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○○好きに悪い奴はいない。
よく自分が好きな特技や趣味にそのようなことを言う人がいる。
犬好きに悪い奴はいないとか――
野球好きに悪い奴はいないとか――
映画好きに悪い奴はいないとか――
確かにその結びつきは間違っていない。自分がもし何か好きなものがあって自分以外の者が同じようにそれが好きだと聞けば好奇心が沸くものである。趣味繋がりで仲良くなるというのはよくある話であってもっとも仲良くなるきっかけでもある。僕もその一人であって、自分が好きなものが同じように好きな人であれば悪いやつはいないと強く思っていた。
ちなみに僕が好きなものと言えばゲームである。幼い頃から様々なゲームをしてきており、その範囲はなんでもありだ。テレビゲームであったり、カードゲームであったり、玩具のゲームであったりゲームというものはなんでもやってきた。ゲームのやりすぎで親に怒られることは日常茶飯事だ。楽しすぎて夜中までゲームに夢中になっているほどだ。学生時代はゲームで終えてしまったと言ってもいいくらいだ。あまりにも好きすぎて将来はゲームに関わる仕事をしたいと夢を見るほどゲーム好きである。自分の好きなもので仕事をして食べていけたら幸せではないか。まさに理想の生活である。そして僕は大学を卒業したらゲームを開発するプログラマーの仕事に就きたいと強い願望あった。そのような夢を抱き、プログラマー一本に絞って就活した。しかし人生そんな夢のようにコトが上手くいかないことを僕は知った。あらゆる企業に面接に行ったが、なかなか良い返事をくれる企業は見つからない。くるのはお祈り通知のみ。結局、どの企業も僕を入れてくれるところはなかった。同級生たちは次々と有名企業に内定が決まっていく中、僕はゲーム関連の企業しか行きたくないというプライドがあったために就職はうまくいかずにいた。いっそ、そのプライドを捨てたらどこか入れてくれる企業はあったのかもしれない。しかし、ゲームに関わりがない企業に就職したら僕は間違いなく長続きしないだろう。ものの数ヶ月で辞めてしまう自信があった。しかし大卒で無職という肩書きでは格好が付かない。挙句の果、僕が最終的に就職したのはゲームセンターであった。そう、学生ならみんな一度は必ず行くあのゲーセンだ。僕が行きたがっているゲーム関連に該当する企業だ。企業? 店舗と言えばいいのか。プログラマーとは程遠いけれども、とりあえずゲームに関わりがあるところで働けた訳であって、それで食べていけるのであれば幸せなのだが、生活していく上では厳しい給料だ。一応、正社員で入ったのだが、三ヶ月の間は正社員ではなくアルバイトとしての採用なので少しの間、辛抱しなくてはならない。アルバイト期間ではいわゆる研修期間であり、仕事の基礎を一から教わる。研修だからと言って手を抜かずに懸命に働いた。当然入ったばかりは雑用のような仕事ばかりで店の掃除が主な仕事だ。そして徐々に受付や整備の仕事がもらえるようになる。仕事にやりがいを感じてきてこれから頑張っていんだと意気込んでいたところまでは良かった。
悲劇が起こったのは僕が正社員になる前日のことであった。ようやく三ヶ月の研修期間が終了して晴れて正社員になれると思っていた時である。なんと僕は正社員を目前にしてクビを宣告されてしまったのだ。一体なぜ? と疑問を抱く。僕は入社以来、嫌な顔一つせずに誰よりも仕事を覚えようと努力してきた。先輩に言われたことをメモに取って覚え、店では誰に対しても笑顔で接してきた。時間ギリギリまで仕事をして真面目な店員を演じてきた。それなのに正社員を目前にクビを宣告されてしまった。
「店長! クビってどういうことでしょうか?」
僕は訳も分からずにクビを宣告した店長にその真意を尋ねた。
「確かに鈴木君は誰よりも真面目に働く理想の人だ。クビにするには惜しい逸材だ」
ちなみに僕の名前は鈴木裕斗(すずきゆうと)。ありふれた名前だから覚えやすいだろう。店の人たちからは『鈴木』と呼ばれている。
「惜しい逸材ならなんでクビにするんですか! 納得いきません」
僕は突っかかるように店長に迫る。
「そうだな……納得いかないのも無理もない。まぁいずれわかることだし、うーん。言ってもいいかな」
