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燃えゆく者
しおりを挟む「・・・・どうして」
目の前で燃えてるのは、いったい誰だろう。
焦げ臭い匂いの他に鼻の奥で留まって、ずっとそこから抜けきらない不愉快な何かが幼い少年の視界を歪ませていた。
「・・お、お母さん・・・お父さん・・・」
彼らはどこに居る?ついさっきまで確かにこの目で見た気がするのに、少しだけ森の中に遊びに行って家に戻ってきたらこんな有り様。
「誰か・・・誰かー!!!!」
ようやく腹から出した叫び声は、木目状の家が焼け落ちる音に紛れてあっけなく消えてしまった。
この日、9歳の誕生日をむかえた少年は、家族を失った。
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