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出会い
女子高生達
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私は高1の秋に親の仕事の都合で引っ越しをし、関西から都内の高校に転校した。
(転校生とか憧れやで、ワクワクするわ)
そんな思いで『フロマージュ学園』に転校したが、基本エスカレータ式で小学校から続く中に転校生としてやってきた私を受け入れてもらえるわけもなく、私は浮いていた。元々、私立で育ちが良い人が通うため、私と合わなかったのもある。
(他に受けれる高校もなかったし仕方ないけど、中退なんてしとーなし頑張ろ)
転校してから数週間が立つ。私は昼休みいつも食べている屋上に向かう。少し涼しくなってきたせいか、屋上で昼食をとる人達はほとんどいない。だが今日はいつも食べている屋上のベンチに先客がいた。座っていた女の子と視線が合う。
女の子は泣いていた――
「なんかあったんか?あんた」
なんとなく声をかけてしまった。
「ふふ、変な話し方をするのですね」
涙を拭きながら少女は笑う。サラサラの前髪を大きなピンで止め、可愛らしい笑顔をしていた。
「まあ、転校生やからな。この口調で全くなじめへんから、ここでぼっち飯やわ」
女の子の隣に座り、お弁当をあける。学年で制服のリボンが分かれるのだが同じ色なので同級生だろう。
「なら明日から私達と食べましょ?他にも友達もいますが、一人がお好きというわけではないんでしょ?」
「ええんか?」
「ええ、もちろん。これも何かの縁です。私は1年C組の莉乃花です」
「1年B組の詩音や」
次の日、莉乃花との昼食で凛、玲奈、麻里、翔子と出会う。
2年生に上がる時には、6人皆同じクラスとなった。莉乃花達のおかげで、周りとも少しずつ打ち解けあい、楽しい学校生活を送れるようになった。
「いまのうちがあるのは莉乃花のおかげやなぁ」
「詩音はいつも大げさね」
「それがうちやからな!」
いつも通りの帰り、こんな日がいつまでも続いたらいいなと思った。
それからの学校生活は、6人で修学旅行に文化祭と・・・・・・青春を謳歌した。
3年生になり無事にみんな大学が決まった。ある日の休み莉乃花以外の5人がファミレスに集まる。
「最近、莉乃花忙しいのかなぁ」
「休みほとんど来なくなったね」
「何してるんだろ」
「ってあれ莉乃花やない!?」
向かいのコンビニで外掃除をしている莉乃花を見つける。誰も働いているのを知らなかったのか驚いた顔で、コンビニの方に顔を向ける。
そして凛が真っ先に向かおうとするのを麻里が止める。
「バイト中だし、また今度話を聞きましょ?」
その日はそのまま解散となる。そして卒業式が近づく頃、6人が集まるタイミングがあった。
「莉乃花こないだバイトしているの見たんだけど・・・・・・急にどうしたん?」
「見られちゃったか」
見られたことが恥ずかしかったのか舌をペロっと出す。少し考える素振りを見せ、莉乃花が口を開く。
「みんなごめんね。私大学行けなくなったんだ。父の会社が倒産して、両親が夜逃げしちゃって私が借金の肩代わりになっていたみたいで・・・・・・・」
震えている肩に手を伸ばして私は聞く。
「いくらなんや?」
「1億円だよ――」
その金額にみんなが目を開く。私もそんなアホみたいな金額が口から出るとは思っていなかった。次の莉乃花の言葉でさらに驚く。
「返済期間が後3年なんだよね。払えなかったらみんなともう会えなくなると思う。だけどそれまでは皆と一緒にいたいかな私・・・・・・その後は私のこと忘れて?都合いいことはわかってるけどね」
絶句だった。
(なんやそれ。3年で1億とか無理やんけ)
額が額だったため、気休めさえ誰も言えなかった。今までの生活が嘘だったように消えていく感覚になる。
凛と玲奈は突然のことに泣き出す。
「私達友達じゃない、もっと早く相談してくれてもよかったのに!」
「麻里、受験もあったんだよ。莉乃花の気持ちも考えてあげて?」
「翔子、ありがとう」
真っ赤な目をした、麻里の目から涙が落ちる。
「それじゃ私これからバイトなんだ。今日聞いたことは忘れて?また集まろうね。じゃあね」
そう言って莉乃花が去っていく。その背中に掛ける言葉がでてこない。最初に出会った時に泣いていた莉乃花の顔が浮かんだ。
無力な女子高生5人が残る。その後はみんなが泣き止んだタイミングで解散となった。
それからなんとなく集まる事が減り、久しぶりに4人の顔が見られたのは卒業式後の日だった。莉乃花はいない。
「久しぶりー」
「卒業式まで学校では一緒にいたけどね」
「けどなんか久しぶりな感じはしますね」
それぞれに思うことはあるだろうが莉乃花の話はせず、ウインドーショッピングを楽しみ、今5人でカフェにいる。
「詩音、携帯光ってるよー」
「ほんまやな、てかみんなのも同じように光ってんで。何かのメッセージかいな?」
携帯を除くとそこには・・・・・・
「異世界救ってくれませんか?」の文字がある。「はい」「いいえ」のボタンもついていた。
「なんやこれ、うちで救える世界なら救ってやるわ」