店長は頭の後ろをポリポリ掻きながら言うか言わないか迷っているように呟く。
「実は鈴木君。この店はもうすぐ閉店する予定なんだ」
「閉店……ですか?」
僕は予想外の発言に戸惑う。
「そうだ。君も知っているだろう。店泣かせが最近入り浸っているのを。そいつのせいで店は大赤字だ。挙げ句の果てには閉店に追い込まれたということだ」
店長はため息混じりにそのようなことを言う。
店泣かせ――
それは店にとっては天敵とも言える客の存在である。才能を持ったいわゆるプロのような人物のことを指す。
例えばその者が射的の天才であれば祭りの射的の店に来ればどうなるか。当然、店の景品の全てを持っていかれてそれ以上商売ができなくなったりする。
例えば鉄人並の胃袋を持ったフードファイターのプロがいるとする。その者が食べ放題の店に来ればどうなるか。当然、全ての食品が食べ尽くされてしまう。そのような客のことを店泣かせという。 つまりはそのようなプロの人物が店に来たらまさに絶望的だ。一般人に向けられた設定を軽々と超えてしまうので店として赤字は免れない。かと、言ってその客に帰って下さいというのも勇気がいる話。正当に店のルールを守っているのでこちらから言うのは不謹慎な話である。
ちなみにそういった店泣かせというのはゲーセンも例外ではない。ゲーセンの店泣かせというのはクレーンゲームを指す。
クレーンと言えば重機の方を思い浮かべてしまいがちだが、そっちのクレーンではない。
クレーンゲーム。別の言い方をすればUFOキャッチャーとも呼ぶ。天井に取り付けられたクレーンでの操作により景品の獲得を目的としたアーケードゲームである。現在では一般的な形から変わった取り方や変わった景品が展開している。老若男女、気軽に行える遊びの一つである。今回この店はクレーンゲームのプロ並の実力者が頻繁に出入りすることは僕も注目していた。少額の金額で大物を取ってしまうのだからまさに店泣かせと言える。その人物のせいで僕はクビ……いや、店が閉店までに追い込まれたというのだ。
「そういう訳だから鈴木君、今日限りで辞めてもらえるかな? 近々、他の店員たちにも辞めてもらうことになるから君は一足先に辞めてもらう形になる。君なら他のところでもやっていけると思うから幸運を祈るよ」
と、店長に次なる就職先に幸運を祈られてしまった。新人の僕の立場が弱いとうことでこれは決定事項らしい。僕はその店泣かせの客にとばっちり食らってしまった訳で無職となってしまう。
仕事をするにしてもゲームに関わりがないと嫌だという概念があったので僕はゲームセンターを辞めた後にゲームショップの店員になった。プログラマーという仕事に憧れているけど、その夢をまだ捨てたわけではない。今はアルバイトとして働き、自分磨きに勤しみ、ゲームショップを踏み台にして夢を追いかけようと計画を立てていた。そこまでは良かった。しかし、その計画も打ち砕かれる。なんと僕が働いていたゲームショップもまた閉店してしまったのだ。原因は例の店潰しの客である。僕が以前働いていたゲームセンターを閉店に負いやったあの店潰しの客である。全くの同一人物であり、その客が今回、僕が働いていたゲームショップを潰した張本人だ。その人物はまたしても少額の金額で景品を取ってしまうのだ。一番の大物はテレビゲーム機の獲得だ。それを毎回のように取って行かれてしまえば溜まったものではない。またしても無職に逆戻り。二度あることは三度目もあると言ったもので僕が働くところには必ずその店泣かせの客が来るのだ。その度に僕は泣きを見るのだ。僕がゲーム関係の仕事しか選ばないというのもあるかもしれないが、必ずと言っていいほど店泣かせのあいつが来るのだ。僕の人生を狂わすその人物の顔は決して忘れない。何度も僕の職場を潰すその人物は疫病神と言っておこうか。結局、今の僕と言えば無職だ。これで店を潰されたのは何度目だろうか。もう数えるのも面倒になってきた。それほどその疫病神に職場を失わされたということである。疫病神の顔を思い出せば思い出すほど怒りが込み上げる。この時、僕はゲーム好きに悪い奴はいないと少し前までは思っていたが、ゲーム好きにも悪い奴はいると思い知らされたのだ。短期間で僕の人生をメチャクチャにしたあいつの顔だけは生涯忘れることはない。
