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幕間 マリアside 2
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マリアside
「マリア。最近どうだい?楽しく過ごしているのか?」
「はい、お義父様。毎日が楽しいです。」
「それは、良かった。」
「でも、ちょっと勉強が難しくて・・・。ごめんなさい、わがまま言って・・」
「そんなことはないよ。マリアは私の娘なのだから、どんどん話てくれると嬉しいよ。」
「本当!ありがとう、お義父様。」
お義父様の養女になって数年。
マリアは今年で16才になりました。
名前も只のマリアから、お義父様の姓であるボルソをつけて、マリア・ボルソと名乗っている。
でも、まだ家名をなのる事が慣れていなくて、名前を聞かれても「マリアと言います。」と、つい言ってしまう事が多い。
本来であれば、家名を名乗らない者は相手に対して失礼だと思われても仕方がないのだが、マリアを溺愛しているマロッチェオは指摘などはしなかった。
「やはり女の子っていうのはいいよね。可愛いし、花がある。我がボルソ家は騎士貴族だから男が多くて、むさ苦しいと思っていた事もあったのだよ。」
「そんな・・・可愛いだなんて・・。」
「はっはっはっ。」
ボルソ家はセイント王国の中で、騎士貴族に分類される貴族で、昔は数多くの騎士を出したりして、その中には将軍までなった人までいるとお義父様から聞いたけど、今は一般兵士で止まっていて、戦で大きな手柄もたてられず、過去の永劫となってしまった。
今現在のボルソ家は、領地に小麦、じゃがいも等のいも類などを主に生産しており、それで生計を立てている。
一応、海に面してはいる土地なのだが崖が多く、港として使うことが出来ない。
鉱山とかの山もないので、簡単に言ってしまえば、広大な平野だと思った方がいい。
「これで、ヴィクトリア領に勝ればいいのだけどね・・・。」
「ヴィクトリア領??」
「あぁ、すまないマリア。不安にさせてしまったか・・・。」
「いえ、大丈夫です。そのヴィクトリア領って確か隣の領地ですよね・・・。」
「よく知っていたね。」
「はい。以前、家庭教師のリータ先生が話していました。」
ヴィクトリア領
セイント王国の中でも、貿易が盛んな領地だと聞いている。
盛んだと言っても、セイント王国一を誇るブライト商会よりは有名ではないが、ちょっとは名の知れた商人貴族だ。
実は言うとボルソ家の当主 マロッチェオ・ボルソと隣のアメリア達の父は年が近く、昔から仲は良くない。
というよりは、マロッチェオ自身が気に入らないだけなのだ。
それもそうだろう。
多くの英雄を出したボルソ家は今や過去の産物。
ボルソ家に代々伝わる剣術だって形だけで、実戦で通じるかどうか・・。
領の名誉を上げようと、数年前に出陣をしたが同盟国の裏切りによって、逃げるのに精一杯。活躍が出来ずに終わった。
これはボルソ家だけではなく、多くの騎士貴族が苦汁をなめさせられた。
だか、隣のヴィクトリア領は違う。
商人貴族のクセにボルソ家より有名なヴィクトリア家。
王都でボルソ領の話をしても「ボルソ領?あぁ、ヴィクトリア領のとなりにある」としか認識はないのだ。
しまいには騎士貴族であることさえ忘れ去られる。
「・・・ヴィクトリア領は本当に羨ましいよ。山も海もあって貿易だって盛んだ。我が領になればいいのに・・・。」
「お義父様、何か言った?」
「すまない、マリア。ただのひとり言だよ。」
マリアは何も言えなかった。
これ以上、何を言ってもはぐらかされてしまいそうだから。
領地のことは正直に言ってわからない。
わからないけど、お義父様がつらいのは分かる。
この国が大変だということもわかる。
(何か私が出来ることをしなきゃ・・・)
お義父様の為に。
領民の為に。
この国の為に。
(私がこの国を、セイント王国を救うんだ。)
