転生したら人間じゃなくて魔物、それもSSSランクの天狐だったんですが?

きのこすーぷ

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三話 モンスターハウスと扉

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 この洞窟には様々な種類の魔物が存在していた。
 初めて倒したニワトリ型の魔物に、スケルトンやスライム。さらにはコウモリの形をした魔物まで。
 あとは……気持ち悪かったけどミミズに似た魔物も居た。
 急に壁から出てきたときは、悲鳴を上げながら炎魔法を放ったっけ。
 あいつとはもう戦いたくない。

 だが、おかげでレベルは上がり、武器も手に入れることが出来た。
 武器はスケルトンが持っていた骨の剣だ。
 刃こぼれが酷いが、無いよりはマシだろう。
 既に何度か折れているが、スケルトンは定期的に沸いてくるために、そこまで困らない。
 スキルも少しだが増えた。

コハク 17歳 男? レベル:11
種族:狐族
ジョブ:天狐 ランクSSS
筋力:163 (+4)
体力:124 (+4)
耐性:115
敏捷:257 (+4)
魔力:218
魔耐:144
ユニークスキル:【 魂の吸収 ソウルアブゾーブ】【 理の知識 マネジリスト
スキル:炎魔法Lv3・土魔法Lv1・身体能力上昇Lv4・剣術Lv2・暗視・魔法耐性・毒耐性・変化

 土魔法はミミズ型の魔物、剣術はスケルトン、暗視はコウモリ、毒耐性はスライムだ。
 この中でも暗視は本当に助かった。暗い中を進むのは、すこし疲れるから。
 ステータスも軒並み上昇して、今では兵士くらいなら簡単に倒せるだろう。
 ただ、上昇値が不安定なのは、ハクア曰く、戦闘時の動きによって変わるからだそう。
 魔法をより扱えば、魔力が増える。といった感じだ。

 それと、かなり進歩したのが、僕はこの辺りの魔物もほぼ瞬殺出来るようになっていること。
 ただ、レベルが8を過ぎた辺りから、なかなかにレベルアップまでの時間が掛かるようになった。

 あと、最初に僕が目覚めた場所に似ている部屋がいくつかあった。
 あそこはセーフティーエリアと言って、魔物が入ってこない場所だとハクアに教えてもらった。
 正直、ニワトリの魔物で食糧を確保できても、水が無かったから困っていたのだ。
 喉が渇いて死にそうになったのは、今でも少しトラウマだったりする。

「よし、そろそろ移動しようかな」

 この洞窟で目を覚ましてそろそろ一ヶ月ほどだろうか。
 戦闘にも、かなり慣れてきた。
 もう血を見ても、怖じ気づいたりすることはないと思う。
 それだけでも、かなりの成長ではないだろうか?

「ねぇハクア。出口ってどこにあると思う?」
『申し訳ありません、今までに通ってきた道は全て記憶していますが、出口は私にも……』
「そっか。それじゃ、気ままに進んでいこうかな。上を目指せば、そのうち出られるだろうし」

 そう確信できているのは、この洞窟の至る所にあった人工物を見てきたからだ。
 矢が吹き出てきたり、天井が落ちてきたり、巨大な石が転がってきたり……。
 あぁ、思い出すだけで泣きたくなる。何度死にかけたことか……。
 ていうか、思考演算が無かったら絶対死んでたからね。
 
「そういえば、トラップの王道である落とし穴をまだ見てないなぁ」

 僕はそんなことを呟きながら立ち上がり、セーフティーエリアを後にした。


 ……そして数分後。
 そこには、先程の自分を殴りたいと思っている僕がいた。

「どうして、”落とし穴見てないよねフラグ”なんか立てたんだよ僕!」

 まだジンジンと痛むお尻をさすりながら、僕は叫んだ。
 あぁ、絶対登れないよこれ。
 遙か彼方に見える天井を見て、僕は思う。
 
「それにこの状況、結構まずいよね」

 視線を降ろして前を向けば、目の前には視界を埋め尽くさんばかりの魔物達。
 よく見れば、初めて見る魔物もいた。あれは、ゴブリンか?