よく自分が好きな特技や趣味にそのようなことを言う人がいる。
犬好きに悪い奴はいないとか――
野球好きに悪い奴はいないとか――
映画好きに悪い奴はいないとか――
確かにその結びつきは間違っていない。自分がもし何か好きなものがあって自分以外の者が同じようにそれが好きだと聞けば好奇心が沸くものである。趣味繋がりで仲良くなるというのはよくある話であってもっとも仲良くなるきっかけでもある。僕もその一人であって、自分が好きなものが同じように好きな人であれば悪いやつはいないと強く思っていた。
ちなみに僕が好きなものと言えばゲームである。幼い頃から様々なゲームをしてきており、その範囲はなんでもありだ。テレビゲームであったり、カードゲームであったり、玩具のゲームであったりゲームというものはなんでもやってきた。ゲームのやりすぎで親に怒られることは日常茶飯事だ。楽しすぎて夜中までゲームに夢中になっているほどだ。学生時代はゲームで終えてしまったと言ってもいいくらいだ。あまりにも好きすぎて将来はゲームに関わる仕事をしたいと夢を見るほどゲーム好きである。自分の好きなもので仕事をして食べていけたら幸せではないか。まさに理想の生活である。そして僕は大学を卒業したらゲームを開発するプログラマーの仕事に就きたいと強い願望あった。そのような夢を抱き、プログラマー一本に絞って就活した。しかし人生そんな夢のようにコトが上手くいかないことを僕は知った。あらゆる企業に面接に行ったが、なかなか良い返事をくれる企業は見つからない。くるのはお祈り通知のみ。結局、どの企業も僕を入れてくれるところはなかった。同級生たちは次々と有名企業に内定が決まっていく中、僕はゲーム関連の企業しか行きたくないというプライドがあったために就職はうまくいかずにいた。いっそ、そのプライドを捨てたらどこか入れてくれる企業はあったのかもしれない。しかし、ゲームに関わりがない企業に就職したら僕は間違いなく長続きしないだろう。ものの数ヶ月で辞めてしまう自信があった。しかし大卒で無職という肩書きでは格好が付かない。挙句の果、僕が最終的に就職したのはゲームセンターであった。そう、学生ならみんな一度は必ず行くあのゲーセンだ。僕が行きたがっているゲーム関連に該当する企業だ。企業? 店舗と言えばいいのか。プログラマーとは程遠いけれども、とりあえずゲームに関わりがあるところで働けた訳であって、それで食べていけるのであれば幸せなのだが、生活していく上では厳しい給料だ。一応、正社員で入ったのだが、三ヶ月の間は正社員ではなくアルバイトとしての採用なので少しの間、辛抱しなくてはならない。アルバイト期間ではいわゆる研修期間であり、仕事の基礎を一から教わる。研修だからと言って手を抜かずに懸命に働いた。当然入ったばかりは雑用のような仕事ばかりで店の掃除が主な仕事だ。そして徐々に受付や整備の仕事がもらえるようになる。仕事にやりがいを感じてきてこれから頑張っていんだと意気込んでいたところまでは良かった。
悲劇が起こったのは僕が正社員になる前日のことであった。ようやく三ヶ月の研修期間が終了して晴れて正社員になれると思っていた時である。なんと僕は正社員を目前にしてクビを宣告されてしまったのだ。一体なぜ? と疑問を抱く。僕は入社以来、嫌な顔一つせずに誰よりも仕事を覚えようと努力してきた。先輩に言われたことをメモに取って覚え、店では誰に対しても笑顔で接してきた。時間ギリギリまで仕事をして真面目な店員を演じてきた。それなのに正社員を目前にクビを宣告されてしまった。
「店長! クビってどういうことでしょうか?」
僕は訳も分からずにクビを宣告した店長にその真意を尋ねた。
「確かに鈴木君は誰よりも真面目に働く理想の人だ。クビにするには惜しい逸材だ」
ちなみに僕の名前は鈴木裕斗(すずきゆうと)。ありふれた名前だから覚えやすいだろう。店の人たちからは『鈴木』と呼ばれている。
「惜しい逸材ならなんでクビにするんですか! 納得いきません」
僕は突っかかるように店長に迫る。
「そうだな……納得いかないのも無理もない。まぁいずれわかることだし、うーん。言ってもいいかな」
店長は頭の後ろをポリポリ掻きながら言うか言わないか迷っているように呟く。