マリアは持っていたナイフとフォークをキュッと握りしめた。
「マリア。最近どうだい?楽しく過ごしているのか?」
「はい、お義父様。毎日が楽しいです。」
「それは、良かった。」
「でも、ちょっと勉強が難しくて・・・。ごめんなさい、わがまま言って・・」
「そんなことはないよ。マリアは私の娘なのだから、どんどん話てくれると嬉しいよ。」
「本当!ありがとう、お義父様。」
お義父様の養女になって数年。
マリアは今年で16才になりました。
名前も只のマリアから、お義父様の姓であるボルソをつけて、マリア・ボルソと名乗っている。
でも、まだ家名をなのる事が慣れていなくて、名前を聞かれても「マリアと言います。」と、つい言ってしまう事が多い。
本来であれば、家名を名乗らない者は相手に対して失礼だと思われても仕方がないのだが、マリアを溺愛しているマロッチェオは指摘などはしなかった。
「やはり女の子っていうのはいいよね。可愛いし、花がある。我がボルソ家は騎士貴族だから男が多くて、むさ苦しいと思っていた事もあったのだよ。」
「そんな・・・可愛いだなんて・・。」
「はっはっはっ。」
ボルソ家はセイント王国の中で、騎士貴族に分類される貴族で、昔は数多くの騎士を出したりして、その中には将軍までなった人までいるとお義父様から聞いたけど、今は一般兵士で止まっていて、戦で大きな手柄もたてられず、過去の永劫となってしまった。
今現在のボルソ家は、領地に小麦、じゃがいも等のいも類などを主に生産しており、それで生計を立てている。
一応、海に面してはいる土地なのだが崖が多く、港として使うことが出来ない。
鉱山とかの山もないので、簡単に言ってしまえば、広大な平野だと思った方がいい。
「これで、ヴィクトリア領に勝ればいいのだけどね・・・。」
「ヴィクトリア領??」
「あぁ、すまないマリア。不安にさせてしまったか・・・。」
「いえ、大丈夫です。そのヴィクトリア領って確か隣の領地ですよね・・・。」
「よく知っていたね。」
「はい。以前、家庭教師のリータ先生が話していました。」
ヴィクトリア領
セイント王国の中でも、貿易が盛んな領地だと聞いている。
盛んだと言っても、セイント王国一を誇るブライト商会よりは有名ではないが、ちょっとは名の知れた商人貴族だ。
実は言うとボルソ家の当主 マロッチェオ・ボルソと隣のアメリア達の父は年が近く、昔から仲は良くない。
というよりは、マロッチェオ自身が気に入らないだけなのだ。
それもそうだろう。
多くの英雄を出したボルソ家は今や過去の産物。
ボルソ家に代々伝わる剣術だって形だけで、実戦で通じるかどうか・・。
領の名誉を上げようと、数年前に出陣をしたが同盟国の裏切りによって、逃げるのに精一杯。活躍が出来ずに終わった。
これはボルソ家だけではなく、多くの騎士貴族が苦汁をなめさせられた。
だか、隣のヴィクトリア領は違う。
商人貴族のクセにボルソ家より有名なヴィクトリア家。
王都でボルソ領の話をしても「ボルソ領?あぁ、ヴィクトリア領のとなりにある」としか認識はないのだ。
しまいには騎士貴族であることさえ忘れ去られる。
「・・・ヴィクトリア領は本当に羨ましいよ。山も海もあって貿易だって盛んだ。我が領になればいいのに・・・。」
「お義父様、何か言った?」
「すまない、マリア。ただのひとり言だよ。」
マリアは何も言えなかった。
これ以上、何を言ってもはぐらかされてしまいそうだから。
領地のことは正直に言ってわからない。
わからないけど、お義父様がつらいのは分かる。
この国が大変だということもわかる。
(何か私が出来ることをしなきゃ・・・)
お義父様の為に。
領民の為に。
この国の為に。
(私がこの国を、セイント王国を救うんだ。)
マリアは持っていたナイフとフォークをキュッと握りしめた。
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