異世界侍(A different world samurai )

エピソード8

8話

ゼオの崩拳がチャールズの腹部に当たる
「ぐっ！」
だが、チャールズが血を吐きながら耐える、そして、親指でゼオの腹部を刺す
「何！？」
ゼオが素早く距離をとろうとするがチャールズの素早い閃光の一閃がゼオを逃さない、ゼオは思い切りチャクラムで胸を切り裂かれた
「ちっ！」
ゼオは何がなんでも距離を取る、チャールズの容赦ない第二波の攻撃が襲い掛かる
「金と力に執着した戦士に俺が負けるものかぁ！」
「黙れ！力と金が最後に人を救う！今までそうだったからだ！」
「お前は金と権力に群がる人間の醜さを知ってる筈なのに何故だ？！人としての尊厳を失ったのか！？」
「尊厳で腹は満たされぬ、金と力がないと生きられない！所詮、この世は弱肉強食、弱い善人は罪なのだ」
「俺は自分の意思で救われない人を救う、人の優しさを忘れたお前に正義はない！(ジェダのような悲しい人間はこれ以上増やすわけにはいかない！)」
「綺麗事！戯言！」
チャールズの手刀がゼオの腹部突き刺さる
「手...刀だと？！」
そして左手のチャクラムでゼオの顔を切り裂く
「ぬぁああ！」
ゼオが後ろに大きく吹っ飛ぶ、顔が血の色で染めり、背中が地面に当たる
「トドメだぁぁ！死ねぇ！！！」
チャールズは思い切り飛び上がり、ゼオの顔に目掛けてチャクラムを突き刺す態勢に出る、ゼオは極限の集中力でチャールズの攻撃を読む、目は血で見えない
「そこだぁ！はぁぁぁ！」
ゼオの渾身の発勁でチャールズの腹部に当たる
「な！なんだと...」
チャールズは血を吐きながら吹き飛んだ、ゼオは確かに歯応えがあった
「グホッ！オェ！」
チャールズは吐き気を催す
「クソガァ！そうか...お前は気を読めるんだったか...迂闊だった...」
チャールズは恥りながら膝を地に下ろす
「殺し屋が必死になってどうする...だからお前は負けたのだ」
もの凄い目で睨むチャールズ
「殺し屋なら、義理人情と義を忘れた外道を屠るんだな、お前は金と力のために罪のない人を殺めすぎた」
「くだらない綺麗事で俺に説教するなぁ！お前だって不遇の立場にあった筈、分かるだろ！」俺の気持ちがぁ！」
「どんな理不尽や不幸が来ても、人しての義と誇りは失わない」
「俺は虐げられたこそお金と暴力が救世主に見えた、理解出来ないのだ、あの時、金持ちだったら友人を救えた...力があれば友人を守れた...皮肉なものだ...」
チャールズは息絶えた、ゼオは書斎に戻る、そして、怪しい巻物を見つめる
「これか...これっぽいな...」

『我々は蘇らせる、権力の維持のために、そのために、その野望を阻む人材を排除せよ
「ゼオ・ラーチス」「ジェダ・ロイエス」「阿久津翔太」「ウィーズリー・ライアン」
この4名、また、敵対する可能性のある人材を排除せよ、Rより』

「蘇る？何をだ？この御前の名前がR、Rはコードネームだな、しょうがない片っ端から組織の末端を尋問していくか..,」

ここは、遠い遠い山岳のボロ屋、とある魔法使いが暮らしている、彼の名はウィーズリー・ライアン、元、暗殺組織に所属し、子供の頃から育った場所でもある、彼はありとあらゆる魔術の才能に恵まれている、裏世界、また裏社会では世界最高峰の魔術師といっても過言ではない
「やれやれ、私はただ本を読んでいるだけなのに何故闇討ちされるのか、それとも、御前達が追い求めてるものが私と一致しているから、都合が悪いから排除したい、か、理不尽な話だ」
ウィーズリーは指先から魔弾を造り、刺客を撃つ、それは並の暗殺者では捉えられない、断末魔をあげながら刺客は次々と倒れていく、ウィーズリーは読んでた本を閉じた
「御前、お前達の企みは検討がついている、そして、御前の背後にいる黒幕もな」
ウィーズリーはそのまま旅に出る、どうやら、この陰謀の思惑は全て想像出来ているようだ

