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軍神勅令
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俺は無重力の中を漂っているようだった。
なんとか体を動かそうとしたが、まるで身体がないかのような感覚に囚われ、眼を開こうにも瞼を開けることが出来ない。
無音の中、急にいろいろな声が耳に入っていくる。
若い女性の声や年配の男性の声、幼い子供の声。
意識をそちらに向けようとした瞬間、空間は白い世界へと急激に変わっていった。
そして、ひとりの女性の声が聞こえた。
「まだ早すぎるのでは?」
その声は幼なくも聞こえるが、成人の女性のようにも聞こえる。
「かまわない」
その次に聞こえたのは、若々しい男性の声だった。
そして、俺の意識は急激に明後日の方向へと向けられた。
未だにやまない心のキズを抱えたままで死んでしまった俺にとってはどうでもいいことに思えた。
けれど次の瞬間、目の前に甲冑らしきモノを着た男の姿が飛び込んできた。
その男は日本人のようにも見えたが、日本特有の甲冑ではなく中華系の甲冑を着ているようだった。
その顔は初老のガタイの良い男性といったところだろうか。
「お前は生きたいと願うか」
そう初老の甲冑を着た男は俺に話をかけてきたのだ。
俺は少し戸惑っていた。
もし死んでいるのならば、生き返ったところで残酷な現実が待っているだけだ。
そんな世界で生き返ったところでなんの意味があるのだろう。
けれどこのまま死んでしまうのは、それこそ未練だけが残る。
そんなことをうじうじ考えていると、甲冑の初老の男はまた言葉を発した。
正確には口で喋っているという感じではない。
声が心に残っているという感じが正しいだろうか。
そして、男はこう言った。
「汝よ、生まれ変わりたいと願うか?」
その声は少し脅しめいた声であった。
俺は思わず、感覚のないまま頷いた。
強制的に頷かされたような感覚もあったが、ここまま未練残して死ぬっていうのも、何か納得がいかなかったのかもしれない。
「汝に命ずる。軍神の名のもとに、我が治めし国家に勝利をもたらせ」
そう言うと、光で満ちた世界が急激に自分の中に吸い込まれ、なにかの形に変わっていくのを感じた。
それは痛みと快楽と悲しみ、怒りなどの感情を自分の中で蘇らせていくような、なんとも心身的にハードな感覚だった。
その痛みから開放された瞬間、目の前に天井が現れた。
「おはよう御座います。お目覚めですか?お嬢さん」
先程の甲冑を着た男性とは違う声だった。
俺は身体をベットから起き上がると、なにか民族衣装のような物を着ていた。
そして、手のひらを見た。
何かが違う。
俺の若々しくて、力強いはずの手のひらではなく、子供のような小さな手。
「お嬢さん、もう起き上がっても大丈夫なのですか?」
その声の男性の方を見ると、中華系の衣装を着た若い男性が立っていた。
俺は意識が朦朧とする中、別途から立ち上がった。
「せっかく起きたのですから、まずは顔を洗ってはいかがですか。かわいい顔をしていらっしゃるのですから、身を整えた方がよろしい」
かわいい顔?
その男が言っていることがわからないまま、俺は鏡のある水事場らしきところへと歩いていった。
感覚がおかしい。
なにか、世界が低く大きく感じる。
そして、水事場の蛇口を捻り、顔を洗った。
自分の肌とは思えない感覚。
そして俺は水事場の鏡を覗き込んだ。
そこに映るのは、俺の顔ではなく、幼い少女のぽっかーんとしたあどけない表情が俺のみている鏡に写ったのだ。
「お嬢さん、顔を洗ったらこちらにいらして、食事でもどうですか」
そう言った男の方を眺めたのは俺だった。
そして、鏡に映るあどけない幼い少女の顔も俺だったのだ。
なんとか体を動かそうとしたが、まるで身体がないかのような感覚に囚われ、眼を開こうにも瞼を開けることが出来ない。
無音の中、急にいろいろな声が耳に入っていくる。
若い女性の声や年配の男性の声、幼い子供の声。
意識をそちらに向けようとした瞬間、空間は白い世界へと急激に変わっていった。
そして、ひとりの女性の声が聞こえた。
「まだ早すぎるのでは?」
その声は幼なくも聞こえるが、成人の女性のようにも聞こえる。
「かまわない」
その次に聞こえたのは、若々しい男性の声だった。
そして、俺の意識は急激に明後日の方向へと向けられた。
未だにやまない心のキズを抱えたままで死んでしまった俺にとってはどうでもいいことに思えた。
けれど次の瞬間、目の前に甲冑らしきモノを着た男の姿が飛び込んできた。
その男は日本人のようにも見えたが、日本特有の甲冑ではなく中華系の甲冑を着ているようだった。
その顔は初老のガタイの良い男性といったところだろうか。
「お前は生きたいと願うか」
そう初老の甲冑を着た男は俺に話をかけてきたのだ。
俺は少し戸惑っていた。
もし死んでいるのならば、生き返ったところで残酷な現実が待っているだけだ。
そんな世界で生き返ったところでなんの意味があるのだろう。
けれどこのまま死んでしまうのは、それこそ未練だけが残る。
そんなことをうじうじ考えていると、甲冑の初老の男はまた言葉を発した。
正確には口で喋っているという感じではない。
声が心に残っているという感じが正しいだろうか。
そして、男はこう言った。
「汝よ、生まれ変わりたいと願うか?」
その声は少し脅しめいた声であった。
俺は思わず、感覚のないまま頷いた。
強制的に頷かされたような感覚もあったが、ここまま未練残して死ぬっていうのも、何か納得がいかなかったのかもしれない。
「汝に命ずる。軍神の名のもとに、我が治めし国家に勝利をもたらせ」
そう言うと、光で満ちた世界が急激に自分の中に吸い込まれ、なにかの形に変わっていくのを感じた。
それは痛みと快楽と悲しみ、怒りなどの感情を自分の中で蘇らせていくような、なんとも心身的にハードな感覚だった。
その痛みから開放された瞬間、目の前に天井が現れた。
「おはよう御座います。お目覚めですか?お嬢さん」
先程の甲冑を着た男性とは違う声だった。
俺は身体をベットから起き上がると、なにか民族衣装のような物を着ていた。
そして、手のひらを見た。
何かが違う。
俺の若々しくて、力強いはずの手のひらではなく、子供のような小さな手。
「お嬢さん、もう起き上がっても大丈夫なのですか?」
その声の男性の方を見ると、中華系の衣装を着た若い男性が立っていた。
俺は意識が朦朧とする中、別途から立ち上がった。
「せっかく起きたのですから、まずは顔を洗ってはいかがですか。かわいい顔をしていらっしゃるのですから、身を整えた方がよろしい」
かわいい顔?
その男が言っていることがわからないまま、俺は鏡のある水事場らしきところへと歩いていった。
感覚がおかしい。
なにか、世界が低く大きく感じる。
そして、水事場の蛇口を捻り、顔を洗った。
自分の肌とは思えない感覚。
そして俺は水事場の鏡を覗き込んだ。
そこに映るのは、俺の顔ではなく、幼い少女のぽっかーんとしたあどけない表情が俺のみている鏡に写ったのだ。
「お嬢さん、顔を洗ったらこちらにいらして、食事でもどうですか」
そう言った男の方を眺めたのは俺だった。
そして、鏡に映るあどけない幼い少女の顔も俺だったのだ。
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