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そんな中で事故は起こったのだけど、それはいつでも起こり得る事故だった。
採取中に魔物に襲われたのだ。
魔素の乱れによって普段は現れない場所に魔物が出現することがある、というのはこの地に住むものならだれでも知っている。
周期的なものと突発的に発生するものがあるが後者はまず予測できない。
迷宮の森の浅い場所、人の手が入れられていて樹間もまばらな場所だ。人の出入りも多く普通ならまず安全であり、その日も何人かの採取者が立ち入っていた。
俺が違和感を感じとるのと、少し遠くで悲鳴が上がったのはほぼ同時だった。
俺は逃げるより魔物を追い払う態勢に入っていた。
最近では魔狐や魔猫程度なら対処できるようになっていた。油断していた。
現れたのは黒い獣だった。中型の魔熊だ。
逞しい巨体がすさまじい勢いで走ってくる。足音が重い。目は赤く光り、黒い毛皮の表面で火花のように魔素がはじけた。
暴走状態だ。口から泡を吹きながら一人の男を追いかけている。
彼は逃げきれない。考える前に体が動いた。
俺は咄嗟にボディバッグを探ると、一枚の札を取り出した。いつかギルド職員に勧められて買った炎の札だ。
詠唱と共に魔術文字が展開される。火の玉が二発、勢いよく魔熊に飛ぶ。ぶつかると大きくはじけ、転がすように吹き飛ばした。
「逃げろ!」
俺は叫んだ。男は足をもつれさせ、泣きわめきながら逃げた。
俺は棒を構えると魔熊を睨んだ。それの標的は既に俺だった。素早い動きで起き上がると立ち上がって咆哮を上げた。
体長は二メートルほどもある。鋭い爪と牙が見える。血の匂いがする。既に誰かを傷つけている。
明確な殺意にあてられる。嫌な汗が流れた。息が乱れた。気圧された。後悔した。
俺は敗北を意識した。魔熊はそれを察した。巨体がうねる。攻撃の予備動作だ。
何か小さなものが魔熊にぶつかったのはその時だった。
俺は反射的にその方向を見る。人影が大きく息をつきながら、魔熊を睨みつけているのを見る。
レオだ。
レオは声も出ないようだった。それでも二本目のナイフを投げた。魔熊にぶつかったのは投擲用のナイフだった。一本目は浅く刺さっていたが、二本目はぶつかって落ちただけだった。
魔熊もレオを見た。バチバチと魔素がはじけた。
「レオ!」
魔熊の標的は瞬時にレオに切り替わった。真っ黒い巨体が飛ぶ。俺は頭の奥で、なにかがおちる音を聞く。
ペンダントを引きちぎる。小瓶になっているものだ。コルク栓を歯で引き抜き、中の液体を一気にあおった。
魔熊のレオへの攻撃と俺の魔熊への攻撃はほぼ同時だった。
いや、一瞬レオへの攻撃が早かった。
レオの体が吹き飛ぶ。血の匂いが濃くなる。俺は怒りに任せ、魔熊の胴を薙ぎ払った。ひどい反動がある。棒は大きくたわみ、しかし折れずに魔熊をよろめかせた。
魔法薬の力だ。強力なドーピング剤は、持続時間は短く副作用もあるが、身体能力を大きく底上げしてくれる。武器強化は身体強化の延長だ。
思わぬ攻撃に魔熊がひるむ。俺は咄嗟に距離を取ると、二枚目の札をさぐった。赤字だ。頭の中にひどく冷静な部分がある。
詠唱と共に光の文字が展開される。俺は本能的にそれを突き、魔熊の身体に叩き込んだ。
電撃が魔熊を覆う。咆哮には怒りではなく悲嘆がある。追撃で鼻をなぐり、ひるんだところで喉をついた。魔熊の動きが緩慢になる。素早く魔熊に近接する。突き刺さっていたナイフを抜くと、下あごから一気に突き上げた。
魔熊は音を立てて地に沈んだ。
倒した。そう思ったとたん、強い疲労が襲ってくる。
血が下がり倒れそうになるが、まだやることが残っている。自分で自分の頬を張り、レオにかけ寄った。
血の匂いが濃い。レオは生きていた。同時に死にかけている。