その声に「確かに」「うんうん」とそれぞれ口にしながら、「はい」のボタンを押した。
そこから私ら女子高生5人の魔王討伐への道が始まった――
(転校生とか憧れやで、ワクワクするわ)
そんな思いで『フロマージュ学園』に転校したが、基本エスカレータ式で小学校から続く中に転校生としてやってきた私を受け入れてもらえるわけもなく、私は浮いていた。元々、私立で育ちが良い人が通うため、私と合わなかったのもある。
(他に受けれる高校もなかったし仕方ないけど、中退なんてしとーなし頑張ろ)
転校してから数週間が立つ。私は昼休みいつも食べている屋上に向かう。少し涼しくなってきたせいか、屋上で昼食をとる人達はほとんどいない。だが今日はいつも食べている屋上のベンチに先客がいた。座っていた女の子と視線が合う。
女の子は泣いていた――
「なんかあったんか?あんた」
なんとなく声をかけてしまった。
「ふふ、変な話し方をするのですね」
涙を拭きながら少女は笑う。サラサラの前髪を大きなピンで止め、可愛らしい笑顔をしていた。
「まあ、転校生やからな。この口調で全くなじめへんから、ここでぼっち飯やわ」
女の子の隣に座り、お弁当をあける。学年で制服のリボンが分かれるのだが同じ色なので同級生だろう。
「なら明日から私達と食べましょ?他にも友達もいますが、一人がお好きというわけではないんでしょ?」
「ええんか?」
「ええ、もちろん。これも何かの縁です。私は1年C組の莉乃花です」
「1年B組の詩音や」
次の日、莉乃花との昼食で凛、玲奈、麻里、翔子と出会う。
2年生に上がる時には、6人皆同じクラスとなった。莉乃花達のおかげで、周りとも少しずつ打ち解けあい、楽しい学校生活を送れるようになった。
「いまのうちがあるのは莉乃花のおかげやなぁ」
「詩音はいつも大げさね」
「それがうちやからな!」
いつも通りの帰り、こんな日がいつまでも続いたらいいなと思った。
それからの学校生活は、6人で修学旅行に文化祭と・・・・・・青春を謳歌した。
3年生になり無事にみんな大学が決まった。ある日の休み莉乃花以外の5人がファミレスに集まる。
「最近、莉乃花忙しいのかなぁ」
「休みほとんど来なくなったね」
「何してるんだろ」
「ってあれ莉乃花やない!?」
向かいのコンビニで外掃除をしている莉乃花を見つける。誰も働いているのを知らなかったのか驚いた顔で、コンビニの方に顔を向ける。
そして凛が真っ先に向かおうとするのを麻里が止める。
「バイト中だし、また今度話を聞きましょ?」
その日はそのまま解散となる。そして卒業式が近づく頃、6人が集まるタイミングがあった。
「莉乃花こないだバイトしているの見たんだけど・・・・・・急にどうしたん?」
「見られちゃったか」
見られたことが恥ずかしかったのか舌をペロっと出す。少し考える素振りを見せ、莉乃花が口を開く。
「みんなごめんね。私大学行けなくなったんだ。父の会社が倒産して、両親が夜逃げしちゃって私が借金の肩代わりになっていたみたいで・・・・・・・」
震えている肩に手を伸ばして私は聞く。
「いくらなんや?」
「1億円だよ――」
その金額にみんなが目を開く。私もそんなアホみたいな金額が口から出るとは思っていなかった。次の莉乃花の言葉でさらに驚く。
「返済期間が後3年なんだよね。払えなかったらみんなともう会えなくなると思う。だけどそれまでは皆と一緒にいたいかな私・・・・・・その後は私のこと忘れて?都合いいことはわかってるけどね」
絶句だった。
(なんやそれ。3年で1億とか無理やんけ)
額が額だったため、気休めさえ誰も言えなかった。今までの生活が嘘だったように消えていく感覚になる。
凛と玲奈は突然のことに泣き出す。
「私達友達じゃない、もっと早く相談してくれてもよかったのに!」
「麻里、受験もあったんだよ。莉乃花の気持ちも考えてあげて?」
「翔子、ありがとう」
真っ赤な目をした、麻里の目から涙が落ちる。
「それじゃ私これからバイトなんだ。今日聞いたことは忘れて?また集まろうね。じゃあね」
そう言って莉乃花が去っていく。その背中に掛ける言葉がでてこない。最初に出会った時に泣いていた莉乃花の顔が浮かんだ。
無力な女子高生5人が残る。その後はみんなが泣き止んだタイミングで解散となった。
それからなんとなく集まる事が減り、久しぶりに4人の顔が見られたのは卒業式後の日だった。莉乃花はいない。
「久しぶりー」
「卒業式まで学校では一緒にいたけどね」
「けどなんか久しぶりな感じはしますね」
それぞれに思うことはあるだろうが莉乃花の話はせず、ウインドーショッピングを楽しみ、今5人でカフェにいる。
「詩音、携帯光ってるよー」
「ほんまやな、てかみんなのも同じように光ってんで。何かのメッセージかいな?」
携帯を除くとそこには・・・・・・
「異世界救ってくれませんか?」の文字がある。「はい」「いいえ」のボタンもついていた。
「なんやこれ、うちで救える世界なら救ってやるわ」
その声に「確かに」「うんうん」とそれぞれ口にしながら、「はい」のボタンを押した。
そこから私ら女子高生5人の魔王討伐への道が始まった――
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