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お嬢様 討伐する 9
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クロームは左手でギュッと剣の柄を握りしめながら、そう感じた。
いや、そうとしか思えない。
自分の力量はわかっている。
それでも、あの頃の自分よりも、あの人達に近づいているのではないか。
そう思っていた。
この光景を見るまでは。
隙のない奇襲。
目を見張るような戦略。
魅力される戦い。
一体あの人達は自分達とは何が違うと言うのだ。
「あ・・・あのセラさん・・・。」
「・・・どうしましたか?」
(名前はあっているんだ。)
フェイが、この人の事を「セラ」だと呼んでいたので恐る恐る聞いてみたけど、間違いではなかった事に少しホッとした。
セラは、顔だけをクロームに向けているのだが無表情で、それがある意味恐ろしく感じる。
しかし、どうしても聞きたい事があるのだ。
クロームは思いきって口を開いた。
「ぐ・・・軍師様に会いたいのですが・・あ・・会うことは可能でしょうか!」
絶対にいる。
クロームは確信をした。
こんな戦いかたをするのは、あの軍師様だけなのだから。
そして、この人は知っている。
だからこそ聞きたのだ。
軍師様は一体誰なのかと。
「・・・・サジタリア様が知る必要などありません。」
「し・・・しかし・・・」
「会ってどうするおつもりですか?」
「どうって・・・。」
セラの返事が冷たく感じた。
完全に一線を引いて・・・いや、違う世界にいる見たいな距離を感じる。
きっとクロームがどう答えようとも、軍師様と会わせるつもりなどないのだろう。
しかし、クロームとて引く気などない。
あの出会いからずっと探し追い求めきたのだから。
「今の貴方様に、あのお方を近づける訳にはいきません。それとも力ずくで向かいますか?」
「どうして会えないのですか!!」
「会う必要などありません。」
「何故ですか!どうして貴女方は軍師様を隠そうとするのですか!俺はあのお方の側にいたい!好きなんです!」
もう、最後の方は自棄ヤケになった。
遠回しに伝えても無理だ。
きっと、どんな言葉を伝えてもセラは聞き流すと思う。
けど今、自分が思っていることの全てを言おう。
無様でもいい。
カッコ悪くてもいい。
そうしなければ、軍師様には二度と会えない。
後悔はしたくないのだ。
「お願いです!会わせて下さい!」
「お断り致します。」
「お願いします!」
「無理です。」
「お願いします!」
「だったらオレが何とかしようか?」
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