俺はバッグを探ると鋏を取り出し、その部分の服を鋏で切った。ひどい傷だった。大丈夫、死なない、大丈夫、俺が助ける、だから死なない、レオは死なない、心の中で呟きながら、三本、劣化版の中級回復薬を取り出す。それぞれ成分が違う。教科書の通りなら掛け合わせれば相応の成果があるはずだ。
傷口に直接三本分の薬をかける。呪文を唱えながら両手でぎゅっと押さえつける。あとはひたすら呪文を唱えた。
途中から記憶がない。
気が付くと俺は迷宮前の救護院のベッドに寝かされていた。
誰かが運んでくれたらしい。それなりの時間寝かされていたようで、窓の外はすっかり夜になっていた。
寝かされている部屋は別だったがレオは無事とのことだった。安堵からため息がこぼれた。
重い疲労と頭痛があったが想定内の副作用だ。医者の診察でもそれ以外に問題はなかった。
すぐにギルド職員からの聞き取りがあった。
ギルドではこういった「ゆらぎ」つまり魔素異状に関わる事故の情報を、記録分析することで、今後に役立てているのだという。
死傷者は現時点で十数人ほどが確認されており、あの魔熊はレオのほかに二人を傷つけていた。うち一人は死亡したとのことだ。
「男性を一人助けたとのことですが、今のところ申告はありません。顔を覚えていますか?」
職員は淡々と尋ねた。努めて感情を押さえているように見える。年配の男性だ。
「……いいえ、必死でしたので」
「では、使用した魔術札の請求はできませんね。どちらにしても相手には支払い義務はありません。しかし、命の借りは返せるうちに返す、それが冒険者流であることは、ノアさんは覚えておいた方がいいでしょう。今回被害が抑えられたのはノアさんのおかげもあるでしょう。功績を考えてランクアップも検討されましたが、今回は保留となりました」
ギルド職員はいったん言葉を切った。
「経験の浅い冒険者に勘違いをしてほしくないからです」
言い方は淡々としたものだったが内容は強かった。そこに非難を感じ取り、俺は軽いショックを受けた。
「ノアさんがされたことは無謀です。E級の初級魔法薬師が魔熊に挑むなんてことはギルドとしては推奨できることではありません。それは戦闘職の仕事です。確かにノアさんは魔熊を倒せましたが、お話を聞いた限りでは確信を持って挑んだわけではない。逃げるべきでした。見方を変えればノアさんは逃げた男の代わりにレオさんを巻き込み、怪我を負わせたようなものです」
俺は言い返せなかった。彼の言うとおりだった。
「あなたにはあなたの仕事があるはずです。劣化中級魔法薬を使ったとのことですが、状況を見ればそれが嘘ではないこともあなたが優秀であることもわかります。人助けがしたいなら戦闘よりそのスキルでのほうがよほど救えるでしょう。……それはそうとしても、魔熊はまぐれで殺せる魔物ではありません。ランクアップは見送られましたがノアさんには条件付きでの迷宮立ち入り許可が出されました。また、倒した魔熊はあなたの功績になります。すでに解体に回していますが、よろしければこちらで買い取りも可能です。討伐報酬も出ますし、あのレベルなら魔石も持っているはずです。今回使った魔術札分を引いてもかなりの利益が出るでしょう。……命はお金では買えませんが」
ギルド職員は念を押すように付け加えた。
「……魔熊の買取についてはギルドに任せます。細かいことは明日話をさせてください。……レオに、会えますか?」
「あなたたち以外にも何人もここに運び込まれています。気持ちはわかりますが、手間を取らせたくありません。……この時間ですから、今日はここに泊まってください。明日になれば状況も落ち着いているはずですから、レオさんに会えるはずです」
職員は淡々と答えた。彼は悲劇に慣れているのだろう。ふと思った。
