現実（いま）を感じて

国

国―――。

　人間とは違うが、人間と同じようにそれぞれの貌を持っている。
一つの街に様々な個性が混じり合っていることもある。清楚で歴史の重みを感じさせるような佇まい、そうかと思うと清新だが犯罪の多いような、それでいて少しずつ違う国の風景……。
　国は人々と建物とが織りなす交響曲。国には個性だけでなく、他とは違った匂いのようなものがある。国はそこにあるというだけではなく、そこに生き続けている。

　昔の面影もなく荒んでしまった国。
他国や集落を呑み込んで、境界のない大帝国へと変貌する国。
また、かつては栄華を誇った国も、人々が去って行き、空になった建物に板切れが打ちつけられている……

　国は時とともにその個性を積み重ねて行く。
小国だった頃の記憶を失っていない国がある。
また、現在は退屈で無個性な国も、時が経つにつれ歴史の重みを感じさせるようになるだろう。

永久に変わらないものはない。

　そして、この国は……。