『はい、あれはゴブリンです。そしてマスター、逃げ道は見当たりません。苦しいですが、戦うしかなさそうです』
「みたいだね……」

 怖い。本当なら逃出したい。だけど逃げ道なんてどこにも無い。
 恐怖に支配されたら死ぬ。そのくら僕でも分る。だったら僕は……っ!
 僕は、そっと目を瞑り覚悟を決める。

「よしっ、いくぞっ!」

 僕と魔物達との戦いが始まった。
 
 ――強く。
 僕は地面を蹴り上げる。

「グガアァァッ!」

 すれ違いざまに振り抜いた刀身。
 それだけで無数の魔物の死体が出来上がる。

 一閃。また一閃と僕は剣を振り抜いていき、置き去りにした魔物達のうめき声と、バサリと倒れる音が耳に届く。
 魔物達の返り血が、僕の身体を染め上げた。
 
 暖かい血の生臭い匂い。
 所々に出来ていく小さな傷。
 僕はぎりぎりで攻撃を回避しつつ切りつけていく。

 時には、炎で魔物を吹き飛ばし、焼き付けて。
 時には、魔物の首をはね飛ばし。
 時には、魔物を蹴り上げて。

 身体中に疲労が蓄積されていき、動きが鈍くなってきた。
 だが、ここで止まれば。

 間違いなく僕は死ぬ。

 だったら、死ぬまで身体を動かすしかないじゃないか!
 切る。切る。切る。
 切りつけていく!

 感覚を研ぎ澄まし、視界映った全て攻撃を捌いていく。
 烈風の一撃を打ち放ち、命を刈り取っていく。

 途中、何度も剣が折れた。
 だが、その度新たな剣を奪い攻撃に転じる。

 次第に視界に空間が映り込み始めた。
 魔物の密度が減ってきたか。
 僕は、疲労で倒れそうな身体に叱咤を入れ、動き続ける。
 そしてようやく――

「はぁ、はぁ、はぁ……これで、最後だぁぁぁっ!」
 
 ――戦いに終止符が撃たれた。
 身体はもう動かない。
 僕はその場に倒れ込み、荒い息を上げる。

 戦闘に集中していて気付かなかったが、身体中から血が流れていた。
 だが、傷は全て浅い。命に影響は無いようだ。
 よかった。

『マスター、流石です。魔物の気配を察知したらお声を掛けますので、今はごゆっくりお休みください』
「ありがとう、助かるよ。流石に、つか、れた……から」

 緊張感から解き放たれたからか、急に眠気が襲ってきた。
 魔力を使いすぎた事と、身体を酷使しすぎたせいだろう。
 もう目を開けていられない。
 疲労に身を任せ、目を瞑る。
 
 そのまま僕の意識は、暗闇に飲み込まれていったのだった。



 ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼ △



 地面の冷たい感触で、僕は目覚めた。身体はまだ怠いが、さっきほどではない。
 身体を起こし辺りを見渡せば、魔物の死体が転がっている。
 少しだけ嗚咽をしそうになったが、なんとか耐えた。

 魔物が全て倒れて初めて気付いたが、奥に扉がある。
 僕は少しよろけながら立ち上がり、その場に歩いて行く。

 石の扉には奇妙な文様が描かれていた。
 空から降ってくる少女と、それに手を伸ばす少年の絵が。
 これがどういう意味を示すのかは分らないが、僕は扉を開けるために、手を当てて力を込める。

「よいしょっ……」

 不思議と扉を開けることに不安は抱かなかった。
 いや……開けなければいけない。そういう使命感のような物を感じたのだ。
 この先に敵が居る可能性だってあっただろう。だけど僕は、かまわずに開けた。
 ハクアもさっきから何も言ってこないし、きっと僕と同じように何かを感じているか、問題ないと結論づけているのだろう。
 それに、何かが居たら、その時は……。

 ゴゴゴゴ……

 扉が重い音を立てながら開いていく。
 なかなか動かないなこの扉……。もうちょっとっ! よし、開いた!

 僕が通れる程の大きさまで開け、そっと中を覗く。
 真っ暗で何もないように見えるが、僕には暗視のスキルがある。
 部屋の中をくまなく凝視いくと、中心に巨大な柱が立っているのだが見えた。

「あれは、十字架?」

 いや、それだけでは無い。
 人型の何かが、鎖で拘束されている。

「誰か居るの……?」

 魔物がいないのを確認し、中に入っていく。

 僕は、明かりの代わりに炎を手のひらに浮かべ、ようやくその姿を確認した。
 そこには――




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