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24.子どもたちの笑顔
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翌日、目が覚めるとアキヲの姿はもうなかった。
おそらく、また森のプレハブを探りに行ったのだろう。
アキヲが言うように、本当にそこには、麻薬が栽培されているのだろうか。僧侶やその仲間たちは、一体何者なのだろうか。
それに、草原の家の電気代や、薬代などの医療費は、どのように支払われているのだろうか。こんな山の山頂、霧に囲われる村に、どのように調達されているのだろう。
考えればきりがなく、答えなど見つからないほうが良いようにも思えた。
私はいつものように、ナミと朝ご飯の支度を手伝い、家の掃除をして、草原の家に出かけた。
最近は、旅館の中での私の役割が決まってきていた。食事の支度はナミの両親がして、それをナミと一緒に運び、配膳する。掃除場所は、和室と台所を頼まれることが多い。風呂の水を貯め、火をつけるのも私がするようになっていた。
ナミの家族の一員になれたようで、役割ができたことは、単純に嬉しかった。
草原の家に行くと、甘いクッキーの匂いが誘惑するようにあたりに漂っていた。
アイリとサトミが、せっせとお菓子作りをしている。
「どうしたの?今日は、何かあるの?」
私は、ケイコさんの人工呼吸器の設定を確認しながら、台所場にむかって声をかける。
「今日はね、子どもたちが、ケイジさんやミクちゃんたちに会いに来る日なのよ。だから、お菓子をたくさん作っているの!」
ミサトは、鼻歌を歌い、クッキーの型をとりながら言った。
「子どもたち?」
私は、ケイコさんの気切カニューレに挟むガーゼを交換して、吸引をする。
「そうよ。畑の家に住んでいる子どもたちが、5、6人いるの。その子たちは、下の世界では、孤児でね。ゴミ捨て場や孤児院、公園の隅とかに捨てられていたのを、紗羅さんが連れてきて育てているの」
アイリは、クッキーにデコレーションをしながら話す。
「子どもを捨てる親がたくさんいるんだね」
私は、胸に痛みを感じながら、吸引チューブをしまった。
ケイコさんは、純粋な瞳を輝かせて、私を見て笑っている。
言語によるコミュニティーションができなくても、表情や発声で私のことを慕ってくれているのがわかる。
「そうよ。親は産むだけで、育てられなくなると簡単に捨ててしまう。今の時代の現実よ」
私は何も応えられず、口を閉じる。
「リサは、ケイコさんやリョウくんの経管栄養の準備、お願いね。ミキサー食はもうそこに届いているから」
ミサトは、空気が重くなるのを避けるように、明るい口調で言った。
私は、了解!と明るく返事をして、シリンジにチューブを準備して、木箱からミキサー食を並べていく。
すると、コンコン!とドアをノックする音が聞こえた。
「子どもたちだわ!」
アイリは嬉しそうに言って、スキップをしながらドアを開けた。
すると、幼児から小学生くらいの子どもたちが6人、アイリの嬉しそうな笑顔に負けないくらいの満面の笑顔を浮かべて一斉にお辞儀をする。
「そんなに丁寧にしなくても良いのよ。さあ、入って、入って」
ミサトも子どもたちに駆け寄り、優しい笑顔で、歓迎の意をあらわして迎える。
おそらく、また森のプレハブを探りに行ったのだろう。
アキヲが言うように、本当にそこには、麻薬が栽培されているのだろうか。僧侶やその仲間たちは、一体何者なのだろうか。
それに、草原の家の電気代や、薬代などの医療費は、どのように支払われているのだろうか。こんな山の山頂、霧に囲われる村に、どのように調達されているのだろう。
考えればきりがなく、答えなど見つからないほうが良いようにも思えた。
私はいつものように、ナミと朝ご飯の支度を手伝い、家の掃除をして、草原の家に出かけた。
最近は、旅館の中での私の役割が決まってきていた。食事の支度はナミの両親がして、それをナミと一緒に運び、配膳する。掃除場所は、和室と台所を頼まれることが多い。風呂の水を貯め、火をつけるのも私がするようになっていた。
ナミの家族の一員になれたようで、役割ができたことは、単純に嬉しかった。
草原の家に行くと、甘いクッキーの匂いが誘惑するようにあたりに漂っていた。
アイリとサトミが、せっせとお菓子作りをしている。
「どうしたの?今日は、何かあるの?」
私は、ケイコさんの人工呼吸器の設定を確認しながら、台所場にむかって声をかける。
「今日はね、子どもたちが、ケイジさんやミクちゃんたちに会いに来る日なのよ。だから、お菓子をたくさん作っているの!」
ミサトは、鼻歌を歌い、クッキーの型をとりながら言った。
「子どもたち?」
私は、ケイコさんの気切カニューレに挟むガーゼを交換して、吸引をする。
「そうよ。畑の家に住んでいる子どもたちが、5、6人いるの。その子たちは、下の世界では、孤児でね。ゴミ捨て場や孤児院、公園の隅とかに捨てられていたのを、紗羅さんが連れてきて育てているの」
アイリは、クッキーにデコレーションをしながら話す。
「子どもを捨てる親がたくさんいるんだね」
私は、胸に痛みを感じながら、吸引チューブをしまった。
ケイコさんは、純粋な瞳を輝かせて、私を見て笑っている。
言語によるコミュニティーションができなくても、表情や発声で私のことを慕ってくれているのがわかる。
「そうよ。親は産むだけで、育てられなくなると簡単に捨ててしまう。今の時代の現実よ」
私は何も応えられず、口を閉じる。
「リサは、ケイコさんやリョウくんの経管栄養の準備、お願いね。ミキサー食はもうそこに届いているから」
ミサトは、空気が重くなるのを避けるように、明るい口調で言った。
私は、了解!と明るく返事をして、シリンジにチューブを準備して、木箱からミキサー食を並べていく。
すると、コンコン!とドアをノックする音が聞こえた。
「子どもたちだわ!」
アイリは嬉しそうに言って、スキップをしながらドアを開けた。
すると、幼児から小学生くらいの子どもたちが6人、アイリの嬉しそうな笑顔に負けないくらいの満面の笑顔を浮かべて一斉にお辞儀をする。
「そんなに丁寧にしなくても良いのよ。さあ、入って、入って」
ミサトも子どもたちに駆け寄り、優しい笑顔で、歓迎の意をあらわして迎える。
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