君が見た春を

稲佐オサム

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番外編:それぞれの、春のかけら

桐谷レナの視点

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澪のことが、昔はただ「からかいやすい子」と思ってた。
無反応で、何を考えているか分からない。そんな子にイライラしていた。

でも、あの時。
教室で誰かをかばって、静かな声で堂々と言い切った彼女を見た時、私は思った。

――負けた、って。

私はずっと、「強そうな自分」を演じていただけだった。
自分に自信なんてなかったくせに。

高校卒業後、接客業のバイトをしながら、美容専門学校に通った。
自分の見た目ばかり気にしていた日々だったけど、最近ようやく思えるようになった。

「中身を磨くって、こういうことかも」って。

再会した澪は、まっすぐだった。
昔みたいに怖くなかった。むしろ、ちょっとだけ、誇らしかった。
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