そして、翔太とエドワードの戦闘に戻る
「ちょりゃぁぁぁ！！！」
「うぉぉぉぉ！！！」
もの凄い剣撃の嵐だ、近くにあるオブジェクトが壊れ、壁や地面に切り跡を刻む
「死ねぇ！阿久津翔太ぁぁぁ！！！」
「俺は死なねぇ！！！」
改造され強大な分不相応に身につけたエドワードの身体は徐々に壊れ始めていく、エドワードの正拳突きが翔太の頬を捉える、だが、翔太は手のひら受け止める
「！？」
だけど、正拳突きの威力は尋常じゃないほどだった、手のひらを貫通するほど、翔太は受け止められず、後ろに吹き飛んだ、エドワードはドドメの攻撃をしようと翔太の顔にロングソードを突く態勢だ、翔太はエドワードの握ってるロングソードを蹴り上げる、大きく剣が吹き飛んだ
「ちっ！」
エドワードは素早くナイフを取り出し、怯む事なく翔太に斬りつける
「もらったぁ！」
「ぐぉっ！」
翔太の胸元に切り傷が刻まれる、そしてエドワードの容赦ない攻撃が翔太を襲う、翔太の顔を掴みもの凄い剛力で投げ飛ばす
「吹き飛べやぁ！」
「ぬぅぅぅ！」
翔太は空中に投げ飛ばされる、これは絶好のチャンスだ、鞘に刀を納め天井を思い切り蹴り、エドワード向かって抜刀の構えを取る、そして神速の居合でエドワードの胸元を切り裂く
「クソガァ！」
だがエドワードは根性で耐える、翔太の刀を無理矢理弾く、刀は壁に突き刺さる、武器を失った翔太は絶体絶命のピンチだった
「今度こそ、死ねやぁ！」
(こい！)
翔太の目は何か狙ってる、絶妙なタイミングで素早く隠し持ってたナイフを取り出し、居合で刻み込んだ胸元を突き刺す
「そこだぁ！」
ナイフは深く胸に入り込む
「なん..だと」
エドワードは血を口から垂れ流しながら倒れる
「はぁはぁはぁ、手強かったぜ...」
翔太はヨレヨレになりながら壁に突き刺さった愛刀を鞘に納める、ゼオもヨレヨレになりながら翔太と落ち合おうとする、そしてジェダが崩れた瓦礫の上で座っている
「どうやら3人とも勝ったようだな」
「で、情報はあったのか？」
「ああ、Rという名前、多分コードネームだろう、そいつが俺達、名指しで殺害依頼を頼んでいる」
「名指し？この場にいる3人以外に名前はあったのか？」
「ああ、ウィーズリー・ライアンという男だ」
「ウィーズリー・ライアン、随分懐かしい名前が上がったな」
「誰だ？そいつ」
「最強の魔術師だ、裏世界、裏社会では世界一といっても過言でもないだろう」
「ロイタールが唯一妬んだ男か」
「で？どうする？これから」
「ウィーズリーなら、この陰謀を既に知ってるか、把握してるかもしれん」
「じゃぁ会いに行くか」
「ふん」
「ジェダ、一時期休戦だ、いいな？」
「ふん、俺は自分の火の粉を振り払うだけだ、お前らなんかどうでもいい」
「ま、そうだろうな」
「おい、ジェダ、お前はウィーズリーの居場所を知ってるか？」
「知らん、アイツは極度の人見知りだ、何処か山奥でひっそりと本でも読んでるんじゃねぇーの？」
「だろうな」
「俺はお前らと共に行動しない、目障りだからな」
「そうだろうな、だが、情報があったら連絡ぐらいはしろよ」
「ふん」
ジェダは颯爽に消え去る
「ウィーズリー・ライアン、幼い頃から同じ暗殺技術を学んできたか、誰とも会話をしなかったな、ずっと本をしか読まなかった、コミュ障という訳でもなく、組織の中では一番頭は良かったかもな」
「ふーん、昔から知的好奇心溢れる子供だったんだな」
「浮世離れした雰囲気だったよ」

そして、翔太とゼオはウィーズリーを探す旅に出る