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新しい街
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しおりを挟む「この辺りだったよな」
ギルドを出て数分。地図と睨めっこをしながらキースさんに教えてもらった宿屋を探す。
「お、あれだな」
目の前に目的の場所を見つける。二階建ての木造の宿だ。少し汚れているが風情がある。
「失礼します」
扉を開けて中に入る。見た目と同じように中も木造だが外とは違い中はとても綺麗になっている。見た感じ食事処なのか丸テーブルと椅子がたくさんある。
「はいはーい。あら?小さい子ね。お客さん?」
「ち、ちいさい…」
奥から女の子が1人やってくる。見た目は俺よりも少し年齢が高いぐらいだと思う。俺を小さいと言っていたが、目の前の女の子は確かに身長が高い。俺は150cmぐらいあるとおもうけど、目の前の子は160cmはありそうだ。
「コラ!!サリア!お客さんになんてことを言うの!!」
「いた!!もう~お母さん」
呆然としていると奥からもう1人女の人が出てくる。サリアと呼ばれた子のお母さんみたいだ。サリアと変わらない身長で横にも幅がある。
「娘が失礼したね。アンタはお客さんかい?まだわかいようだけど」
「俺はソラです。ギルドのキースさんに教えてもらいました。ここには客としてしばらく泊まらせて欲しいんですけど、良いですか?」
「へぇ、キースの。なら冒険者ってことかい?」
「はい。といっても今日登録したばかりなので依頼を何もしてないですけど」
「そうかい。まだ若いのに頑張るねぇ。ところで何日泊まるんだい?」
「取り敢えず1ヶ月ぐらいを考えてます」
しばらくはこの街を拠点にし依頼をしていきたいと思ってるし、そのぐらい必要だろう。依頼で金を稼いでいけば宿代も払えるだろう。
「あいよ。朝夕の食事付きなら1日銀貨3枚、食事無しなら1日銀貨2枚だよ」
「食事付きでお願いします。お金は日払いでも良いですか?」
「いいけど、最初の1週間分だけは纏めて払ってもらえるかい?アンタを疑ってる訳じゃないけど、信用も兼ねてんだ」
「わかりました」
俺は1週間分の金貨2枚と銀貨1枚を渡す。食事付きで1日3000円くらいか。地球であればとても安いぞ。こんなに安く泊まれるのはやっぱり物価が地球とは全然違うんだろう。その辺もちゃんと勉強していかないとな。
「ちゃんと貰ったよ。今更だけど私はマーサでさっきの子は娘のサリア。もう1人旦那がいるんだけど料理のために厨房に籠ってることが多いからね。なにかあれば私かサリアに言いな」
「よろしくお願いします」
この場にサリアさんは居ない。先程のマーサさんに部屋の掃除をするように言われて2階に行ったからだ。
見た感じ1階は食事処で、2階は宿屋って所かな。汚くなければどんな部屋でもいいんだけど。
「お母さん。部屋の掃除終わったよ!!」
「ならソラ君を部屋に案内しな」
「わかった!ソラ君こっち!!」
俺はマーサさんに挨拶するとサリアさんについて2階へと上がった。案内されたのはベッドと机、クローゼットのある部屋だ。荷物もそんなに要らないし、このぐらいがちょうど良いだろう。
「それにしても冒険者って荷物少ないの?ソラ君そのカバン以外持ってないよね?」
「この街に来て買おうかと思ってたんです。荷物になると思って」
荷物は少しは持ってきてるけど、防具や武器は持っていないし嘘はついてない。一応家から少しだけ服を持ってきてるけど、アイテムボックスの事はあんまり言いふらさないでおこう。
「ソラ君冒険者になったってことは12歳以上なんでしょ?ならもっと気軽に話そうよ。私も12歳なんだ」
「えっと…わかった。よろしくサリア」
「よろしく!!ソラはこの街初めて?私が案内してあげる!!」
「でも仕事があるんだろ?」
「大丈夫よ。ねぇおかーさん!!ソラ君に街の案内してあげてもいいー?」
「いいけど、夜の営業までには戻ってくるんだよ」
「はーい!!」
サリアは部屋のドアから顔だけ出すと大きな声を出してマーサさんに話しかけている。マーサさんも大声を出しており俺にまで返事が聞こえる。
返事を聞いたサリアは満足そうに俺の顔を見ると、急いで俺の手を掴み走り出した。
俺はマーサさんに挨拶をするとサリアについて行く。
「ソラ君は行きたいところある?」
「取り敢えずキースさんに薦められたお店かな。武器と防具を買いたいし」
「なんてお店?」
「確かこのお店」
俺はギルドで購入した地図をカバンから取り出すとサリアに見せる。確かキースさんオススメのお店はこの当たりだった気がする。
「ならあそこね。ついてきて」
前を歩き出したサリアに着いていく。道中色んな話をした。サリアも12歳になったばかりで宿屋で仕事をしているらしい。あの宿はギルドからの紹介も多いらしい。たまに難癖つける冒険者もいるそうだが、サリアの父親が元冒険者らしく力でねじ伏せてるそうだ。
なんて男らしい…
「ここだよ」
サリアに案内された先には剣と盾の絵が描かれた白いレンガ調の建物が目の前にあった。
どうみても高そうな雰囲気がするんだけど。ここで所持金スッカラカンにはならないよね?
「本当にここで合ってる?高そうなんだけど」
「大丈夫。ほら入るよ」
意を決して建物の中に入る。外観通りに中も広く綺麗だ。それに防具も剣もたくさんある。
こういうのを見ると男心がくすぐられる。とてもワクワクする。
「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」
「あ、えっと、剣と鎧が欲しくて」
「見たところ冒険者になったばかりという感じですね。ではこちらに」
執事服のようなものを着た男の人に話しかけられる。見た感じが凄くセバスチャンっぽい。なんとなくだけど…
案内されたのは店の一角に無造作に置かれた剣や盾、鎧がある場所だ。
先程までは一つ一つ丁寧に置いてあったのに凄く差がある。
「こちらは街の無名の鍛治職人が作ったものです。安く手に入りますが効果の程は確証出来ません。有名な職人が作った武具は先程見ていただきましたが、あちらは最低でも金貨10枚からです。こちらは銀貨1枚から買えますので初心者にオススメでございます」
「ありがとうございます」
俺はセバスさん(仮)にお礼を言うと目の前の剣に目を向けた。そのまま鑑定をかけると武器名、攻撃力、耐久力などが表示される。
あまり攻撃力の高いものはなく、10ぐらいが平均だ。ちなみに素手で戦うと大体5ぐらいと思うといい。
俺はそのまま鑑定していると、一つだけ攻撃力の高い武器を見つける。
名前:ロングソード
攻撃力:100
耐久力:100
加護:耐久力上昇、攻撃力上昇
耐久力上昇:壊れにくくなる
攻撃力上昇:攻撃力が上昇する
これだけ能力値がすごく高い。作った人の名前は…あるかな。
俺は名前がないか確認すると持ち手のところに小さく名前が書いてある。ライドさんか。他にもこの人が作ったものがあるかもしれない。
俺は目の前の山からライドさんの名前が付いてあるものだけを鑑定できるようにする。
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追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
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