ずいぶんきついことを言われているとも思ったが怒りはわかなかった。こんなことを言わせて申し訳ないような気はした。その感情もあいまいだった。俺はひどく疲れていた。
採取中に魔物に襲われたのだ。
魔素の乱れによって普段は現れない場所に魔物が出現することがある、というのはこの地に住むものならだれでも知っている。
周期的なものと突発的に発生するものがあるが後者はまず予測できない。
迷宮の森の浅い場所、人の手が入れられていて樹間もまばらな場所だ。人の出入りも多く普通ならまず安全であり、その日も何人かの採取者が立ち入っていた。
俺が違和感を感じとるのと、少し遠くで悲鳴が上がったのはほぼ同時だった。
俺は逃げるより魔物を追い払う態勢に入っていた。
最近では魔狐や魔猫程度なら対処できるようになっていた。油断していた。
現れたのは黒い獣だった。中型の魔熊だ。
逞しい巨体がすさまじい勢いで走ってくる。足音が重い。目は赤く光り、黒い毛皮の表面で火花のように魔素がはじけた。
暴走状態だ。口から泡を吹きながら一人の男を追いかけている。
彼は逃げきれない。考える前に体が動いた。
俺は咄嗟にボディバッグを探ると、一枚の札を取り出した。いつかギルド職員に勧められて買った炎の札だ。
詠唱と共に魔術文字が展開される。火の玉が二発、勢いよく魔熊に飛ぶ。ぶつかると大きくはじけ、転がすように吹き飛ばした。
「逃げろ!」
俺は叫んだ。男は足をもつれさせ、泣きわめきながら逃げた。
俺は棒を構えると魔熊を睨んだ。それの標的は既に俺だった。素早い動きで起き上がると立ち上がって咆哮を上げた。
体長は二メートルほどもある。鋭い爪と牙が見える。血の匂いがする。既に誰かを傷つけている。
明確な殺意にあてられる。嫌な汗が流れた。息が乱れた。気圧された。後悔した。
俺は敗北を意識した。魔熊はそれを察した。巨体がうねる。攻撃の予備動作だ。
何か小さなものが魔熊にぶつかったのはその時だった。
俺は反射的にその方向を見る。人影が大きく息をつきながら、魔熊を睨みつけているのを見る。
レオだ。
レオは声も出ないようだった。それでも二本目のナイフを投げた。魔熊にぶつかったのは投擲用のナイフだった。一本目は浅く刺さっていたが、二本目はぶつかって落ちただけだった。
魔熊もレオを見た。バチバチと魔素がはじけた。
「レオ!」
魔熊の標的は瞬時にレオに切り替わった。真っ黒い巨体が飛ぶ。俺は頭の奥で、なにかがおちる音を聞く。
ペンダントを引きちぎる。小瓶になっているものだ。コルク栓を歯で引き抜き、中の液体を一気にあおった。
魔熊のレオへの攻撃と俺の魔熊への攻撃はほぼ同時だった。
いや、一瞬レオへの攻撃が早かった。
レオの体が吹き飛ぶ。血の匂いが濃くなる。俺は怒りに任せ、魔熊の胴を薙ぎ払った。ひどい反動がある。棒は大きくたわみ、しかし折れずに魔熊をよろめかせた。
魔法薬の力だ。強力なドーピング剤は、持続時間は短く副作用もあるが、身体能力を大きく底上げしてくれる。武器強化は身体強化の延長だ。
思わぬ攻撃に魔熊がひるむ。俺は咄嗟に距離を取ると、二枚目の札をさぐった。赤字だ。頭の中にひどく冷静な部分がある。
詠唱と共に光の文字が展開される。俺は本能的にそれを突き、魔熊の身体に叩き込んだ。
電撃が魔熊を覆う。咆哮には怒りではなく悲嘆がある。追撃で鼻をなぐり、ひるんだところで喉をついた。魔熊の動きが緩慢になる。素早く魔熊に近接する。突き刺さっていたナイフを抜くと、下あごから一気に突き上げた。
魔熊は音を立てて地に沈んだ。
倒した。そう思ったとたん、強い疲労が襲ってくる。
血が下がり倒れそうになるが、まだやることが残っている。自分で自分の頬を張り、レオにかけ寄った。
血の匂いが濃い。レオは生きていた。同時に死にかけている。