「実は鈴木君。この店はもうすぐ閉店する予定なんだ」
「閉店……ですか?」
僕は予想外の発言に戸惑う。
「そうだ。君も知っているだろう。店泣かせが最近入り浸っているのを。そいつのせいで店は大赤字だ。挙げ句の果てには閉店に追い込まれたということだ」
店長はため息混じりにそのようなことを言う。
店泣かせ――
それは店にとっては天敵とも言える客の存在である。才能を持ったいわゆるプロのような人物のことを指す。
例えばその者が射的の天才であれば祭りの射的の店に来ればどうなるか。当然、店の景品の全てを持っていかれてそれ以上商売ができなくなったりする。
例えば鉄人並の胃袋を持ったフードファイターのプロがいるとする。その者が食べ放題の店に来ればどうなるか。当然、全ての食品が食べ尽くされてしまう。そのような客のことを店泣かせという。 つまりはそのようなプロの人物が店に来たらまさに絶望的だ。一般人に向けられた設定を軽々と超えてしまうので店として赤字は免れない。かと、言ってその客に帰って下さいというのも勇気がいる話。正当に店のルールを守っているのでこちらから言うのは不謹慎な話である。
ちなみにそういった店泣かせというのはゲーセンも例外ではない。ゲーセンの店泣かせというのはクレーンゲームを指す。
クレーンと言えば重機の方を思い浮かべてしまいがちだが、そっちのクレーンではない。
クレーンゲーム。別の言い方をすればUFOキャッチャーとも呼ぶ。天井に取り付けられたクレーンでの操作により景品の獲得を目的としたアーケードゲームである。現在では一般的な形から変わった取り方や変わった景品が展開している。老若男女、気軽に行える遊びの一つである。今回この店はクレーンゲームのプロ並の実力者が頻繁に出入りすることは僕も注目していた。少額の金額で大物を取ってしまうのだからまさに店泣かせと言える。その人物のせいで僕はクビ……いや、店が閉店までに追い込まれたというのだ。
「そういう訳だから鈴木君、今日限りで辞めてもらえるかな? 近々、他の店員たちにも辞めてもらうことになるから君は一足先に辞めてもらう形になる。君なら他のところでもやっていけると思うから幸運を祈るよ」
と、店長に次なる就職先に幸運を祈られてしまった。新人の僕の立場が弱いとうことでこれは決定事項らしい。僕はその店泣かせの客にとばっちり食らってしまった訳で無職となってしまう。
仕事をするにしてもゲームに関わりがないと嫌だという概念があったので僕はゲームセンターを辞めた後にゲームショップの店員になった。プログラマーという仕事に憧れているけど、その夢をまだ捨てたわけではない。今はアルバイトとして働き、自分磨きに勤しみ、ゲームショップを踏み台にして夢を追いかけようと計画を立てていた。そこまでは良かった。しかし、その計画も打ち砕かれる。なんと僕が働いていたゲームショップもまた閉店してしまったのだ。原因は例の店潰しの客である。僕が以前働いていたゲームセンターを閉店に負いやったあの店潰しの客である。全くの同一人物であり、その客が今回、僕が働いていたゲームショップを潰した張本人だ。その人物はまたしても少額の金額で景品を取ってしまうのだ。一番の大物はテレビゲーム機の獲得だ。それを毎回のように取って行かれてしまえば溜まったものではない。またしても無職に逆戻り。二度あることは三度目もあると言ったもので僕が働くところには必ずその店泣かせの客が来るのだ。その度に僕は泣きを見るのだ。僕がゲーム関係の仕事しか選ばないというのもあるかもしれないが、必ずと言っていいほど店泣かせのあいつが来るのだ。僕の人生を狂わすその人物の顔は決して忘れない。何度も僕の職場を潰すその人物は疫病神と言っておこうか。結局、今の僕と言えば無職だ。これで店を潰されたのは何度目だろうか。もう数えるのも面倒になってきた。それほどその疫病神に職場を失わされたということである。疫病神の顔を思い出せば思い出すほど怒りが込み上げる。この時、僕はゲーム好きに悪い奴はいないと少し前までは思っていたが、ゲーム好きにも悪い奴はいると思い知らされたのだ。短期間で僕の人生をメチャクチャにしたあいつの顔だけは生涯忘れることはない。
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