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2章

伝説の封印杖

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「あのう、お疲れのところ悪いんだけど、もう一回、ちょっとだけこの杖で祈祷してみてくれない? 悪いね~」

 両手で丁重に受け取り、首を捻りながら杖を見ている司教さんの肩に触れたよ。
 心の声が届いてくる。
 
『妙だ……、外見は全然変わってないが……聖なるパワーをヒシヒシと感じる』

 やっぱり、物のステータスは見れないんだね。
 でも、流石は司教さん、杖を持っただけで違いが分かるんだ。

 松明が消され、使徒たちが後片付けをし、奴隷たちがいそいそと服を着ているなか、司教さんひとりで祈祷を始めてくれたよ。
 良い人だね。

はらったま! きよったま! はらったま! きよったま!」 

 使徒たちが慌てて司教に習い祈祷を開始。
 奴隷たちはおろおろしている。

 5分ほどしてから暗黒色に染まる洞窟の入口、その結界が張られた部分に腕を伸ばしてみると、硬く冷たいコンクリートのような壁を感じたよ。
 ビニールのような感触だった以前を思えば、ずいぶん強くなったんじゃないかな。
 
 ちっとだけだったわりには、司教さんは1時間以上も祈祷をしたね。
 終えると、位の高そうな使徒5人がボロボロ涙をこぼし、司教さんに肩をさすられている。
 
「感激しました、大司教さまッ!」
「ついに極められたのですね」
「聖なるお力、見事で御座いますっ!」

「お? おお、そ、そうであるぞ、うむ」

 使徒たちがどんどん司教さんに集まってゆくよ。
 感動の場面みたい。すごいな~。

 
 ◆


 結界が強化されたよ。
 レベル1のモンスターでも出てこれないレベルまでね。

 使徒たちは司教さんの能力がアップしたからだと思っているよ。
 もちろんそれでOKだね。

 これで、もう、ヒトミさんたちは死ななくてすむ。
 よかった、よかった。

 使徒の輪を抜けた大司教さんが、目を潤ませ俺の手を両手で握った。心話だね。
 
『こ、この杖はいったい?!』

『あ~、詳しくは話せないよ』

『ヒジカタさまのおかげです。なんとお礼を述べたら良いか。素晴らしい杖にして頂き、本当にありがとうございますッ!!』

『気にしなくていいって~。それより、これから先その杖を使えば、簡単に結界を強化できるよ。生け贄なんて無用だから』

『もちろんです。もちろんですとも!』

 感激しているから、ついでに頼んでみたよ。
 奴隷を解放してくれないかってね。もちろん20名全員だよ。
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