俺はバッグを探ると鋏を取り出し、その部分の服を鋏で切った。ひどい傷だった。大丈夫、死なない、大丈夫、俺が助ける、だから死なない、レオは死なない、心の中で呟きながら、三本、劣化版の中級回復薬を取り出す。それぞれ成分が違う。教科書の通りなら掛け合わせれば相応の成果があるはずだ。
傷口に直接三本分の薬をかける。呪文を唱えながら両手でぎゅっと押さえつける。あとはひたすら呪文を唱えた。
途中から記憶がない。
気が付くと俺は迷宮前の救護院のベッドに寝かされていた。
誰かが運んでくれたらしい。それなりの時間寝かされていたようで、窓の外はすっかり夜になっていた。
寝かされている部屋は別だったがレオは無事とのことだった。安堵からため息がこぼれた。
重い疲労と頭痛があったが想定内の副作用だ。医者の診察でもそれ以外に問題はなかった。
すぐにギルド職員からの聞き取りがあった。
ギルドではこういった「ゆらぎ」つまり魔素異状に関わる事故の情報を、記録分析することで、今後に役立てているのだという。
死傷者は現時点で十数人ほどが確認されており、あの魔熊はレオのほかに二人を傷つけていた。うち一人は死亡したとのことだ。
「男性を一人助けたとのことですが、今のところ申告はありません。顔を覚えていますか?」
職員は淡々と尋ねた。努めて感情を押さえているように見える。年配の男性だ。
「……いいえ、必死でしたので」
「では、使用した魔術札の請求はできませんね。どちらにしても相手には支払い義務はありません。しかし、命の借りは返せるうちに返す、それが冒険者流であることは、ノアさんは覚えておいた方がいいでしょう。今回被害が抑えられたのはノアさんのおかげもあるでしょう。功績を考えてランクアップも検討されましたが、今回は保留となりました」
ギルド職員はいったん言葉を切った。
「経験の浅い冒険者に勘違いをしてほしくないからです」
言い方は淡々としたものだったが内容は強かった。そこに非難を感じ取り、俺は軽いショックを受けた。
「ノアさんがされたことは無謀です。E級の初級魔法薬師が魔熊に挑むなんてことはギルドとしては推奨できることではありません。それは戦闘職の仕事です。確かにノアさんは魔熊を倒せましたが、お話を聞いた限りでは確信を持って挑んだわけではない。逃げるべきでした。見方を変えればノアさんは逃げた男の代わりにレオさんを巻き込み、怪我を負わせたようなものです」
俺は言い返せなかった。彼の言うとおりだった。
「あなたにはあなたの仕事があるはずです。劣化中級魔法薬を使ったとのことですが、状況を見ればそれが嘘ではないこともあなたが優秀であることもわかります。人助けがしたいなら戦闘よりそのスキルでのほうがよほど救えるでしょう。……それはそうとしても、魔熊はまぐれで殺せる魔物ではありません。ランクアップは見送られましたがノアさんには条件付きでの迷宮立ち入り許可が出されました。また、倒した魔熊はあなたの功績になります。すでに解体に回していますが、よろしければこちらで買い取りも可能です。討伐報酬も出ますし、あのレベルなら魔石も持っているはずです。今回使った魔術札分を引いてもかなりの利益が出るでしょう。……命はお金では買えませんが」
ギルド職員は念を押すように付け加えた。
「……魔熊の買取についてはギルドに任せます。細かいことは明日話をさせてください。……レオに、会えますか?」
「あなたたち以外にも何人もここに運び込まれています。気持ちはわかりますが、手間を取らせたくありません。……この時間ですから、今日はここに泊まってください。明日になれば状況も落ち着いているはずですから、レオさんに会えるはずです」
職員は淡々と答えた。彼は悲劇に慣れているのだろう。ふと思った。
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