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お嬢様 平穏に過ごす10
しおりを挟む「ふ~ん・・・こっちが本当の姿みたいだね。アメリア嬢。初めてみるなぁ・・こんな令嬢。」
「全てが貴方の思う通りな女だとは思わないことですわね。」
「流石、イーゼス様の妹ってことか。」
「他の方に話されますか?」
「婚約の件、承諾してくれるのであれば、心の中に留めておくけどね。どう?」
これは脅しだ。
はたからみれば、アルトがアメリアに笑顔で求婚の申し込みをしているように見えるのだが、実際は『イーゼスの妹だと、ばらされたくなかったら、この婚約を受けろ』と脅している。
アルトの顔をチラリと見ると、断るはずがないと目が言っていた。
(私を脅すなんて100年早いのよ・・・。)
別にアメリアは他の人に自分がイーゼスの妹だと知られても構わなかった。
ゲームでは普通にイーゼスの妹だということはバレていたし、アメリアもいつかはバレるだろうと思っていたからだ。
それに、アメリアが一番隠さなければならないことは、自分が軍師であること。
それさえバレなければ大丈夫だ。
だから、アルトの求婚(おどし)なんてどうってことはない。
「さぁ、どうする?アメリア嬢。返事は?まぁ返事は決まって・・・」
「お断りいたしますわ。アルト様。」
「なっっっ!!バッ・・・バラしてもいいんだぞ・・・。」
「まぁ、貴方は出来ないと思いますけどね。」
「・・っ・・。」
図星みたいだ。
アルトはアメリアに反論が出来ず、ただ顔を歪めるだけ。
何も言葉が出ない。
「他の方になんと話されますか?実はあの討伐は殿下ではなく、わが兄がやったと言いますか?・・・臣下として言えませんよね?オーガスタ殿下をはずかしめることになりますから・・・」
そうなのだ。
学園内ではオーガスタ殿下が盗賊を倒したと言うことになっている。
そんな話の中に、実はオーガスタ殿下ではなく他の人が倒したなどと言えば、オーガスタ殿下の評判を落とすことになる。
王家をおとしいれようとする家となれば分かるが、アルトは宰相家のご子息。
宰相家の者が、王家を評判をおとすことなど出来ないのだ。
「くくっ・・。痛い所をつくね・・アメリア嬢。」
「ふふっ。さっきのお返しですわ。」
(・・・へ、ザマーミロ。)
そう言ってアメリアは、令嬢らしくニッコリと笑顔をみせる。
「・・・ここは一旦去った方がいいかも知れないね。」
「うふふ。賢明なご判断ですわ。」
(・・・と言うより関わらないでほしい!)
「まだ、諦めていないから、そのつもりで。」
アルトはそのまま、アメリアに「アデュー。」と言って、この温室を去った。
・・・数分後。
「・・・あーーーーー、もう無理だわ!」
アメリアは、アルトが温室から去ってから数分後いきなり大声をだした。
相当、ストレスが溜まっているのだ。
いや、アルトのせいで、さらに溜まってしまった。
「なにがアデューよ!お前はナルシストかっ!婚約なんてするか、バーカバーカ!今度、会ったら塩撒いてやる!」
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