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「お姉様!?」


「ガブリエル、ごめんなさい来るのが遅くなって。ああ、こんなに痩せてしまって

私のせいだわ。この姉を憎んでちょうだい。愚かな私のせいで大切な妹にこんな仕打ちをっ」



檻の向こうのガブリエルは、記憶の中のツヤツヤとした美しい肌も髪もボロボロになってしまっていた。お風呂にも入れていないのかしら。なんてひどい。





「泣かないで、お姉様。だって私、お姉様を助けたいんじゃなくて私の為に聖女になり変わろうとしたんだもの。」


「お互い様よ。貴女だけこんなっ」



涙が止まらなかった。

こうなることを考えなかったわけじゃない。いつかバレてしまうのではと恐れながらも、保身のためにガブリエルを利用してしまった。




「セイラ、泣かないで。僕なら貴方の妹を助けることが出来る。」


そう言うエルハルトの言葉に私は頷くことしか出来なかった。


実質的な力のない私がガブリエルを助ける為にはこの王太子に縋るしかないのだと悟った。



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