今回は裁判と違う依頼者の用で来ました」

「防弾チョッキか」

アンドロイドは青い顔をしてそう言った。

「き、貴様。まさか・・・」
アンドロイドは今度は怯えた顔になった。

本当に表情だけは感情豊かなアンドロイドである。

「依頼者の希望によりあなたをデリートします」

アジア系ハーフの男がそう言うと、強烈な電磁波が走った。

アンドロイドは強烈な金切り声を上げて、空中でねじ曲がっていく。

ギリギリと悲鳴を上げる。

そしてみるみるとネジ曲がっていくアンドロイド。

ゴリュァァァァァァァァァラ!!

機械音と悲鳴のような声が混ざりあった呻き声は段々と小さくなっていき、そして、粉々になりあとかたともなく消えた。

アジア系ハーフの男が悲しげに、その空間を眺め、黙ったいたが、すぐに後ろを向いた。

すると裏路地から、フードを被った男が近づいてきた。

男がフードを取ると、
顔はさっきのアンドロイドとそっくりだ!

「ありがとよ。まさか、あそこで訴えられるとは思わなかったもんでね」

アンドロイドに似た男はそう言った。

だが、アンドロイド国選弁護人は無視するように歩き出した。

「ここで俺を裁かなくていいのかい?」

アンドロイドとは全く真逆の表情で呟く。

「お前を裁くのは俺ではなく、この国の法だ!」

静かにそう言って、アンドロイド国選弁護人の男は大通りへと歩き出した。

「またどこかで会いましょう。アンドロイド国選弁護人にしてアンドロイド・アバター専門の始末屋ワン・アンジェラ君」


「アンジェラ、お帰りなさぁい!」

部屋に入ると小さな少女が笑顔で出迎えた。

「ただいま」

アジア系ハーフの男は少女に向かって、笑顔でそう答えた。

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