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子供の身体は手足が短くで不便だ。オオカミになんて勝てるはずがない。今追いつかれていないのはオオカミが狩りを楽しんでるからだろう。
いつでも殺れるから、じわじわと追い詰めて殺したいのだろう。なんて性格の悪い。
でもそう考えてくれているからこそ俺は助かってるし、目的の場所まで走ることが出来ているのだ。
(罠までもうちょっと…)
罠まであと数メートル。俺はもう大丈夫だと思った。思ったはずだけど次の瞬間には俺は仰向けに倒れており目の前にはオオカミがいた。肩にはオオカミの前足が置かれている
「な、んで…」
罠がバレたのだろうか。それとも狩りに飽きたのか。このままでは俺は殺されるだろう
(そんなのは嫌だ!まだ魔法も覚えてないし、神様の言ったように世界を見て回りたいのに)
オオカミの前足を退けようと身体に力を入れてもビクともしない。むしろ爪がくい込んでしまい服に血が滲んでいる。
「嫌だ!嫌だー!」
死にたくないと強く願った瞬間俺の体は金色の光に包まれた。次の瞬間鋭い風が吹きオオカミの体を切りつける。その拍子に俺の肩に置かれていた前足が緩んだ。
(何が起こったんだ。でも逃げるなら今だ)
俺は痛む肩を抑えながらオオカミを退けると罠のある方まで走る。オオカミも追いかけてくるが先程までの勢いがない。
(これなら大丈夫だ)
罠を避けて走り抜けると後ろでオオカミが罠に嵌った音がする。罠は昔からの定番の落とし穴だ。大きさとして2メートルぐらいだろうか。ケガもしているし俺と大きさの変わらないオオカミでは上がることは出来ない。
「よかった…」
あの途中の風はなんだったのだろうか。あの風のおかげで助かった。魔法のようなものだろうか
今すぐにでも確認したいが如何せん眠たい。俺は罠の近くにある木にもたれるように寝てしまった。
「…ラ!!ソラ!!ソラ!!」
俺を呼ぶ声がする。まだ眠たいのに。誰だよ…。なんとか重たいまぶたをゆっくりと持ち上げると心配そうな顔をしたリャドと父さんがいて、2人と目が合う。
「よかった…。生きてた…」
「ソラ!!こんな無茶をして、死んだらどうするんだ!!」
「ご、ごめんよ父さん」
リャドの泣きそうな声とは違い父さんは今にも殴りそうな勢いだ。手を上げたため殴られると身構えたが一向に叩かれることもなく、恐る恐る顔を上げると父さんの顔は泣きそうになっていた。
「お前に何かあったのではないかと心配したんだ。よかった」
そのまま父さんにゆっくりと抱きしめられる。こんな父さんは初めてみた。
今回はこれしか方法がないと思って動いたけど確かに軽率だった。死んでもおかしくない状況だったんだ。
「ごめんなさい父さん。リャドもゴメンな。怖かった、だろう…」
父さんの背中に手を回し謝る。父さんの後ろにいたリャドは未だ泣きそうな顔のままだ。リャドにも心配をかけただろう。俺はリャドにも謝るとそのまま意識を手放した。
いつでも殺れるから、じわじわと追い詰めて殺したいのだろう。なんて性格の悪い。
でもそう考えてくれているからこそ俺は助かってるし、目的の場所まで走ることが出来ているのだ。
(罠までもうちょっと…)
罠まであと数メートル。俺はもう大丈夫だと思った。思ったはずだけど次の瞬間には俺は仰向けに倒れており目の前にはオオカミがいた。肩にはオオカミの前足が置かれている
「な、んで…」
罠がバレたのだろうか。それとも狩りに飽きたのか。このままでは俺は殺されるだろう
(そんなのは嫌だ!まだ魔法も覚えてないし、神様の言ったように世界を見て回りたいのに)
オオカミの前足を退けようと身体に力を入れてもビクともしない。むしろ爪がくい込んでしまい服に血が滲んでいる。
「嫌だ!嫌だー!」
死にたくないと強く願った瞬間俺の体は金色の光に包まれた。次の瞬間鋭い風が吹きオオカミの体を切りつける。その拍子に俺の肩に置かれていた前足が緩んだ。
(何が起こったんだ。でも逃げるなら今だ)
俺は痛む肩を抑えながらオオカミを退けると罠のある方まで走る。オオカミも追いかけてくるが先程までの勢いがない。
(これなら大丈夫だ)
罠を避けて走り抜けると後ろでオオカミが罠に嵌った音がする。罠は昔からの定番の落とし穴だ。大きさとして2メートルぐらいだろうか。ケガもしているし俺と大きさの変わらないオオカミでは上がることは出来ない。
「よかった…」
あの途中の風はなんだったのだろうか。あの風のおかげで助かった。魔法のようなものだろうか
今すぐにでも確認したいが如何せん眠たい。俺は罠の近くにある木にもたれるように寝てしまった。
「…ラ!!ソラ!!ソラ!!」
俺を呼ぶ声がする。まだ眠たいのに。誰だよ…。なんとか重たいまぶたをゆっくりと持ち上げると心配そうな顔をしたリャドと父さんがいて、2人と目が合う。
「よかった…。生きてた…」
「ソラ!!こんな無茶をして、死んだらどうするんだ!!」
「ご、ごめんよ父さん」
リャドの泣きそうな声とは違い父さんは今にも殴りそうな勢いだ。手を上げたため殴られると身構えたが一向に叩かれることもなく、恐る恐る顔を上げると父さんの顔は泣きそうになっていた。
「お前に何かあったのではないかと心配したんだ。よかった」
そのまま父さんにゆっくりと抱きしめられる。こんな父さんは初めてみた。
今回はこれしか方法がないと思って動いたけど確かに軽率だった。死んでもおかしくない状況だったんだ。
「ごめんなさい父さん。リャドもゴメンな。怖かった、だろう…」
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