君が見た春を

稲佐オサム

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番外編:それぞれの、春のかけら

城ヶ崎レイの視点 ―「観察者の孤独」

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僕は、人の感情に敏感で、けれど自分の感情には鈍感だった。

だから、高校時代、澪の目の奥にある光に気づいてしまったとき、少しだけ怖くなった。

彼女の世界は深い。
触れれば呑まれてしまいそうなほど、静かで、強い。

僕は作家になったけど、いまだに彼女のような言葉は書けない。

大学の頃、「君の文章には叫びがある」と言ったけど、
あれは、僕自身がそうなりたかった願望だったのかもしれない。

恋ではなかった。
でも、憧れでもなかった。

彼女は“春”だった。
ただ、僕はその春を眺める役だった。
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