怪談 - 実話 -

柚槙ゆみ

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なにかおかしい

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 その日、帰ってきた夫に夜中の出来事を話すと「ストレスかもね」と言われ、私もそうだとそのときは思っていた。
 それから数日は平和に過ごしていた。しかしある夜、また夜中に目が覚めた。動こうとしても体が動かなくて、おかしいなと目を開けた。すると目の前に乱れた白髪の老人男性の顔が見えて「ひっ!」となって目を閉じた。体が動かないのは、金縛りなのか、それともその老人が私の上に跨がっていたからなのか……。

 私はパニックだった。
 目を開けると目の前に知らない老人男性がいる。
 顔を覗き込んでいる。

 怖くて仕方がなかったが、これも夢だ夢だと懸命に心の中で唱えた。そうしたら前みたいに朝になっていると考えたのだ。しかし今回は違っていた。その老人がぐぐぐっと腕を伸ばして首を絞めてきたのだ。

(息ができない! 苦しい! やめて!)

 言いたくても声が出ない。目の前では真っ白な顔の老人がものすごい形相で私の首を絞めている。殺されると思った。徐々に意識がなくなっていき、そのおじいさんの顔を見ながら気を失っていった。
 翌朝、目が覚めたときはものすごく全身がだるく、まだその恐怖が部屋の中に残っているようだった。この部屋はなにかおかしい、そう思うようになった。

 夜中、夫を見送ってから眠れなくなり、電気を点けて朝まで起きているようになった。昼と夜が逆転して、生活リズムがガタガタに崩れ始めた。

 昼間に、一人で部屋にいると、キッチンから水の流れる音が聞こえてきた。私が座っている場所からキッチンは見えないが、怖くて確認することもできない。私は音が鳴っている間、体を強ばらせて動くこともできなかった。しばらくして音が鳴り止んで、恐る恐るキッチンの方を覗く。しかしそこには誰もいなくて水も出ていない。気のせいかとも思ったが、怖くて我慢できず、帰ってきた夫に話した。

 すると幸運なことに「同じマンションの四階が開いているから、そっちに移動していいよ」と会社の人が言ってくれたとのこと。
 夫の会社がマンション全体を寮として借り上げているので、部屋の変更をしてもらえることになった。

 これでようやくぐっすり眠れると安堵した。二階のLDKから四階の二LDKと間取りは広くなり、よかったと思っていた。しかし引っ越しを終えた夜からまた始まったのだ。
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