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第九話 ラルク王子との再会

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 カトレアたちは、そのまま秘密基地に行き、飛行船に飛び乗った。

「さあ!サンドリア城へ!」

 カトレアは元気いっぱいに声をあげ、舵をとった。飛行船は浮き上がり、サンドリア城へと出発する。

「しかしなぁ、食料と水がないよな。大丈夫かな」

 ランドンは、思いついたように、ずっと不安に思っていることを口にした。

「確かに、特に水だ。雨が降らないから、国内で水不足だ」

「実は、今も喉がからからです」

「そうだね、よく走っているしね」

「サンドリア国でなんとかならないかしら?」

 カトレアは前向きに提案してみる。

「サンドリア国だって、メリムダと状況は同じだ。雨が降らないから、水が不足しているはずだ」

 サラは、冷静に判断をして言った。

「・・・」

「まあ、水不足で野鳥たちも体力不足か、攻撃が少なくていいぜ」

 ランドンは、それでも油断せずに、大剣をいつでも抜けるように緊張感を持っていた。

「そうだな、これからどうなってしまうのか、、もう明日もわからない命だな」

 サラは頷いて同意する。

「前向きにいきましょう!明日は明日の風が吹く!よ」

 カトレアは、根っこから明るい性格だった。嫌なことは、すぐに忘れてしまう、お得な性格だ。

「ソフィア、どうした?」

 難しい顔つきをしているので、ランドンはソフィアの肩を抱いて聞いた。

「いやね、もしかしたら、その粉は、一時的な効果かもしれないわ」

「え?」

「古文書に、粉は毒を解くが、真実には近づけない、とあるの。だから、正気は取り戻せるかもしれないけど、すぐにまた操られてしまうかも」

「そう、でも、一時的でも戻るなら、行かないとね」

 カトレアは残念そうな顔を見せず、前を向いて言った。

「そうだよ!きっとまた良い方法が見つかるぜ!」

 ランドンもカトレアを真似て、明るい口調で言った。

「バカばっかだ」

 サラは頭を抱え、ぼそりと口にする。

「ん?」

「、、、いや、なんでもない」


 
 △△△△△△△



 国境間は、両国の兵士が揃って冷戦状態だった。どちらも一歩も下がらず、進まず、睨み合いを繰り広げていた。

「ひどいな、、サンドリア城に入れるか?」

「たぶん、見つかる。でも、この飛行船は小さいから、こちらのほうが、スピードは有利だ」

 カトレアは、緊張をしながらも、舵をとって急降下する。

「!不審者!飛行船発見!」

 すぐにサンドリア兵に見つかるが、カトレアの操縦のほうが、上手だった。

「野鳥に比べたら、軽いわ!」

 カトレアは得意になって、追撃してくる飛行船をすり抜けて、サンドリア城の近くの森に到着した。

「森が、枯れてる!」

 ソフィアは、ほとんどの緑が枯れ草になっている現状をみて、悲しく叫んだ。

「もう二週間も雨が降らない。メリムダも同じだ。どんどん草木が枯れていっている」

「はやく、はやく災いを解かなければ」

「そうね」

 ソフィアの悲壮な口調に、皆同じように頷いた。

「私が、まずはラルク王子のところに行ってくる。皆はここで待機をしていて」

 カトレアは、城の壁に、ひょいっと身軽に飛びついた。

「わかった!何かあったら、すぐにオカリナ吹いてくれ」

「いつでも飛行船を動かせるように、待機してるぜ!」

 カトレアは、心強く頷き、塀を越えていく。城の窓に飛び移り、城内に入ると、素早くアルクを探して回った。

「アルク王子!」

 カトレアは、城の南側のバルコニーに、2人の兵と並んで遠方を見ていた。

 熱いものがカトレアの全身に流れ込んでくる。

 胸の高鳴りがうるさく、鼓膜が破けてしまいそうだった。





 

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